子どものための「良かれ」は本当に良かれか
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子どものための「良かれ」は本当に良かれか

2019年12月22日(日)10:39 AM






わが子のために「良かれと思ってやってきた」とは、親がよく相談室で口にする言葉です。これは、親が後悔や反省をしたときの言葉です。「良かれ」をやっている最中は、この子の幸せのためが大前提だから、親は自分がやっていることに何の疑問も持っていません。





だけど、子どもが思ってもみないような逆襲をしてきたり、道を外れてしまったりしたときに、「どうしてこうなっちゃったんだろう?」と考え込んでしまうのです。





そこで、はじめて子どもの側の視点に立って物事を見てみると、「わたしは親として子どものために良かれと思ってやってきたんだけど・・・・・(子どもにとってはそうではなかった)」という懺悔の言葉が出てきます。





親の”良かれ”の先には極楽ではなく、地獄もあるのです。そんなことは、まさか思いもよらないのです。”良かれ”は、子どもの幸せを願う親の愛情なのに、なぜ、その先が地獄になってしまうのでしょう?





地獄になってしまうのは、それが親の一方的な価値観を押し付ける”良かれ”だからです。価値観の押し付けが強い親は、たいてい自分がそれまであまり失敗したことがなく、それなりに順調に来た人が多いものです。





今まで何でもうまくやってきてしまった親は、子どもも自分が言うようにしていれば、きっとうまくいくはずだという指導性が強くなり、それが、”地獄行きの良かれ”につながってしまうのです。たいていの場合、勉強ができること、運動ができること、それが子どもの幸せにつながると思っているのです。





自分が子どもだったころの気持ちを思い出す





でも、必ずしもそうはならないことを、誰もが薄々感じているのではないでしょうか。勉強ができることが、必ずしもいいことにはならない子もいます。





勉強ができて、高校をトップクラスで卒業し、いい大学へ行き、いざ社会人になったら人間関係でつまずき、そのままドロップアウトしてしまったという極端な例もあります。





また、子どもの頃から運動神経が抜群で、プロになれると思われていた子が途中で怪我をして、夢があえなく崩れてしまうということもよくあります。





子ども自身が本心で夢に向かって邁進しているならまだしも、子どもは別に勉強が好きでも運動が好きでもないのに、親が”良かれ”と思って強要していると、あとで歪みが出てきます。





実際、カウンセリングのとき、「親の言うことを聞いてやってきたのに・・・・・。僕(わたし)の人生を返してくれ」と口にする若者が、実にたくさんいるのです。学歴重視、偏差値教育の時代に育った親たちが、勉強ができることがいいことだと思ってしまうのは仕方のないことだと思います。





でも、よく思い出してみてください。自分が子どもの頃、自分はどう考え、何が嫌で、何が好きだったでしょうか?子どもの心がわからなくなったら、自分の子ども時代にさかのぼればいいのです。誰にでも子ども時代はあります。





子どもだった頃、勉強だけでなく、友だちと遊ぶことが楽しかったり、親に隠れてこっそりマンガを読んだり、深夜ラジオを聴いたりしていませんでしたか?子どものときの気持ちがうまく思い出せないなら、自分の親があなたに対してどんな親だったのかを思い出してみてください。





親に対する悔しさ、悲しさ、頭にきたことを思い出すのです。だから「親が悪い」というのではなく、その当時の気持ちを思い出せれば、目の前の子どもが感じているであろう不満なども、想像がつくのではないでしょうか。





子どもが今、何を感じ、どう考えているのかを、親がしっかりとイメージして子どもに手を差し伸べ、言葉や気持ちをかけることが、子どもが本当に望むこと、すなわち”極楽行きの良かれ”につながっていくはずです。





その「良かれ」は誰のためなのか?





世の中が多様になってきたとよく言われる昨今ですが、わたしなどは戦後の混乱期のほうが、よほど多様だったのではないかと思います。





当時は、とにかく「生きていくこと」に、皆が必死でした。その中では、いい家の出で、お金も学歴もあり、財閥を築いた人もいますが、逆に中学校も出ていない人や、自分の出生もよくわからないような人が起業して一代で財を成したり、政治家になったりしていました。





当時は世の中に何もなかったから、反対に何でもできたのかもしれません。しかし、社会が安定的に成長し、成熟段階に入ってきてしまうと、表面上は「多様な世の中だから、何をやってもいいよ」と口にはするのですが、実際のところは、「大学は最低限、出ておかないと」と、学歴を最優先する家庭が実は多くなってきているのです。





たとえば、落語家になりたいという息子にも、「なるほど。でも、それは一応大学を出てからにすれば?」と言い、大学を卒業する頃には「やっぱり安定したサラリーマンがいいんじゃない?」と諭したりするのです。





子どもにとってみれば、親に言われるがままやりたいことを我慢して、とりあえず大学卒業まで待ってみたら、結局、夢から遠ざかってしまったというわけです。





もちろん、落語家の全員が真打ちまで行けるわけではないし、アルバイトをしながらでないと食べていけなくなるよりは、サラリーマンになったほうがいいという考え方もあるでしょう。





でも、子どもにはどこか不満が残るはずです。一方、子どもの心配をする余裕もない親だと、「何でもいいから、やってみろ。それで自分で食っていけ。その代わり、助ける金も何もないぞ」と言うかもしれません。





すると、意外に子どもは現実を考えて、自ら落語の道はあきらめ、サラリーマンで宴会部長をやることに自分の生きる道を見つけるかもしれません。





あなたの”良かれ”は、本当に子どものことを思っての”良かれ”ですか?一度、じっくりと考えてみてください。すぐに答えは出ないかもしれませんが、その都度その都度、意識して考えたいものです。



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