不登校研究の流れ
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不登校研究の流れ

2019年11月29日(金)2:53 PM






名称の変遷





引きこもりが社会的に注目されるより早く、登校拒否・不登校問題がまず注目されました。





それは、1932年、イギリスのI・T・ブロードウィンが登校拒否という言葉を最初に使用し、続いてイギリスのパートリッジが、従来の怠学児とは違った神経症的症状をもっていると指摘し、1941年にアメリカのA・M・ジョンソンが学校恐怖症と命名したことが始まりです。





ジョンソンは後に、学校に対する恐怖より母親からの分離に対する不安が問題であるとの考えから、「分離不安症」と呼ぶべきであると主張しました。





次いで、学校嫌いという言い方が出てきて、その後イギリスのカンが1958年に登校拒否という名称をつけました。





さらにその後、疾患単位や症候群ではなく症状とする立場からは、1960年に「不登校」という名称が提案され、一般的に使われるようになりました。





不登校という呼称では、発達を阻害し精神的不安を醸し出した社会的要因を指摘できないという意見が広く起きて、現在では、「登校拒否」の呼称を使用するか、「登校拒否・不登校」と併記する研究者・支援団体も多いようです。





呼称論争などを通じて登校拒否・不登校問題に対する認識の深まりからその後、便宜的に「不登校」という呼び方が一般的になってきました。





支援の流れ





1.1970年代から80年代半ばまでは、「学校恐怖・学校不安」症などから発展して、「母子分離不全」説が広まり、愛情不足、甘え下手、「自立」不全等、親や家庭の問題とする説が根強くありました。





この頃から荒れや勉強嫌いが多くの学校に広まってきました。





2.1980年代に入って、大阪の各地で不登校が見え始めました。「落ちこぼれ」ではなく、競争社会が「落ちこぼし」をつくり、自己肯定感の未熟な子どもが増えたという認識が強まり、そこから、「リタイヤ」や「自分探しの時期」などの説が広まりました。





競争社会の拒否を強調する「登校拒否」という言葉が一般的になりました。





同時に「不登校」の呼び方も広まり、学校や研究者、支援者のなかには、「登校拒否」と「不登校」を区別して論じたり、カウントしたりする向きもありました。





この時期、数が急速に大きく増えたことに加え、呼称の論争もあり、関心が社会的に広まりました。





このときの「登校拒否・不登校は病気ではない」という問題提起が果たした社会的役割は大きいものがあります。





3.1992年文科省は、不登校は「どの児童生徒にも起こりうる」と、社会環境が主要な要因とする答申を発表して、不登校問題は一気に社会問題となりました。





支援教室の利用など居場所の設置や学校カウンセラーの配置など全国的に学校での取り組みが進みました。





文科省による学校不適応対策調査研究協力者会議報告(概要)




登校拒否(不登校)問題について~児童生徒の「こころの居場所」づくりを目指して~





1 登校拒否問題に対応する基本的な視点





①登校拒否は誰にでもおこりうるものであるという視点に立ってこの問題をとらえていく必要があること。





②いじめや学業の不振、教職員に対する不信感など学校生活上の問題が起因して登校拒否になってしまう場合がしばしば見られるので、学校や教職員一人一人の努力が極めて重要であること。





③学校、家庭、関係機関、本人の努力等によって、登校拒否の問題はかなりの部分を改善ないし解決することができること。





④児童生徒の自立を促し、学校生活への対応を図るために多様な方法を検討する必要があること。





⑤児童生徒の好ましい変化は、たとえ小さなことであっても、これを自立のプロセスとしてありのままに受けとめ、積極的に評価すること。






4.その後の答申や見解は、LDなど「後天性発達障害」などの研究を取り入れる理論が強まりました。





発達障害の研究は、これまでの理論と対立し、支援を否定したものではありません。





むしろ「納得」や「自主性」など、これまでの個性・特性を生かした教育の必要性、重要性の主張をより科学的に証明したものとわたしは考えています。





それぞれの特性にあった教育のあり方をいっそう探求し普及させることを期待します。





5.貧困が不登校・ひきこもりを増幅させているという報告が出ています。





東京都板橋区調査(2009年公表)





「2006年度、区立中学校での不登校は127人、発生率2.41%。生活保護家庭の不登校は52人。発生率は11.58%。これは生活保護を受けていない中学生の4.8倍」





東京都杉並区(2008年調査)





「生活保護を受けている生徒70人を調査、不登校発生率8.6%で、これは前年同期の区全体の不登校発生率2.19%の約4倍」





不登校・ひきこもりは、これまでは、「中流以上の豊かな家庭の子どもに起こる精神的問題」と思われてきたように思います。





なかには、「貧しく厳しい生活になれば、不登校・ひきこもりにはならない」などの発現もありました。





しかし、これらの認識を見直す報告です。





「どの児童生徒にも起こりうる」とした文科省の見解が報告されてから10年以上経過しました。






不登校に関する研究は深まったでしょう。しかし依然として発現率は減少していません。



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