出歩いていてもひきこもり
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出歩いていてもひきこもり

2019年11月30日(土)12:56 AM






ひきこもりとは、なかなか社会参加できずに苦しむ状態のことです。





厚労省の定義に「概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念である」とあるように、部屋や家に閉じこもっているだけをひきこもりとしているわけではありません。





相談での、就労や社会参加に困難をきたしている若者の状態はさまざまです。





相談を受けた若者、家族の聞き取りから次のように区別してみました。





①まったくの閉じこもり状態で、家族との会話もない。家族とでも壁越しに、また仮面を被っての会話、筆談、同じ家にいながら携帯電話、メールなどを使って対話をする。





極端には、自分の意思だけを伝え、相手の話をまったく聞かない。家族であっても、話しかけると拒絶し怒り出す例もある。





②母親など家族の特定の人とは会話をするが、自分の要求だけを伝える。他の人に会わず。





③家族とは自由に話をするが家の中だけの生活で、関心のあることには「会話」をする。





ニュース等のできごとのコメント、他の人の簡単な話は聞いているが、他の人の考えを取り入れない。





父親など特定の人が来ると隠れてしまう人も珍しくない。





④近所にマンガやジュースを買いに行く。社会性のない個人生活ではときどき外出もする。





メル友の集い、サッカーの練習など同じ趣味の集い、アニメやゲームなど関心のあるものに参加する。





⑤家族、または特定の人となら出かける。初めは電車やバスがダメという場合が多い。





⑥定職、仕事の継続が困難、短期就労を繰り返す。





⑦仕事に就いても目標、義務、使命、何かのためなどミッションがない。与えられた仕事は型どおりには行うが、突発した変化に混乱し、処理できない。特定の人以外とは交流もしない。いつも緊張している。





それぞれの状態は単純ではなく、はっきりしているわけではありません。





また、区分の状態も固定しているのではなく、本人の気分でどんどん変化します。





変化の仕方にも、各人の違いがあります。





特に⑥、⑦に区分された若者たちとのつながり、孤立させない支援の必要性を感じています。





共通して、「社会参加を忌避する」「自由に社会参加できない」といえるようです。





支援の対象として見たとき、ひきこもりとは、「社会参加に困難をもっている状態」です。





その要因やきっかけがどうであれ、社会参加を望みながらも社会参加に苦しみ、「非常に困っている」若者の状態です。





「ニートを10年間続けています」という若者がいます。彼はこの定義からいえば間違いなくひきこもりです。





このような困難をもつ若者たちは、5月病、アパシー、モラトリアム、ニート、最近ではネイブルなど、研究や支援の方向からさまざまに呼ばれてきました。





どのように定義され、どのように呼ばれようとも、若者の社会参加を支援しているわたしたちのような支援者には、このような若者すべてが支援の対象者です。





心の問題で就労に困っている若者は、すべてひきこもりであり「社会的ひきこもり」とすべきです。





社会的ひきこもりについて





ひきこもり状態の若者の社会参加を支援・援助することは、社会の責任です。





社会参加できないという状態は、若者にとってそれだけで人権の問題です。





就労できないことは、経済的損失であり、日本社会の将来に関わる問題であり、解決しなければならない課題です。





ひきこもりまたは「社会的ひきこもり」が「精神疾患は除く」と定義されていても、支援の対象から外せません。





精神障害と診断されていても、精神疾患で通院していても、既往症がない若者も、社会参加に苦しんでいるひきこもり状態の若者はすべて支援の対象です。





現実には、障害・疾患がない若者でも、支援のなかでは医療との関係を抜きにすることはできません。





医療との関係を無視して、深刻な事態に陥った例を何度も見てきました。





厚労省「ガイドライン」の資料作成にかかわった全国5箇所の精神保健福祉センターの報告では、ひきこもりの相談に訪れた当事者184人(16歳~35歳)を対象に精神科診断した結果、なんらかの精神障害を有していると診断されたのは149人で、以下はその内訳です。




・統合失調症などを有し、薬物療法を必要とする群(49人)





・広汎性発達障害など、生活・就労支援が必要となる群(48人)





・パーソナリティ障害など、心理療法的支援が必要となる群(51人)





さらに同じく厚労省の調査結果では、「56%のひきこもり経験者がこれまでに精神障害を経験していた。





しかし、精神障害の経験なしの者も44%あった」としています。





ひきこもりとは、社会から離脱し、社会参加を忌避する生活を意味した言葉ですが、わざわざ「社会的ひきこもり」と「社会的」を冠したことには、重要な意味があると感じています。





「社会的」という言葉には、社会から離れると同時に、離れざるをえない理由・要因が「社会的」であることを暗示させます。





厚労省の定義にも、さまざまな要因があることを認めた上で、「要因を障害・疾病と特定できない」としているのです。





精神疾患の要因として、一般的には内因、外因、心因、さらに最近は環境因を加えて4因をあげています。





精神疾患の要因を突き詰めるとその要因・誘因の多くは、環境など「社会的」な要因とつながります。





イタイイタイ病やヒ素ミルク事件を取り上げるまでもなく、社会には精神的混乱や困難を生じる要因となる事象が多すぎるほど多いのです。





特に、成長期の子ども・若者のまわりはどうでしょうか。





星野仁彦氏は「大人の知らない発達障害」(祥伝社新書2010年)のなかで、「こんなに、発達障害疾患の子どもが増えたのは、学校と社会の問題ではないか」と述べています。





学校教育・子育て論など「社会的要因」の側面にもっと観点を絞った調査研究が必要です。





「社会的ひきこもり」という言い方には、ひきこもりが個性、または障害・疾病だけで発現したのではなく、社会の軋轢や支援の欠如からきたものという意味が込められているように読みとることができます。





この捉え方は、家族や当事者の精神的負担を大きく減らし、同時に教育・福祉を問わず関係者の責務と意欲を促す言葉です。





「社会的」という呼称によってひきこもり支援の輪が大きく広まったように思います。





同じことは、今でも続く学齢期の不登校の呼称論争、「登校拒否」か「不登校」かにすでにあります。





一方、「社会的ひきこもりが障害・疾病と異なる」という定義から、間違った混乱も起こっています。





精神病・障害と診断されたことによって、家族や支援者に、支援へのあきらめ、支援への意欲や気力の減退が生じている例が、わたしのまわりでも少なくありません。





障害がある人が社会参加できなくて当然なのでしょうか。





障害を持つ若者は、障害の内容に応じた医療支援を受けて自立を目指すのです。





障害ではないと判定されている「社会的ひきこもり」の若者にしても、その多くは、精神的安定を図りながらの支援が欠かせないのです。



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