引きこもりのタイプ~すくんでしまうタイプ~
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引きこもりのタイプ~すくんでしまうタイプ~

2020年03月12日(木)9:57 AM






「すくんでしまうタイプ」





これは早期にいじめ、不登校などの挫折体験があり、手も足も出ずにすくんでいるものを言います。





早期とは、小学校、中学校から高校までをいいます。親をはじめとする周囲の目から見て、かつては明るく元気だったものがある時期から急に無口で、暗く、引っ込み思案になるなどの変化があります。その時期どこかで挫折体験があって、そこを境に性格行動面での何らかの屈折があることが推測されます。





このタイプの本人に最初に出会った時には、対交流がとりにくく、常に緊張が高い状態が続いていて、外部に対する警戒心が強く、新しい場面になかなかなじめないといった印象を与えます。





したがって、実際にはこのタイプの本人は、なかなか相談場面には出てくることはありません。そして、援助者が直接引きこもりの本人と出会うこともないままに、時間が経過していくことが多いといえます。





本人が現れない以上、当然のことですが、このタイプの場合は、初めに親への支援が大切であり一般に親との個別のカウンセリングから相談が開始されます。





数年、10数年という長期にわたって引きこもりが続いている場合には、親の疲弊の度合いが強くまずその親の疲れをいやすことから始めなくてはなりません。60歳になる母親が、もう 20年も引きこもり続ける息子のことで相談に来たときのことです。





しゃくりあげるようなチック症状があり、話しも途切れとぎれで、親の会などの情報にも積極的な関心を示しません。そこで、まず「ねぎらいのシャワー」の技法を応用して、自分自身に向けてねぎらいの言葉をかけてもらう作業を行いました。





長い沈黙のあとで、ようやく「ご苦労さん」と自分に向けての一言を発することができ、これが彼女の肩の力をスーッと下げ、チックは柔らかな呼吸へと移っいきました。





何かに取り組む時には、力が必要です。今までの自分に少しの休みを与えることで、自らの力を感じ取り、そして次の問題に取り組んでいけるようになるのです。





本人と出会えないときには、親同士のグループへの参加が有効です。孤立して情報もないままだと、子供のかつてよかった時の印象しか手掛かりがなくて、何とか早くあのよかった時にまで子供を引き戻したいと考えがちです。





でも、ここで本人を動かそうと力を込めてもうまくいきません。親同士のグループでは、同じ悩みを持つ他の親と出会うことで、自分だけではないという安心感が得られます。





また、親同士で語り合うことにより、今の自分自身のおかれている状況をより客観的に見つめることができます。また、いずれ本人と出会うことができたら、先に進める前にまずペースを落としてみることが大切です。





ただでさえ何もしていないという状況ですから、これ以上ペースを落とすというのには違和感があるかもしれません。しかし、初めは「何もしない1週間を、もう1週間だけ続けてみて、1週間後にもう一度お会いしましょう」といった性質のメッセージを送るなどの配慮が必要です。





「何でもいいから、できることから少しでもやってみよう」という、本人を動かそうとする援助は当分の間手控えておくべきです。また、深刻な挫折体験を得ていることも考えられるため、時には本人の心の傷をいやすための援助も視野に入れておくことが必要になります。





引きこもりの 事例  すくむタイプ  21歳 男性





母親だけの来所だけで相談を開始しました。(初回相談時に本人は 18 歳の男性)。小中学校で断続的な不登校が続き、高校に入学するもののクラスになじめず、結局高校1年の 2 学期途中までて 中退になりました。





翌年別の高校を受験して合格し、入学するものの同様に中退し、以来1年間はほとんど家に閉じこもりの生活を続けています。母親(時に父親)は相談を続けながら一方で親の会にも参加しています。相談開始から、約1年余り経過後、本人が初めて来所しました。





面接を続ける中で本人は、小学校でいじめを受けたことを語り、また不登校の時の体験を次のように語りました。「小学校5年の時、ぐずぐずして家を出るのが遅くなり、学校の前の横断歩道の前に立つと正面玄関の上の丸時計の文字盤が9時5 分前をさしていました。





今でもその文字盤がはっきりと目に浮かびます。もう駄目だと思って、今来た道を戻り、家の玄関の前に着きました。そして、玄関の扉を少しだけあけたら、居間の置き時計の文字盤が9時 25分をさしていました。そのとき、母親の声がして慌ててその扉を閉めました。その後どうしたかは、全く覚えていません・・・・・・・」





これはある種のトラウマ体験であり、その後、本人との面接を続ける中で自らの体験を観客として眺め、安全なところまで逆に巻き戻していく「巻き戻し法」などを行いました。その後、本人は 3 カ所目の高校に進学し、卒業することができ、相談はいったん終了となりました。





その2年後の 3 月末に父母がその間の経過を報告するためにふたたび来所しました。卒業までの間も必ずしも順調ではなかったのですが、卒業後も進学するでもなく就職するでもなく、再び引きこもってしまいました。





しかし、半年たって中学のころの友人に電話したことをきっかけに、大学の入学案内を集めだし、翌春には、推薦で大学進学が決まったということでした。父母は、その先の不安を訴えながらも、「ようやくあの子なりに動き出しました」と語っていた笑顔が印象的でした。



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