ひきこもりになるきっかけ
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ひきこもりになるきっかけ

2019年11月21日(木)5:19 PM






ひきこもりのきっかけを考える





ひきこもりとなるきっかけは、人によりさまざまで一人ひとり異なっています。でも、多くの事例を検討してみると大きく分けて四つの要因が複雑に絡み合っていると考えることができます。





まず、ひきこもった人の個人的な要因として、





①身体的な状態(身体的、精神的な病気の有無)





②精神的な状態(性格・行動傾向)があげられます。次に、ひきこもった時点の環境的な要素として、





③社会的環境(進級、進学、就職、転職、転居等の環境変化、地域特性等)





④対人関係(地域、学校、会社等での人間関係、友人関係、家族内の人間関係)を考えなければなりません。





通常、ひきこもりの「きっかけ」を考える場合、まず、





ア ひきこもるようになった直前にどのようなエピソードがあったのか





イ そのエピソードにどのように対応しようとしたのか





ウ その結果がどうであったのか





とその人の性格や行動傾向(前記の要因②)、次に、学校、職場などでの対人関係上の問題(前記の要因④)を考えることが多いようです。





この考え方は誤ったものではありませんし、「原因」を探る場合には不可欠の考え方でもあります。





しかし、ひきこもりのきっかけを考える場合、対人関係場面、社会関係上の問題を中心にして考えると、時として、大きな見落としをする場合があります。





なぜなら、先に指摘した「四つの要因」のうち、①の身体的な状態、③社会的環境について、十分検討がされないままになっているからです。





また、ひきこもりの「きっかけ」は何かを考える場合には、意図しないことではあると思いますが、ひきこもった人々の「問題性」を明らかにするという視点も加わってきます。





ただでさえ、敏感になっている人には、このような本人の責任追及型、原因発見型の接近法が必要以上に厳しく感じられる場合もあります。





まず、「きっかけ」=原因、「引き金」を考えるのではなく、「きっかけ」をもう少し幅広くとらえて複眼的に検討をしていくことが必要になります。





ひきこもりの「きっかけ」を考える四つの視点





それでは、「きっかけ」をどのように考えていけばよいのでしょうか。





まず、①の身体的なきっかけの有無を検討します。慢性疾患により「調子が悪く」、「授業などの集中力が欠けてしまい」、「やる気がなくなって」、また「現実に家を出ようと思っても出られない」などの理由から、ひきこもりの状態になることがあります。





このような場合には、原因となる疾患を発見し、適切な治療を加えることで問題は自ずから解消する方向に進みます。しかし、身体的な疾患だけではなく、精神的には疾患によりひきこもりの状態になることもあります。





次に、③の社会的環境を検討します。





「転校をきっかけに、学校内で孤立しがちになった」、「運動会や文化祭で大きな失敗をして人前で恥をかいてしまった」、「怪我をして長期間学校を休まざるを得なくなり、久しぶりに登校したら『自分の居場所』がなくなっていた」、「高校に進学したが、友達ができなかった」、「アルバイト先で、上司と大げんかをしてしまった」、「自分の『失敗』が地域内でうわさになっており、恥ずかしくて出歩けない」などの原因で、学校や職場に出て行けなくなり、家から外に出られなくなることもあります。





このような場合には、本人を取り巻くさまざまな環境を検討し、本人とよく相談しながら、環境を変えたり、調整することでひきこもりから立ち直っていくことがあります。





周囲にいる人にとっては些細なことでも、本人にとっては、「非常に大きな問題」であると考えていることもありますので、何が気になっているのか、どのような軋轢があって解決策を見出せないのかを検討することが大切になるでしょう。





第三に、④の対人関係のあり方を検討します。





学校でも職場でも、「いじめ=いじめられ」の関係があるのかどうかを最優先して検討します。





周囲の大人は、自分たちの経験を引き合いに出して、「『いじめ=いじめられ』の関係は昔からあった。そんなに大したことはない」と考えがちですが、最近のいじめはいじめの明確な理由があるわけではなく、しつこく、陰湿で、逃れにくいという特徴を持っており、一度いじめの対象となると生きる力が徐々にそがれてくるような経験をするといわれています。





したがって、いじめの被害者という立場に立ってしまうと、自分を守るためには「いじめ」が発生している場所や対人関係から「ひきこもる」という方法をとらざるを得ません。





このような「いじめられ」によるひきこもりは、「弱い子」だけではなく、暴走族に参加していた「ツッパリ少年」にも生じています。





また、ひきこもりが多発する時期である「思春期」、「青年期」に特徴的な「過敏さ」が原因になっていることもあります。人と接することで、相手のちょっとした言動に傷ついた経験は誰にでもあると思いますが、自分の心の傷つきとともに相手の心を傷つけるのではないかと過剰に恐れることにより、対人関係からひきこもってしまうこともあります。





たとえば、「あの人は親切心で言ってくれたことかもしれないが、僕の気持ちを汲んでくれなかった。正しいことだけど、受け入れたくない。





これと同じように、僕も他の人を傷つけてしまっているのではないだろうか」などと考え、「人を傷つけない」ために、ひきこもってしまう場合もあります。





また、家庭内での人間関係を検討することも必要です。家族関係の質と量の適切さを検討する必要があります。これは、家族の年齢や家族構成によって大きく異なってきます。





赤ちゃんのときに必要な質と量の母子関係が思春期まで濃厚に残っていたとしたら、問題が発生することはある意味では当然です。





最後に考えることが、ひきこもる人々の性格や行動傾向についてです。ひきこもる人々の性格や行動傾向については、多くの人が多くの論文を書いています。





たとえば、「年齢に比して、人格の成熟が遅れている」、「自己愛が強く、自尊心が傷つくことを極端に恐れている」、「不安が強く、他人と同じことができないのではないかとおびえる」などのざまざまな分析があります。





ひきこもりを考えるうえで、本人の性格や行動傾向が大きな要因であることは間違いありません。しかし、その性格や行動傾向がどのようなきっかけで本人をひきこもりの方向に動かしたのかを分析することなく、性格や行動傾向だけを前面に押し出すことには問題があります。





複数の視点を持とう





「ひきこもりのきっかけ」を考えようとすれば、具体的に何事が起こったのかというエピソードを追求しがちになります。エピソードを追求すればするほど、なぜそのようなことが起こったのかという原因を発見しようという姿勢が強くなってしまいがちです。





しかし、目の前の「ひきこもり」の問題を解決しようとする場合には、原因を追究することは大事なことではありますが、ただちに必要になることではありません。





ひきこもりについては、多くの要因があり、さまざまな問題が複合し、ちょっとしたきっかけで「引き金」が引かれてしまうという経過をたどることが多いようです。





ひきこもりのきっかけを探ろうとして、ひきこもり前後のエピソードを一生懸命に探ったとしても、「引き金」となった事実を発見することはできます。





しかし、事実がわかったからといって直ちに解決に結びつくことはほとんどありません。むしろ、「きっかけ」にのみこだわらず、ひきこもりに至るさまざまな要因について、複数の視点から検討を加え、ひきこもりを総合的に考えることが大切です。





さらにいえば、その際に、「ひきこもった人」の問題性に直接に迫るのではなく、まず、ひきこもりが「やむを得ない選択であった」と考えることができる視点から、次にその人の責任を追及する危険性が少ない順番に検討を加えることが望ましいようです。





というのは、「ひきこもった人」は、ひきこもりにより、何らかの自責の念や不安感が強まっているのが当然だからです。





ひきこもりの原因を追究され、責任を追及され、むりやり社会に再参加させられると思うことで、ますます問題がこじれる可能性があります。





きっかけを知り、原因を知るということは、ひきこもりから立ち直ってほしいという大きな目的があってはじめて可能なことです。





ひきこもった人の気持ちが落ち着き、社会に出て行くエネルギーが少しでも強くなるような形で、「きっかけ」を探ることが大切です。





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