ひきこもりのタイプ~症状優位タイプ~
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ひきこもりのタイプ~症状優位タイプ~

2019年12月20日(金)6:27 PM





ひきこもりにはさまざまなタイプがありますが、ここでは症状優位タイプを取り上げてみたいと思います。このタイプは、不安、抑うつ、強迫行為、過度なこだわりなどの症状により、社会とのつながりが阻害されているものを言います。





こうした症状は、しばしばひきこもりが続くことによって引き起こされるものであり、また逆にひきこもりの誘因となるものでもあります。





長いひきこもりの生活が続くと、誰でも慢性的な不安緊張や抑うつ気分を味わうものです。そうした症状が生活の妨げとなっているような場合には、一時的に精神科の薬を利用することで、生活状態を改善することができます。薬の利用は、性格的に「すくむタイプ」、「しりごみするタイプ」いずれの場合にあっても、常に一つの選択肢として検討されます。





しかし、「症状優位タイプ」の場合は、まず症状をある程度抑えこまないとひきこもりの本体に近づけないため、特に援助の初期にあって積極的に医療を活用すべきです。





ただし、医療機関につなげればそれで終わりというものではありません。表に表れていた症状が軽減されると、その向こうに隠れていたものが見えてきます。そこに、ひきこもり本体への援助の用意がなければならないことは、言うまでもありません。





「事例 症状優位タイプ    20歳   男性」





母親だけ(後日、両親いっしょ)で相談で来所しました。いじめがあり、中学3年から登校を渋ったことがあったものの、断続的な登校を続けながら中学を卒業し、高校へ進学しました。





しかし、高校1年の2学期で不登校となり、高校を中退し、以来ひきこもりの生活を続けています。本人は、顎のエラが張っている、髪の毛がふくらんでいる、顔が赤らむなどを過度に気にして、繰り返し母親に同意を求めてきます。





親の目から見てもどこがおかしいのかまったくわかりません。しかし、「大丈夫、どこもおかしくないから。気にすることはないから」と何度繰り返し言っても、本人は全く納得しません。初回の相談の予約をキャンセルし、親は本人を病院(精神科)に入院させてしまいました。





本人は4ヵ月後に、診断保留のまま退院となりましたが、すぐに以前と同じようにひきこもりとなってしまいました。そしてさらに数ヶ月たって、ようやく母親だけの初回相談となりました。本人は、親、病院に対する不信感が強く、どこにも相談に出向くことを拒んでおり、現在に至るまで本人とは会えていません。





援助者からは母親に対して、直面化のメッセージとして「そんな顔だったら、どこにも出られないよね」と本人に言うよう介入指示を与えました(これは「相手の気持ちを言葉にする」作業でもあります)。





しかしながら、これは実行されず、母親は親の集いへの参加を続けていきました。その間も毎夜のように母親は本人の「俺の顔、変だろう」という確認の繰り返しに付き合っていきました。





しかし1年あまりたったところで、あまりのしつこさに耐えかねて、ようやくこちらからの介入指示どおり「変だよね。そんな顔だったら、外にも出られないよね」と本人に伝えました。





すると、そのとたんに本人は「やっぱりそうだったんだ」と大声で叫び、泣き出しました。母親は「たいへんなことを言ってしまった」といっしょになって泣き出してしまいましたが、もう後の祭りです。





いくら母親が「そんなことはないよ」「ちっとも変なことはないから」と言っても聞き入れず、本人は「やっぱりそうなんだ」と繰り返すだけでした。





その数週間後、本人は親に相談することなく自分のために小遣いで航空券を手配して、一人でアイドル歌手のコンサートに行ってしまいました。その半年後、通信制の高校に入学することになり、その中で友達との関わりも出てきました。





親の目から見ると、高校に通学していた期間もほとんどなく、若者らしい経験も何もないので、期待と不安の入り混じった気持ちで、様子を見てきました。





でも、20歳になって初めて友達とカラオケに行くなど、遅ればせながら少しずつ若者らしい体験を広げているようです。これまでの経緯を見ると、「症状優位タイプ」ではあるものの、ひきこもりの本体としてはおそらく「すくむタイプ」と考えられます。





今、小さな動き出しを始めているようですが、まだ本格始動というよりためらいながらの試し運転といったところでしょう。援助者の立場からは、過去の不登校前後の挫折体験、不本意な入院体験などによるトラウマ(心の傷)の癒しの必要性を感じますが、これらの課題に取り組むためのもっとふさわしい時期は、きっと本人が選ぶことになるでしょう。





事例化の難しいひきこもり





ひきこもりは、一般にはなかなか事例化しにくいものであると言われます。事例化というのは、個別の相談として援助の対象になるということですが、ひきこもりの場合にはこれが難しいわけです。





わたしの友人の支援者は、10年間家から出ずにひきこもりを続けていた20代半ばの女性の事例を報告する中で、事例化しにくい理由として次の3つをあげています。





それは、①10年前には医療機関を受診したことがあったにもかかわらず、そこでのフォローアップがなされなかったこと、②親のみの受診を医療機関が受け付けない傾向があること、③医療機関以外の相談機関を利用できなかった(情報が与えられなかった)ことです。





これまではたとえば「病気ではないようだし、怠けているだけのようにも思えるし、しばらく様子を見て、また心配なら再度相談に来るように」という程度のアドバイスでいったん相談を終えることが多かったように思われます。





こうしたことは最近次第に改善され、積極的に取り組む関係機関が増えてきていますが、十分に解消されたわけではなく、残念ながら現在もなおひきこもりが事例化しにくい状況は続いているといわざるをえません。





このことは、とりもなおさず公式の援助場面で事例としてのひきこもりと出会うことが少ないということになります。しかし、そうした援助の専門家に私的な立場で聞いてみると様子が一変します。





「実を言うと、わたしの知り合いでずっとひきこもっている人がいて・・・・」「わたしの近所の家の息子さんが何もしないで家にいるみたいで・・・・・」など、日ごろの生活の中で比較的身近な出来事として感じています。



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