家庭内暴力とひきこもりの関連性
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家庭内暴力とひきこもりの関連性

2020年02月26日(水)10:47 AM





「家庭内暴力」と「ひきこもり」は、どちらも特定の疾病や障害を示すものではなく、ひとつの状態像を表すものにすぎません。





したがって、さまざまな理由によるさまざまなタイプの「家庭内暴力」と「ひきこもり」が存在するのが現実であり、その全体像を描き出すことは極めて難しいです。





ただ、ひきこもりといわれる青年たちや不登校の子供たちの中に、家族への暴力を呈する事例が少なからず存在し、そうした事例では、ひきこもり(不登校)に至る心理と家庭内暴力に至る心理とが密接にからみ合っているように見えるのも事実です。





「家庭内暴力」という言葉は、一般的には、家庭内に生じるあらゆる暴力を指すものとして、配偶者間の暴力、児童虐待、あるいは介護者による高齢者虐待なども含むと考えられますが、わが国では、この言葉が最初に登場した1960年代以来、「子供の家庭内での暴力」を指すものとして使われてきた経緯があります。





ここでは、ひとまずこれまでの使用法を踏襲し、「児童・青年期の子供が両親をはじめ他の家族成員に対して振るう暴力」を「家庭内暴力」と呼ぶことにします。





また、「家族成員に対して振るう暴力」には、殴る、蹴るなどの直接的暴力だけでなく、物を投げたり、家具調度を壊したり、衣類を切るなどの間接的暴力、怒鳴る、わめくなどの言語的暴力も含むものと従来考えられてきています。





次に、家庭内暴力を示す子供のタイプを概観しておきます。1960年代に警視庁少年相談室が報告し、マスコミでも大きく取り上げられた家庭内暴力児は、必ずしも「ひきこもり」とは関連しておらず、家庭の外では折り目正しく、往々にして勉強のできる「よい子」で暴力とは無縁の子供が、いったん家に入ると豹変して乱暴をするというものでした。





これは、いわば家庭内暴力の「純粋型」ともいうべきもので、このほかにここで問題にする不登校、ひきこもりの経過の中で家庭内暴力を生ずるタイプ、家庭外での非行行動と絡んだ形で家庭内暴力があるタイプ、精神病、人格障害などによる病理的心性から暴力を生じているタイプなどが考えられます。





稲村博氏は、多軸分類を提唱し、「経過」の軸から①一過性、②断続性、③持続性(慢性)の3分類、「態様」の軸から①登校拒否型、②非行型、③その他の3分類、「精神病理」の軸から①神経症タイプ、②精神病タイプ、③広義精神障害タイプ、④その他の4分類に分けており、これがおそらくもっとも精緻な分類と言えるでしょう。





すでに稲村氏の「態様」軸による分類からは、家庭内暴力以外の問題の見られない「純粋型」が事実上姿を消していますが、当初「純粋型」として描かれたような「外」では良い子(あるいはそれ以上の優等生)として振る舞うことができていながら、家では常軌を逸した「荒れ」を示すといった子供は急激に減少し、多くがひきこもりを伴う型になっているように思われます。





おそらく、不登校現象の一般化に伴い、「荒れ」と深刻な葛藤を内心に抱えながら、なおかつ社会のなかに出て行き続けなければならないほどの社会的圧力も内発的動機も減少してきたためではないでしょうか。





家庭内暴力の実態





家庭内暴力は特定の罪種や疾病単位を示すものではないため、包括的で信頼できる統計資料が極めて乏しいです。





唯一の全国レベルの統計は警察庁生活安全局の資料ですが、それによりますとここ10年の期間に家庭内暴力件数は漸増し、平成12年以降1300件前後の水準を維持しています。





本城秀次氏(家庭内暴力・臨床精神医学講座)によれば、名古屋大学医学部付属病院精神科外来に受診した不登校児のうち家庭内暴力を呈したものは、昭和47年から 49年までの間の 88名中5例(5.7%)、昭和57年から 59年までの3年間の111名のうち18名(16、2%)です。





岐阜大学医学部付属病院神経精神科外来における昭和54年から平成2年までの統計では、不登校例中の家庭内暴力は8.6%であり、一定の幅はあるとしても、不登校生徒の 1割前後に暴力があるとされています。





これらの調査がいずれも病院を受診した事例であることからすれば、やや暴力児の占める割合は高くなっているかもしれませんが、仮に不登校生徒の1割に暴力があるとして、ここ数年の中学生不登校者数10万人 余り(平成14年度10万2126人)から推計すると、中学生だけで1万人前後の家庭内暴力少年がいることになります。





さらに年長青年もあわせれば、その数は相当大きいものになり、警察庁統計はごく一部を把握しているにすぎないことになるでしょう。





また、精神科医の斎藤環氏は、自験80例の調査で、一過性のものを含めるとひきこもり症例の51%に家庭内暴力を認めたと述べており、「家庭内暴力」は、ひきこもり症例のなかではきわめて一般的な問題といえそうです。



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