生まれつきのひきこもり?
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生まれつきのひきこもり?

2019年12月28日(土)12:42 PM






「ひきこもりになりがちな性格というのはあるんでしょうか」「性格の問題なんでしょうか」という質問はよく聞かれます。しかし、どうもひきこもり特有の性格特徴というものはないように感じます。一般的には、内向的、几帳面、暗いといったイメージがあり、そして確かにそのような人もいます。





しかし、その一方で、思春期の前半、小学校・中学校ぐらいまでは活発でおしゃべりで人なつこくて、他の子どもたちの先頭を切って遊び回っていたという人もいます。





中には、生徒会の役員までやったという人もいます。これは親など周囲から聞く話もそうですし、本人自身も「あのころはもう何も迷いなく、元気でやっていました」と言ったりもします。





前者は「ひとり遊び嗜好型」に、後者は「燃え尽き息切れ型」に近いものと言えますが、現実にはその両者の姿がさまざまに存在しています。





ですから、生来の几帳面さゆえに小さなことにこだわって、それでひきこもってしまう、といった直線的な図式ですべてを説明することはできません。





不登校の場合を考えてみると、一つの参考になります。学校恐怖症として初めて報告されたのが1953年のことですが、以来1980年代までいろいろな性格特徴の分類が試みられてきました。しかし、不登校の裾野がどんどん広がり、さまざまなケースが把握されていく中で、特定の傾向を探すことが難しくなっていきました。





ひきこもりは、年齢的に学校という枠組みから外れていることもあり、いっそう多様な姿を見せます。ときには大学も卒業し、いわゆる大企業に就職して、数年たってから親もとに戻ってひきこもることもあります。





ひきこもりは、ある特定の性格傾向の人たちだけのものではありません。それどころか、ひきこもりは誰にでもいくつになってもその可能性があるとさえ言わなければならないのかもしれません。ひきこもりというのはある種の相互作用を表す言葉であり、一人きりのまったくの孤独という状態にあるということではありません。





実際には、自室内に閉じこもるとき、家の中では自由に動けるとき、夜間コンビニへ外出ができるとき、自由に外出ができるときなど、いろいろな状態があります。





このうち、特に一人きりで部屋に閉じこもっている場合は、病気の心配をする必要があります。「社会的ひきこもり」という言葉がありますが、対社会という意識があるからここでいうひきこもりになるのであって、周りのこと、世間のことを全然意識しないで自分だけの世界でひきこもっているという場合は、「非社会的ひきこもり」ということになります。





周りからの刺激を十分に感じとることができなくなると、「非社会的ひきこもり」として病気の心配をしなければなりません。本当はこんなことしてちゃいけない、でも自分ではどうにもならないという葛藤を抱えながら、こんな自分ではダメだと自らを圧し止めている場合が、いわゆる病気でないひきこもりと言えるでしょう。





ひきこもりの場合、家族はどうしているのでしょうか。いっしょに暮らしている家族というのは、本人と家にいる時間がほとんど重なります。そうするとお互いに逃げ場がなく、堂々めぐりという困難から抜け出すのは難しくて疲れきってしまいます。





四六時中同じ家にいて、いっしょに暮らしているということになると、うっとうしくなったり気苦労が絶えませんので、否応なしに親の負担が増大します。





ですから、援助を開始するときには、親の負担の軽減を図るというのが最初に必要なことになります。では、援助者から「お父さん、お母さん、いままで大変だったから、あとはわたしたちがやりましょう」と申し出て、親にマウンドから下りてもらうのはどうでしょう。





これは一時的、戦略的なものとして、一つの選択肢になります。たとえば、関東自立就労支援センターは本人を家庭(親)から離し、別な生活の場を提供する「共同生活寮」や「一人暮らし支援」という試みを行っています。





しかし、これはあくまでリリーフ・中継ぎであり、ストッパーとして勝利をもぎ取るものではありません。いずれわれわれはマウンドを下りなくてはなりませんし、そうなると毎日の生活の中で、お父さん、お母さんは再びピッチャー役にならなければならなくなります。





親は最初にその問題に直面するわけですが、最後もやはり親が切り札になるのです。ひきこもりというのは、今のペースでいいとは思えないものの、自分なりのペースが作れないでいるというところに問題のいちばんの根幹があります。





これに対してフリーターというのは、これが自分なりのペースである、自分はこんなものでいいと積極的に自分を認めていこうとするものです。ですから、一般に自分自身をフリーターであると自己認識できれば、基本的にひきこもりとして苦しむことはなくなると考えられます。





「ひきこもり兼フリーター」





全体から見て、ひきこもりの本人が率先して相談場面に現れることは少ないのですが、少ないながらも初回相談に本人が現れることはあります。





高校2年で中退して以来、3年間ひきこもりを続けている21歳の男性は、すでに別の精神科を受診していて、抑うつ状態と診断されていました。





関東自立就労支援センターには、ひきこもりの本人グループに参加したいという希望で、母親とともに来所しました。初回相談カードの「いま困っていること」の記入欄に、自ら「ひきこもり」「フリーター」「このままではダメなので、どうにかしたい」と記入しました。





本人との会話はスムーズに進み、自分の状態を次のように熱心に説明してくれます。「気になることが浮かぶので、ノートに書き出していく。すると、『そんなことしてどうなるんだ』といった言葉が聞こえる気がする。





それは、自分で考えたことなのかもしれないが、よく分からない。そんなことが浮かびだすと、しばらくは止まらない。それが一日に何度か、波のように繰り返される。」





ひきこもりの状態にあるということは、それ自体が極度に追いつめられた葛藤状態が長く続くことを意味します。ですから、誰でも通常以上に敏感になり、精神病に類似した症状が起きることは珍しくありません。





実際、上記のような本人の症状の報告は、非精神病性の引きこもりにあってもよく聞かれることです。しかしこの場合は、同時に本人が自分のことを「フリーター」と表現していました。





そこで、本人の同意を得て精神科医の診察につなげたところ、統合失調症の初期症状が懸念されるとの結果となり、医療的ケアを開始することになりました。





ひきこもりはいつでも精神科的な治療が必要というわけではありませんが、その可能性は常にチェックが必要です。



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
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理事:
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住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援