不登校と担任の先生
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不登校と担任の先生

2020年02月27日(木)1:06 PM






学級担任はどう関わるか





先日、知人の小学生の教師が嬉しそうにしていました。かつての教え子に会うのだと言います。あまりに嬉しそうなので事情を尋ねると、自分が担任であったときに不登校になった児童がいたのだと言います。





その子の就職が決まったところで、教え子のほうから「会いたい」と言ってきてくれたのだと言うのです。





「若かったんですね。当時は一生懸命家庭訪問しました。学級の子を迎えに行かせたりもしました。・・・・・それで」先生は続けました。





「その一生懸命さが、その子を追いつめていったんだと思うんです。家庭訪問をして、その子と向き合って話をしていて、ふいに暗い顔をして下を向いてしまったときがあったんですね。





『こういうの・・・・嫌か?』ってそのとき尋ねたんです。こっくりと頷かれました」。その後、その子は小学校には登校することなく卒業していきました。





年賀状のやり取りは続き、就職を前に担任と会うことになったのだといいます。「あのとき、どうすればよかったのか。教えてもらうつもりでいます。ドキドキしています」。





担任は、嬉しそうで、懐かしそうで、不安そうでした。不登校とは、「学校が子どもに合わない」問題です。そして、不登校がなぜ起きるのかと言えば、「学校が嫌だ」と子どもが感じるからです。





どう嫌なのか、何が嫌なのかは別にして、「学校が嫌だ」と感じなければ、不登校になることはありません。このことは、学校関係者には厳しく聞こえるかもしれませんが、漠然と不登校の子は誰もが感じている現実だと思います。





そのため、学級の中で児童や生徒が不登校になると、担任はどこか後ろめたく、居心地が悪くなります。それは、その子どもが、「担任の作り上げてきた学級に合わなかった」ことや、「担任の学級を嫌だと感じている」ことが、隠れたメッセージとなって伝わるからです。





一人ひとりを思う教師であるほど、このメッセージを正面から受け止めます。そこで、自分の学級の子どもが不登校になると、担任は傷つき、苦慮することになります。





関わり続けること





不登校の初期段階や不登校傾向が見られている段階ならば、子どもの視線で学校環境を見直します。そして、その子どもが不快に感じている要因を見出し、学校側の問題解決を急ぐことはよいことでしょう。





学校環境の調整は、教師にしかできないことです。しかし、教師が登校を急ぐのは避けたいところです。





教師にとっては、学級を嫌う子どもがいる現実が、担任のいたらなさを暗々裏に照らし出すような気がします。熱心な教師ほど、不登校の問題を正面から解決しようとします。





登校を急ぎがちになります。そのことが結果的に子どもへの圧力になってしまいます。だからといって、「見守る」ことも、安易には勧められません。





そもそも「見守る」対応は、登校を急ぐ保護者に勧める対応です。保護者が登校を急ぐと、子どもと保護者の関係が悪くなりがちです。





その親子関係の悪化によって、子どもが傷ついてしまいます。その結果、登校への緊張感や不安が強まります。結果として不登校の問題がさらに悪化します。





これを避けるために「見守る」ことが強調されるのです。ところが、「見守る」ことは難しいことです。どうすることが「見守る」ことなのかは、わかっているようでわかりにくいのです。





「見守る」ことを目指すと、そのつもりはなくても、通常は、「心理的にどの程度の距離を取るのが適当なのか」がわからなくなってしまいます。





子どもとの関係が混乱します。多くの場合は、関わりを手控えます。ときに、見ることに一生懸命になり、監視するかのようになってしまいます。





この二つの対応は、不登校の問題を悪化させ、長期化させてしまいます。それでは、どうするのがよいのでしょうか。教師は、子どもに拒否されない限りは、基本的に関わり続けます。





これが大原則です。先ほどの小学校教師も関わり続けたことは大いに評価できると思います。関わり続けたからこそ、大人になった教え子と、担任は会えることになったのだと思います。





子どもと会い、関係を広げ、強める





もちろん、ただ関わりさえすればよいということではありません。先ほどの担任の場合、より望ましい関わりはあったのでしょうか。





わたしは直接関わったわけではないので改善点を見出すのは難しいのですが、問題点の第一は、担任自身の「若かった」の一言に象徴されるように、担任が不登校の問題を解決しようと急いでいたことにありそうです。





たとえば、学級の仲間を迎えに行かせることは、原則として勧められる方法ではありません。不登校の子ども自身が納得し、自分が学校に行く励みとなる友達を選択したのなら、その指名された子が迎えに行くのはよいことでしょう。





しかし、本人の思いを確認せずに、友達に迎えに行ってもらう形になってはいなかったでしょうか。そうであるなら、担任自身の「登校させよう」と焦る気持ちが、級友を通じて不登校の子どもに伝わってしまいます。





そして、これは想像ではありますが、子どもに会うときに、「登校」が主たる話題になったのかもしれません。こうなると、担任の家庭訪問は重荷になるだけです。





大事なことは、登校するか否かの結果ではありません。担任との関わりの中で、担任との関係の結びつきを強くすることです。担任の魅力で子どもを学校に惹きつけること、これが目指すことです。





学校の中の存在としての担任に、魅力を感じてもらうのです。このことが子どもに、学校に再接近していく大きな動機付けを与えます。





つまり、担任としては、「不登校の○○くん」「不登校の○○さん」に会うのではありません。担任は、担任をしている子ども自身と会うのです。





「○○くん」「○○さん」自身と会うのです。その子どもとよりよい人間関係を結び、学校と子どもを繋ぐ関係の糸を太くします。





級友を動かすのなら、不登校の子ども自身が級友との関係の糸を結び合いたいかどうかを確認し、その級友と本人との関係の糸を結び合いたいと思わせ、その機会をつくることです。





それが担任が行えることです。つまり、登校を目標とせず、学校の中の人間として子ども自身と会い、本人の人間関係の糸を増やし、その糸の結びつきを強めることを目標とします。





では、「登校を促さなくてもよいのか」と言えば、その通りです。表立って、それをする必要はありません。





担任は、「連絡帳や課題を届ける」「手紙を書く」「電話をする」「家庭訪問して会えなくても置手紙をする」「家庭訪問をして保護者に会う」「家庭訪問をして子どもに会う」などのことをします。





これらのこと、その一つひとつが、「学校に来られるものなら来てほしい」というメッセージです。これらの動きに対して、子どもに抵抗感がなく、担任に余裕がある限り、これらの活動はあきらめることなく継続したほうがいいでしょう。



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