不登校・ひきこもりの子どもへの声かけ
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不登校・ひきこもりの子どもへの声かけ

2019年12月06日(金)3:43 PM






「事例  ダラダラしてばかりの子」





息子が高校2年の不登校のころは、荒れて荒れて、家の中の壁という壁がボコボコになりました。それから2年たって、今ではリビングでTVを見るようにもなりました。でも、親としてはその様子を見るにつけ、『毎日毎日何もしないでダラダラしてばかり・・・・。そろそろ自分の将来のことを考えたらどうなの?』と言いたくなります。思い切って言ってやったほうがいいのでしょうか?





この例は、混乱して荒れた時期が過ぎ、ちょうど安定期にさしかかったところです。親としては、荒れてどうしようもなかったころのことを思うと、以前よりは少しはましかなと思います。しかし、毎日何もしないでダラダラしているようにも見え、もうそろそろ自分の将来のことも考えたらどうなんだと思ってしまいます。





あるいは、そういうふうにも言いたくなります。こういうときに、実際に何か言ったほうがいいのでしょうか、あるいは何も言わないほうがいいのでしょうか。





本人は、リビングのソファの上に寝そべってテレビを観ながら、ダラダラしています。何か言ってやろうかと考えると、すぐに「こんなことしてて、これからどうするの?」という言葉が浮かんできますが、これだとやりとりのパターンで本人がいちばん嫌がる<質問>になってしまいます。





ではどうしたらいいかというと、本人に向けて「いい」という言葉を言うのです。本人を見ればダラダラしているようにも見えますが、見方を変えるとテレビを見てゆったりしていられる、リラックスしていられる、そういう状況なわけです。





「ゆったりしていられるのはとてもいいことだね」と言ってあげればいいのです。ずっとピリピリしてばかりで、そのときにはこんなにダラーっとはできませんでした。





それが今、ようやくいくらか緊張が緩んできてこうしてゆったりしていられるのです。「毎日こうやって暮らしていられることが、とってもいいね」と、親のほうから周りの人間から声をかけてあげるのです。





「いい」と言えないと、あるいはそういう気分が持てないと、緊張関係が取れなくて、そこから先へはなかなか進めません。この時期は、とにかく「いい」という言葉がけが必要です。





「いい」と言うことの意味





人間は、理性的動物と言われます。確かに動物の中で、人間の大脳皮質は桁違いに発達し、前頭葉を中心とした高次の精神活動は、他の動物種の追随を許しません。





しかしながらその反面で、人間は極めて感情的な動物でもあります。人は外部からの情報(刺激)を受け取るとき、いきなり高次の精神活動を始めて情報処理を行うのではありません。





何から始まるかというと、最初に感情レベルで大まかに区分けします。認知心理学の多くの研究から、人は入ってきた情報をまず「快ー不快」の二つの次元で区分けすることが知られています。





つまり、内容の吟味はあとまわしにして、まずこの情報(刺激)は自分にとって快いか(居心地がよいか)、不快か(居心地が悪いか)で、最初の(とりあえずの)ふるい分けをするのです。





第一印象と言われるものは、これに近い反応によるものと言えます。またこれは、危険に対してとっさに身を守るための、原始的、本能的なものでもあります。そしてその最初の振り分けが終わった後に、はじめて情報(刺激)の内容の吟味を始めるのです。





言ってみれば、ここに最初の関門があるのです。最初に感情レベルのゲートで、その情報(刺激)が自分にとって不快で有害だと判断されてしまったら、それ以降の情報の取り込みをしないよう、心はいきなり自らの殻を固く閉ざしてしまいます。





これは、生体の本能的な防御機能として、ほとんど自動的に反応してしまう部分です。そうなると外からは情報(刺激)は入ってきません。





さらに困ったことに、心の殻を閉じてしまうと、そのことに多大なエネルギーを費やしてしまうので、高次の精神活動に振り向ける余力がなくなってしまいます。





要するに、最初に「これからどうするつもりなの?」といった不快刺激を与えると、その先は一切話を受け付けなくなるばかりか、いくらそのあと「少しは考えなさい」などと刺激をしても、それで考えが深まるということにはならないのです。





ということは、相手に何かを伝えるためには、心の殻が閉じないよう、最初に快刺激を送り込むことが重要になってきます。そのための言葉が、「いい」の二文字なのです。





「いい」という言葉は、最初の感情レベルの情報処理を、必ず「快」の区分で通り抜けます。すると、子どもが怪訝そうに「いいって、何がいいんだよ」と反論してくるかもしれません。





でも、それはすでに高次処理の部分に入っていることを意味しているわけですから、心配いりません。もし、そのときいいところが見つかったら、それを説明してあげればいいのです。





「こうやっておまえと二人でゆったりしていられるなんて、とてもいいなって思えてさ」で、Okです。でも、もしいいところが見つからなかったら何て言ったらいいのでしょうか。





しばしば「うちの子の今の状態を見ていたら、いいところなんて一つも見つからないですよ」という声を聞きます。そんなときでも、まずはとにかく「いいね」と言ってしまうことです。そして、そのあとでうまい説明が見つからなかったら、「いやあ、ただ何となくいいなって感じたもんだから」でOKです。





大切なのは、何がいいかを説明することではありません。「いい」の二文字を本人に伝えることであり、それにより最初の心のゲートを通り抜けることなのです。





心の殻を閉じるには、大きなエネルギーが必要であり、エネルギー効率から考えて、心というものは本来はいつも開いているものなのです。





もし、心の殻を閉じるとなるとそれだけでエネルギーの大半を使い果たしてしまい、他に考えを深めたり、行動を取るためのエネルギーなど残らなくなってしまいます。





「おまえ、何やってるんだ」と問われ、心の殻を閉じた子が、その時点ではもはや何も考えられなくなっているのは、至極当たり前のことなのです。





ですから、心の殻を閉じさせることのないよう、最初に「いい」という二文字で心の入口につっかい棒をしておくのです。そうすると、きっと今までと違った話ができるはずです。



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