ひきこもりのコミュニケーション分析
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ひきこもりのコミュニケーション分析

2019年12月30日(月)4:02 AM





コミュニケーション分析の方法の一つに、交流分析という分野があります。交流分析では、人の行動は子どものときに根付いた「禁止令」により、大人になってからもそれに拘束されると言われます。





これはある種の生活信条のようなものですが、本人に明確に意識されることがないままに本人の生活行動や判断を左右します。杉田峰康氏は、グールディングらの示す禁止令として、次の12項目をあげています。





① 存在していてはいけない。





② 男(女)であってはいけない。





③ 子どものように楽しんではいけない。





④ 成長してはいけない。





⑤ 成功してはいけない。





⑥ 実行してはいけない





⑦ 重要な人物になってはいけない。





⑧ みんなの仲間入りをしてはいけない。





⑨ 愛してはいけない(信用してはいけない)。





⑩ 健康であってはいけない。





⑪ 考えてはいけない。





⑫ 自然に感じてはいけない。





ひきこもりの場合も、同じように自分自身を強く拘束している側面があります。ですから、こうした禁止令のどれかに当てはまりそうな気がします。たとえば、ひきこもりの場合は、こんな自分はダメだと思っているわけですから、①「存在してはいけない」に該当しそうです。





また外に出られない状態を見ると、⑧「みんなの仲間入りをしてはいけない」という禁止令に拘束されているように思えます。でも、実際に当てはめてみると、微妙なところでしっくりきません。





なぜならひきこもりの場合は、自分の存在そのものを否定するというより、自分が存在したうえでこんな自分ではダメだという思いでいるのです。仲間入りを否定するものではなく、むしろ外に出て仲間入りしたいと思いながらも、仲間入りできないでいるのです。





自分の心の中の「いつも大人の眼を意識して、周囲に合わせる自分をつくってしまった」「自分がしゃべるとみんなの迷惑になる」という隠れた思いから、自分を律する何かを感じ取ります。





それはまさに、「周囲の期待を裏切ってはいけない」「周りに迷惑をかけてはいけない」といったある種の禁止令です。





ある時期まではそれで乗り切ることができましたが、もはや同じやり方では通用しなくなってしまった、引きこもりの若者たちは、そんな自分を感じています。





交流分析における禁止令は、自分自身を内向きに拘束し、律するものです。でもひきこもりというのは、今見たように常に外との関係を意識しながら自分を圧しとめるという点で性格を異にします。別の表現をすると、ひきこもりの場合には、これに加えてゼロ番目の禁止令があると言ったらいいのかもしれません。





そのゼロ番目の禁止令とは、「すべての禁止令の禁止を外し、すべてを外(他者)に向かって渇望しなさい。そのうえで自らにすべての禁止令を課しなさい」ということにでもなるのでしょうか。





ただし、もし子どもの心の中に何らかの禁止令らしきものがあったとしても、そのことを理由に子育てに失敗したとか、悪い親だったとか決めつけるようなことがあってはなりません。





グールディングらはその著「自己実現への再決断」の中で、「わたしたちは、禁止令の多くのものは実際には子どもには与えられなかったのだと信じている。





子どもは空想したり、発明したり、誤解したり、つまり自分自身に自分で禁止令を与えていることもある」と述べています。





「視線恐怖」と「自己視線恐怖」





思春期によく見られる精神症状に「自己視線恐怖」と呼ばれるものがあります。単に「視線恐怖」というと、他人から見られることを気にする、他者の視線が自分に向かい自分に入り込んでくる(侵襲する)といった恐怖症状を指しています。





これに対し、「自己視線恐怖」は、自分が他人を見ることにより、その視線が相手(自分に見られている他者)を傷つけたり、不快にすると信じ込む症状です。





たとえば、「人前で自分の眼がひとりでに動く」「自分の視野に入ってきた人の方に視線が動き、そのとき奇妙な目つきになる」「そのことで相手に不快な感じを与えたり、あるいは傷つけたりする」「人と会った瞬間から、なんとか早く話しを切り上げようと焦ってしまう」「だからできるだけ人前に出ないようにする」といったことが起きます。「視線恐怖」が他人から見られる恐怖であるとすると、「自己視線恐怖」は「他人を見てしまう恐怖」であるとも言えます。





思春期から青年期にかけてこんな症状で苦しんでいる人たちがいます。ただし、こうした症状は、ある程度人前に出ているからこそ起きるものです。この症状の成立のためには人前に出続けていることが必要であり、実際多くの場合は控えめにせよ人前に出続けているようです。





逆に、この症状ゆえに閉居の状態を続けることは少ないと思われます。もちろん、こうした症状を伴っている引きこもりもありますが、外に出られない状態でいるときはそうした症状だけでなく、別の何かがあります。





すなわち、「何とか外に出なくちゃ、何とかしなくちゃ」という思いと、「でも、こんな自分じゃとても出て行けない」という思いの間で葛藤を抱え、それにより社会的活動を自ら圧しとめているのです。



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