ひきこもり~自分を見捨てない習性~
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ひきこもり~自分を見捨てない習性~

2020年02月16日(日)2:01 PM





時代の移り変わりは、消長限りないものです。好景気のおこぼれにあずかって、浮き足立った調子でその日暮らしが送れる時代はもはやとっくに過ぎています。時の主流につかまっていればまず無難とされる時代は終わり、早い話が安定した大企業の終身雇用という名の生命綱さえもが、頼りにはならないご時世となりました。


性根で自分を支える覚悟のできた人のみが、お互いを支えあう世間の流れに参入できる資格を持つ、いまやそんな時代になり変わっています。時代はとっくに変わっているのです。すべての人、世のすべてが連動して跳躍するかと思えば、たちまちすたって見忘れられもする情報氾濫の時代でもあります。


こんな時代に生き抜いていける才覚とは何でしょうか、と言えば間違いなく、自分を見捨てない習慣なのだと思います。厳しい時代には、まさに自分を見捨てない習性を身につけた人のみが生き残れます。ある意味では単純明快の真理です。さて、この頃、異様な響きで気にされているひきこもりという現象についてのわたしなりの捉え方をここでまとめてみようと思いますが、この文章を書くにあたって何をもっとも心しているかと言えば、まさにそのことなのです。


おそらくこの文章をあなたが読もうとしているのは、ひきこもりという状況の特異さをより深く知りたいと願う何らかの動機とか事情とかをお持ちになってのことでしょう。自分を見捨てない習性とは、言い換えればどんな事態に陥っている場合でも、現に今自分の持ち得ているプラスの面をうまく探し出し大事にできる才覚を持ち続ける習慣が身についていることだということです。現象を外から見て、これはひきこもりだと見られるものも、その内実は実にさまざまな違いがあります。


第一に、そういう状態にある当人の思いとして、今の自分は人から見られてひきこもりに他ならない事態でも、それは必要があってそうしていることであり、納得ずくでやがての何かに備えての構えなのだとか、あるいは外からどう見られようとこれが自分なりの積極的な人生のかたちであり、人からとやかく言われる筋合いのものではないとか、経済的にも心理的にも無自覚なままにまわりへの迷惑をかけてはいない、という例を含みこんでいるでしょう。


個人の生き方に属することであって、まわりの人のいらぬ心配を解きほどく工夫については、親子、家族やまわりの人々との人間関係の問題があります。第二には、第一のパターンと似て非なるものであり、当人のいわば独善的な思いはそうであっても、実際上人に迷惑をかけていないとは言うものの、親の資力に全面依存しており、当人の安逸さとまわりの困惑や心配とに隔たりがある過ぎる、そういうひきこもりが見られます。


第三には、ひきこもり状態である自分が許せなくて、脱出すべきと焦ったりあがいたりの努力を尽くしておりながら、努力すればするほど落ち込みがかえってひどくなるというケースです。第四には、生きるに値しない社会だとか生きるに値しない人生だとかの思いのために、積極的に社会参加する意欲がわいてこないが故のひきこもりです。ひきこもりが、今の時代の社会問題とみなされるのはこの不健康さの故でしょう。


第五には、生理的精神的な疲労でどうしようもなく行動意欲が底をついてしまったというケースです。慢性疲労症候群という名で取り上げられたりしていますが、身体の疲労と精神の疲労が著しくバランスを欠く時代は、おそらく歴史上はじめての現代の特徴といえるのではないでしょうか。第六には、わたしなどのような精神医療の専門家ではないものではタッチし得ない、精神医学、神経医学の領域に属する精神障害の面が大きいケースです。


当然のことですが、精神疾患は専門の医療が必要になります。脳波の異常が見られる精神発達の遅滞や自閉症やてんかんなど、つまり外因性の器質的疾病と、統合失調症やそううつ病など、つまり内因性の脳の機能上の異常については専門医の診断と治療が必要になります。



強い心の傷とかストレスやショックなどから引き起こされる神経症やヒステリーや人格障害、つまり心因性の疾病などは、時に専門医の診断治療と相たずさえながら、日常生活のあり方を整えるために、わたしなどの働きの領域であるカウンセリングの支えが、当人および家族には日常の心の衛生に役立ちます。


病気治療の範囲に属するものなのか、日常の心の衛生の範囲に属するものなのかは、特に思春期の心の不安定についてなどは曖昧ないわば境界線上の精神科医にも判別し難い例が多いのです。ひきこもりといわれるもの全般が精神治療の対象とみなすべきなのか、心理的な平生心の整えの対象とみなすべきなのか、それは個々別々に検討すべきものです。ただ単純に言えることは、精神疾患の当人とまわりの人々との関係には、日常の心の精神衛生上の心得事に属する事柄が、あふれかっています。


神戸のあの異常極まる少年Aの事件に引き続く各地の子どもによるとんでもない事件の数々には、これまでのどの時代にもなかった精神の緊張と重圧を、成長の途上にある若い人たちに不当に課している現代の様相がさまざまと反映されており、ひきこもりの増大は、その不当さの端的な現れの一つに他ならないと思います。


ひきこもりを続ける当人、またはまわりのそれを憂える人たちに、一番心すべきことは”自分をどうあっても見捨てはしない習性”なのだということをこの文章を通して語りかけたいと思います。



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