ひきこもりのタイプ~しりごみタイプ~
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ひきこもりのタイプ~しりごみタイプ~

2019年12月31日(火)10:58 AM






ひきこもりのタイプとして、しりごみタイプがあります。これは、学業、仕事など、とりあえずある程度まで社会的に要請されたタスクをこなしてきたものの、今はしりごみ、後ずさりしているものを言います。





内容はどうあれ、とにかく高校までを卒業していることがこのタイプの要件です。さらに、大学(大学院)に進学、卒業したり、就職して会社勤めまでしてからひきこもる例も、ここに含まれます。





このタイプは、早期に(はじめから)相談場面に現れることがあります。このタイプは、基本的に今まで乗り切ってきた自分なりのやり方が、どうしてもしっくりこないと感じています。





それも、かなり早期から隠れたところで違和感を覚えているようです。あるひきこもりの若者は、中学のころから自分をうまく出せない苦しさを意識しながらも、きっと高校に行けばなんとかなる、大学に行けば違うだろうと思い、その時々をしのいできました。





大学でも自分を出せず、だったら社会に出て環境が変われば何とかなると信じてきました。そうしているうちに、とうとう大学も卒業して社会に出てしまいました。





でも、やっぱりうまくいかないのです。社会に出てしまったら、次がありません。いつまで我慢していったらいいのか途方に暮れてしまって、会社を辞めて現在はひきこもっています。





はっきりとした破綻を見出せないため、怠けと見られることも多いのですが、見た目以上に長期にわたる疲れがあります。援助にあたっては、本人の疲れた心や体を休め、新たな自分自身のやり方を組み立てていくための手伝いをしていくことになります。





「事例   しりごみタイプ  28歳   男性」





母親といっしょに本人が相談のため来所しました。地方都市に住む親もとを離れて、首都圏の大学に進学し、卒業後そのまま同地でコンピューター会社に就職しました。





3年間勤務したあと、配置転換を契機に退職し親もとに戻り、以後約3年間、ひきこもりを続けています。





退職からひきこもりに至った具体的な理由を説明することはありませんが、「何か親もとにやり残したことがあるような気がする」と言っています。





相談開始後すぐに、本人グループへの参加を希望し、以来1年間月2回のペースでひきこもり本人の集うミーティングに参加し続けました。





そこでの会話は、ゲームやTVや生活のエピソードばかりですが、ときおり「履歴書を書くっていっても空白部分を何て言ったらいいのかな」「働いてみたいけど、自信がないんだ」という話題も出されます。





しかし、そういった話題はほとんど発展することなく、また新たに次のミーティングが始まります。しかし、しばらくするとそういった自問(自答)がまた誰かから出されます。





まるで自分自身の悩みをグループでのミーティング場面に溶け出させて、すぐまた引っ込めて、別段何事も起きないことを知って、ホッとする、そんなためらいを許してくれる時間を過ごしているようです。





その後、介護ボランティアを始め、専門学校に入って介護福祉士の資格を取得し、現在介護職員として就労しています。





ひきこもりとトラウマ(心の傷)





「成人が、その生活において外傷を繰り返しこうむればすでに形成されている人格構造が腐食されるけれども、児童期に外傷を繰り返しこうむれば、この外傷が人格を形成し、変形する」。





J・ハーマンはその著「心的外傷とその回復」の中で、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」について、このように述べています。





ひきこもりの若者たちのうちには、いじめ、不登校などによる挫折を体験した一群があります。もちろんこうした体験は、幼児の虐待の被害などとは大きく異なるものです。





しかしそれでも、いじめ、不登校というものはその時期の子どもにしてみると、抗う方法のない、押し潰されんばかりの激烈な体験であり、自分ではどうにもならない、そして自分の存在を根こそぎ危うくする、ただ立ちすくむしかない挫折体験なのです。





だから、その体験が心の傷としてその後の生活(社会活動)や人格形成に影響を及ぼすことは十分に考えられます。





J・ハーマンは、成人の被害者が「あるときまでは健全であり、何の精神的な病理を示す特徴を示していない」「何かがあって、そのときから自分をうまく守れなくなった」と述べていますが、これはこうした挫折体験を経てきた若者たちの場合にもあてはまるように思えます。





すなわち、こうした一群の若者たちは、ある時期まで明るく活動的であり、それがその挫折体験の後に内気、几帳面、こだわりの強さなどを示すようになります。





生育歴上のどこかで、ある種の屈折が見られるのです。こうした抗うすべのない挫折体験が心的な外傷となり、その後に自分を守ることが難しくなり、自らの殻を固くし、心のバリアを閉じ、ときにはひきこもることで自分自身を守ろうとする、これは自然な(健全な)反応であると言えます。





「ひきこもり」イコール「PTSD」ではありませんが、ただでさえ傷つきやすい思春期の難しい時期に、こうした外傷(挫折体験)が重なることで、もはや自力では立て直しがきかなくなることは十分考えられることです。





その時点で、本人はすでにいっぱい傷つけられ、またそのことに効果的に対処できないことで自らを傷つけてきています。





ですから、ひきこもりの本人と出会うときには、心的外傷後の一般的傾向として、本人が傷つきやすい状態に置かれていること、さらなる心的外傷(二次被害)にさらされやすいことに、十分配慮しなくてはなりません。





援助にあたっては、その傷ついた部分を癒すために本人が求めるアプローチを探る必要があります。



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