不登校の子どもの対人不安を軽減するために、生活空間の拡大を目指す
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不登校の子どもの対人不安を軽減するために、生活空間の拡大を目指す

2019年12月21日(土)4:44 PM





ここでは不登校の子どもの対人不安を軽減するために、具体的に生活空間を拡大することについて考えてみましょう。これは、子どもの生活空間や、子どもをめぐる対人関係を広げることですが、このとき、学校につなげることや、再登校を意識する必要はありません。





もちろん、生活空間や対人関係の拡大の延長線上に、学校や学級があってもよいのですが、学校を意識すると不快感も起きやすいです。また、学校を意識して生活空間を広げようとすると、選ばれる空間や人間関係の範囲も狭まってしまいます。ここで必要なのは、その外出先で「人との関わりで心地よかった」という体験をなるべくたくさん持つことです。





目指すのは、その生活空間の拡大や、対人関係を広げることが子どもに「生活空間を広げた甲斐があった」と思わせる体験となるようにすることです。





そのためには、どこかの生活空間の中に、子どもに対して「そこにいてよい」という「座布団」が用意され、誰かがその座布団を差し出せればよいのです。そのような座布団、居場所があれば、子どもは人間関係を広げることができ、子どもの理解者が増えていきます。





自宅に引きこもっているだけでは、子どもの居場所は広がりません。たとえば、近所の子どもと遊ぶ、級友と遊ぶ、学習塾に行く、児童館に出かける、公民館に顔を出す、適応指導教室に言ってみる、サポート校に出かけるなどが生活空間を広げることです。





大事なのは、その物理的な環境やシステムではなく、それぞれの子どもに見合った「座布団」「居場所」がその場にできることなのです。





「事例   適応指導教室からボランティアへ」





ある適応指導教室に、ボランティアを派遣していたときの話です。適応指導教室の指導主事から、「この教室の近所に養護学校があるんですが、そこのお祭りに適応指導教室の子どもたちを参加させたいのですけど・・・・」という提案が出されました。





そのために、「大学院生たちから子どもたちに、そちらに向かうように働きかけてくれないだろうか」という話でした。4月から下準備をはじめ、適応指導教室の中で子どもの希望者を募りました。そして秋には養護学校のお祭りは成功裏に終わりました。





養護学校の教師、子どもたち、保護者に感謝されました。自分が人のために役立てるという体験ができ、どの子どもたちの動きも活発になりました。





その中にF子さんがいました。小学校高学年から不登校で、中学になってから適応指導教室に通いだしました。おとなしく、人の後ろに隠れている子でした。





そのF子さんが養護学校のお祭りの後、指導主事に電子メールを送りました。「興味本位というのではないんです。知的障害者の方や福祉に興味が出てきました。どこかでボランティアできませんか?」指導主事は喜びました。





早速、近くの福祉作業所を紹介し、事前に主宰者に話を通しました。そこで、F子さんは「ボランティアとして手伝いたい」ということで、電話で連絡をとりました。





ところが電話を受けたのはその主宰者ではありませんでした。別の主婦のボランティアでした。そのボランティアまではその話は伝わっていませんでした。ボランティアは、素朴に問いかけました。「どうして中学生の生徒さんが、昼間の学校のある時間にうちの作業所を手伝いにこれるの?」





不登校の子どもには、厳しい質問だったでしょう。しかし、F子さんは臆することなく、「不登校でずっと学校に行っていなかったこと」「今もその状態であること」「養護学校に行って、自分よりもたいへんな人生を歩んでいく人がいることを知ったこと」「自分も何か力になれればと思うこと」「教育委員会もそれを許可していること」を冷静に、丁寧に語りました。





その後、3ヶ月間、F子さんはその福祉作業所に通いました。それをレポート用紙にまとめ、「卒業論文」と言いながら教育委員会に提出しました。そして、高校にも合格し、高校生活を元気に過ごしています。





人との関りでの傷つきは、人との関りで癒される





F子さんは、自宅から適応指導教室、その適応指導教室から養護学校に、その養護学校から福祉作業所へと生活空間を広げていきました。その中で、他者から頼られ、他者に役立つことの喜びを体験しました。自分がそこにいる意味を見出し、それが次への展開へとつながっていきました。F子さんに限らず、生活空間が広がると新たな人間関係が生じます。





その中で、家族以外に自己を認めてくれる人ができ、その人から自分の座布団が与えられることが大事なのです。ときには、子どものよき相談者が現れます。このケースでは、福祉作業所を紹介した指導主事もよき理解者でした。





また、最初に福祉作業所で電話を受けたボランティアは、F子さんの立派な電話の受け答えに感心し、F子さんのよき理解者、味方になりました。





よき理解者が増えるほど、本人への支えは強くなります。そして、人との関わりの中で心地よい体験が繰り返されます。このことが、子どもの傷つきを癒し、人に対する安心感を与えます。





それが、生活空間をさらに広げることにつながります。このように、人との関わりでの傷つきは、人との関わりの中でこそ癒されていくのです。



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