不登校の始まりと経過
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不登校の始まりと経過

2019年11月29日(金)2:51 PM








「息子が中学で不登校になったとき、まさかわが子がという驚きと不安で、どうしていいか分かりませんでした。ともかく教えられるままに、相談機関へ駆け込むのが精一杯でした。





県立の3ヶ所の相談所では元気づけられるどころか、かえって自信をなくしてしまいました。先生方も、まだ不登校には不慣れでカウンセリングというより『診断』や『指示』ばかりしていたような気がします」





「しつけに問題があると指摘されれば親としての義務を怠ったと自分の至らなさを責め、本人の資質を問題にされれば、精神科を訪ねて服薬を強いました。





修養団体に参加してみたり、祈祷を勧められたのもこの頃です。やれるだけのことは全部やりました。そのうちわたし自身が仕事をする気力をなくして病気になり、入院しました。





結局、専門家はどこへ行っても似たようなもので、時間ばかりが経っていくようでした。ときには親子心中まで考えた数年間でした」





「中学1年の2学期のある日、『体育で柔道のある日に授業をさぼったり、学校を休んだりします。忘れ物も多いです。何を考えているのか分からない生徒です』と担任に言われました。





「楽しい中学生活を送っているものとばかり思っていましたのでわたしの驚きも大きく、毎日本人を責めました。朝起きることができず顔色も悪いのを無理に起こして、学校に行ってくれと泣きすがったこともあり、先生に頼んで来ていただいたり、登校刺激を繰り返してわが子を追いつめていました。思い出すだけでも胸が痛みます」





以上は、関東自立就労支援センターの相談に来られた親御さんたちの声です。この例で見られるように、不登校は予測が困難です。みな自分の子どもが不登校になってから驚くことになります。





前兆はいろいろあっても、それを警戒信号としてキャッチすることが難しいのです。この警戒信号の受信を妨害するものとして、「うちの子に限って」という親の思い込みがあります。





また、子どもは辛いことや嫌なことは、いろいろな気兼ねや羞恥から親に話したがらないので、親は気づくのが遅れます。これを読んでいる親御さんの子どもは、今どのあたりにおられるのでしょうか。





それを知っておいたほうが対策も立てやすいし、あらかじめ覚悟ができていれば、つらさが減りはしないまでも、それに耐えやすくなるのではないかと思います。





不登校の4つの時期とその特徴





不登校の開始から終了までの推移は、ほぼ3つの時期に分けることができます。それを初期から順に、「動揺期」、「安定期」、「回復期」とここでは呼ぶことにします。





さらに不登校に先立って、それの準備期間があることは確かですから、これを「準備期」と名づけると、不登校に関しては合計4つの時期があることになりますから、あとの便宜のために、この4つの時期の特徴について、もう少し詳しく見ておくことにします。





①不登校の準備期





主な特徴は、無口になる、登校の前に体調が思わしくない、帰ってくるとぐったりしている、学校がない休日に元気がよい、急にはしゃいだり、何かに熱中したりするといったところです。





しかし、これらは子どもの日常生活でよく起こることなので、いま書いたようにたいてい気づかれずに過ぎてしまいます。





気づいたときには、すでに次の動揺期にあるわけで、ここが準備期の終わりです。むろん、この期間の始まりは分かりませんから、持続期間は不定、対策もほとんどたてられません。





はじめにあげた徴候も、不登校が始まってかなりたってから、「ああ、そういえば、あのころはこうだった」と思いあたられたのを書き留めたものです。





ただし低年齢では右のような徴候があらわれず、そのかわり学校にいるあいだ泣いてばかりいるというような場合があります。これは比較的分かりやすいので気づかれることが早く、また感情を抑圧せず堂々と表現しているので、不登校に入ってからの経過も良好です。





といって不登校を予防するために、子どもたちの合図を探知しようと懸命になられることはお勧めできません。予言の自己実現性は別としても、そんな親の姿は子どもにとって、家の中にスパイが一人いるようなものです。





このとき親の子どもに対する信頼は、全身から無意識にでるのではなく頭脳だけのものとなって、子どもの心の底へ届くことはなくなるでしょう。





それくらいなら、むしろ発見が遅れるほうがましかもしれません。





②不登校の動揺期





不登校が始まってから3ヶ月から半年くらいまで、閉じこもり・勉強の放棄・家庭内暴力などと、ネットやテレビや新聞で聞いたことはあっても初体験の親子にとっては苦しい葛藤の毎日です。





腹痛、頭痛のほか「眠れない」「起きられない」「だるい」など全身の不調を訴えることから始まります。下痢・嘔吐・発熱・ぜんそく・湿疹・頻尿・ふるえなどの身体症状が出ることもあります。





精神的反応としては抑うつ・不安・強迫・心気・焦燥などの症状があり(軽率な精神病扱いは不当)、本人には体よりもこちらのほうがずっと苦痛です。





以上のような「症状」は学校を休ませることにすれば、とたんに嘘のように消滅してしまいます。それで親としてはなぜ登校しないのかと、つい聞きたくなります。





しかしそう問われても、たいてい自分でも原因はわかっていないのですから本人には答えようがありません。問い詰められれば答えても、その答えが真実とはかぎりません。





この場合もあまり原因の詮索をしているとスパイの目になります。たいていの場合、ほとんど引き続いて、まとわりつくとか、いっしょに入浴や添い寝などを要求する幼児的行動(退行)が現れます。





これは小学生にかぎらず中学・高校生になっても、男女を問わず現れて母親を驚かせます。しかしこれは一時的なものであって、その要求を満たしてあげればまもなくおさまります(それでも不登校は続きます)。





なお、はじめての不登校では、ことに低年齢の場合、この時期に登校にこぎ着けることがあります。しかし、ここで一番大切なことは、この動揺期の初期(つまり不登校の初期)に対応を誤ると、つぎの安定期が長引くということです。





ですから、叱ったり説教したり、進級や卒業規定でおどすことには慎重でなければなりません。「こんなに元気なら学校にも行けるはずだ」と考えて、ここで登校刺激をすれば初めからやり直しです。





不登校対策の要点は、この時期に集約されているといってもよいくらいです。しかし、人生何事も取り返しがつかないということはありません。





それに、はじめての不登校なら、すべて初体験の例にもれず(はじめての子育てを思い出してください)失敗の連続であるのが普通です。





あきらめず気長に気長にとつきあうのがコツだといえます。





③不登校の安定期





動きのある動揺期から、変化に乏しく固定されたような安定期に入ります。昼夜逆転・無気力・肥満・清潔に対する無関心などがおもな徴候です。





短くて数ヶ月、長ければ数年、まれには数十年におよぶこともあるので、そうとう辛抱強い親でも根負けしてしまいます。お子さんと「関係を保ちながら見守る」よりほかありません。





しかし実は、これが正しい(しかし困難な)方法のひとつだと練達の臨床心理学者や精神医学者は主張しています。それはカウンセリングの究極の形でもあることを念頭において、最後まで見捨てないようにしてください。





子どもが最後に頼れるのは親だけです。





④不登校の回復期





安定期からゆるやかに回復期へ向かいます。この時期の徴候と対応策については、つぎにそのための節を立てました。それらの徴候のいくつかは、それ以前の動揺期や安定期にも現れることがあり、それが回復を待つ間の心の支えになります。





不登校解消の前兆(回復期)





不安な動揺期や、ことさら長く感じられる安定期をすぎていくうちに、子どもが「安心して家に閉じこもり、家族もそれをゆとりをもって見守ることができるようになってくると、子どもに少しずつ前向きの変化が生まれます。





そのころには家族にも変化が見られるでしょう。





子どもの変化





子どもには、およそ次のような変化が観察されます。その意味と注意を( )の中に記しました。起こる順はだいたいこのとおりですが、子どもにより、家庭によっても少しずつ違います。





○ 鼻歌を口ずさみはじめ、ポツポツと、しかしなごやかに話をします。話の相手はたいていまず母親です(そろそろ警戒が解けてきた証し)。





○ 家族の居間から自分の部屋へ、そこで一人で過ごせるようになる(閉じこもりではなくて、独りになれることは、自立への出発)。逆に自室での閉じこもりから、家族の居間へ降りてくる例もあります(これは家族との和解を意味します)。





○ 部屋を片付けはじめる(自分の部屋の意識と、所有の確認は自立へ通じる)。





○ テレビやインターネットからゲームへ、さらに漫画へと興味の中心が移る(たかが漫画と思ってはいけません)。





○ 弟妹、ときには祖父母に意地悪をしなくなる(気持ちの余裕を示す)。





○ 家族との買い物や訪問等、昼間(授業時間中)も街中へ外出できるようになる(学校信仰が薄れる)。





○ 親の意見や言いつけに対して、必要なときはおだやかに「ノー」と言える(しかしノーの根拠を問い詰めるには、まだ早すぎます)。





○ 家事・留守番・買い物を引き受け、電話に出ることができるようになる(社会への窓口が少し開ける)。





○ 退屈を口にするようになる(このようなときは、へたに共感するより「じゃあ、退屈してみたら?」と逆説的に応答するほうが効果があります。登校したいと言い出したときも同じです)。





○ これまで話さなかった学校での古い辛かった出来事を話題にし始める。たとえば中学1年になって、小学5年のときのいじめられた話をする。ついでにその当時の腹痛がうそだったとバレることもある(このとき焦って一度に何でも聞き出そうと欲張るとたいてい失敗します。子どものペース尊重が原則です。またバレたうそは聞き流しましょう)。





○ 自宅学習をはじめる。進路に関する情報を集める(親がいそいそと手伝う必要はありませんが、質問されたら答えましょう)。





こうした前向きの子どもの一連の変化を、わたしは次のようにまとめてみました。前述の具体例に当てはまらないような出来事が起きているときは、その意味を、この基準にそって考えられたらいいと思います。





○ 子どもの気持ちが安定してきている。





○ 家族の気持ちが安定してきている。





○ 学校も子どもに関心を持ちつつ、見守ってくれている。





○ 子どもの生活にリズムが生まれてきている。





○ 子どもの生活リズムと家族の生活リズムとの波長が合ってきている。





○ 子どもが何か家の中で自分のすること、やりがいのあることを見つけている。





○ 遊びや趣味への没頭だけではなく、手伝いや勉強などの試みも始まっている。





○ 子どもの模索行動が家の中から、外の世界にも伸び始めている。





○ これからどうしたいのか、学校のことをどう思っているのか、といったテーマについても、子どもが自分なりに考えてみたり、家族と話し合ったりできるようになってきている。





○ 子どもや家族が、先の見通しが開けつつある実感をつかみ始めている。





○ 子どもが先の見通しを持ち、それに向けての具体的な模索が始まっている。





ここでひとつ、ぜひとも心得ておいてほしい注意があります。それはここで述べたような変化は、ごくゆっくりとしか進行しないということです。





ことに安定期から回復期にかけてはそうです。ですから、時計の針の動きが目に見えないように、毎日顔を合わせている家族には変化が起きていないように見えて焦ってしまうことが多いようです。





しかし時計が一時間あるいは半日たてば、時計の長針も短針も着実に一回転しています。そのように子どもの変化は、少なくとも一ヶ月を単位としてみれば着実に起きているものです。





それを確認するためにも、家族以外に相談相手がいたほうが安心できるのではないでしょうか。



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