ひきこもりの人間関係づくり
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ひきこもりの人間関係づくり

2020年02月01日(土)11:27 AM





ひきこもりの苦しみを抱えるのは、1965年(昭和40年)以降に生まれた子どもたちが大半です。とりわけ不登校、就職拒否、フリーター現象をつくりだしているのは、団塊の世代のジュニアたちです。彼らは高度経済成長時代に育っていますが、この時期は、プロセスより結果を重視する結果主義の時代だったと言えます。




「父は最期にはいつもこう言った、(結論から先に言え)と。朝、学校に行こうとして、母に不安を話していると、必ず父が横から口を出してきて、(よけいな話はするな。くだらん話をするな。つまらん話をするな)。僕はそんな父親といつのまにか会話ができなくなってしまった」




ある若者は、父親に対してこんな印象を語っていましたが、これは、この世代の子どもに共通する父親に対しての印象のようです。たしかに、いつもせめぎあうだけの結論優先であったからこそ、日本の驚異的な高度経済成長は達成できたのかもしれません。




そして、子どもに対しても、父親はプロセスをことごとく排除し、結果だけを求めていました。しかし、じつはこのプロセスの中にこそ折り合いの世界が存在するということを忘れていたようです。




事実、妻子とともに面談にきたある父親は、こんなことを言っていました。「わたしには、子どもの気持ちを聞くということがわからない。子どもが宇宙人に思える」その子どもは、「お父さんが食卓につくと、そこが会議室になる」と言います。




父親が「それはどういう意味なんだ」と尋ねると、「その聞き方がむかつくんだ。お父さんは言葉ばかり聞いて、気持ちを聞いてくれない。言葉ではいえないような思いというものを、ちっとも聞いてくれないじゃないか」。




言葉では語り合えないような思いをいちいち聞いていたら、これほどの高度成長は達成できなかったかもしれません。事情という言葉がありますが、「こと」ばかりを聞いて、「情け」を聞こうとしない場合が多いのです。




いや、むしろ聞けないような味気ない社会をつくり、聞けない人間になってしまったのです。「今の若者は、何を言っているのかさっぱりわからない」これこそ、自分が「さびついた感性」になったことを表明する言葉にほかならないのです。




高度経済成長の中、結論や結果を急ぐ風潮の一方で、物資的に満たされていて、いつも一人称が守られているという少子化の現象も大きな要因のひとつとして存在しています。




しかも、核家族化によって地域社会から「向こう三軒両隣り」の意識が消え、「友達は我が家で満ち足りている」感じになり、人と群れる必要がなくなってしまいました。




かつては、地域社会の中で、子どもから老人まで、みんなごっちゃまぜに生きていました。ときにはわずらわしい人間関係があったかもしれませんが、その中で子どもたちは、自分が社会に出たときにも孤立しないで誰かとつながっていくようなたくましさ、ソーシャル・スキルを身につけていきました。




しかし、これほど人間関係が希薄になったいまの社会で、いまさら昔ふうの「向こう三軒両隣り」を復活させようとしても、現実味がありません。しかし、泣いている子どもがいたら、「どうしたの?」と声をかけてあげたり、元気な子どもの頭をなでてやったり、悪いことをしたらたしなめてやったり・・・・そのくらいのことはできるのではないでしょうか。




お互いに、その程度の世話好きにはなれるのではないでしょうか。そして、そうした環境の中で、子どもたちは当たり前の支え、支えられる人間関係を学び、身につけていくのではないでしょうか。




支え、支えられる原点は家庭にあります。ところが、家族間のコミュニケーションの中で、くだらない話やつまらない話を否定するような「合理的」な考え方によって、家族の絆が綱渡り状態にさせられています。




さらに、無駄話ができない、弱音をはけない緊張した雰囲気に包まれた家庭が多いです。弱音がはけて、つまらない話も、ふつうにできる本音の交流があればこそ、生きるエネルギーもわいてくるのではないでしょうか。




家庭は支えあう関係の第一歩です。次には、地域に家庭を解き放つ努力をするべきでしょう。地域にあっては、学校社会の人間関係からもれた子どもを救い上げるためにも小さな群れである子供会や青年サークルの復活も考えてみる必要があるでしょう。




人と向き合うことを回避しない基礎作りを子どもたちに伝えるためにも、出るか出ないかが、こちらの「勝手」になるインターホンなどの「一人称文化」を改め、大人は通学路を行き交う子どもにもっと声をかけましょう。




そして、何より大切なのは、学校のあり方です。学校を勉強だけの場から、生活の場へシフトさせます。学校を地域に開放し、町内会参加の行事を増やすなどして、子どものフィールドを学校から生身の社会へ広げていくようにします。




二人称、三人称のかかわりをつくり、気軽に喧嘩でき、互いに修復能力を高める環境を作っていきます。そこに喧嘩を見守ってくれる大人がいればいいのです。ともあれ、心が見える「喧嘩して仲直り」「せめぎあって、折り合って、お互いさま」の人間関係づくりが大切です。




いまわたしたち大人に求められているのは、もっと「喧嘩しても仲直りできる」日常を子どもたちの目の前にさらしていくことです。夫婦、家族、身内、隣近所とのドロドロした人間関係を背負いながらも、助け合わなければならない状況の中で、なんとか折り合いをつけていく営みをモデルとして意識し、見せていくことが大切です。




人はあきらめなければ、喧嘩しても仲直りできます。そのコミュニケーションの事実を、引きこもる子どもたちは見て学び、獲得したいのです。



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