ひきこもりを生む社会的要因
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ひきこもりを生む社会的要因

2019年11月19日(火)7:24 PM






現在、ひきこもりの若者たちが増えてきていることが指摘されています。この背景にはさまざまなかたちで社会的な問題が反映していると考えられます。





つまり、単なる個人の問題ではなく、そこには複雑な時代性が色濃く反映しているといえます。





そこで、時代の変化を念頭におきながら、家族、生活状況、学校という三つの観点からこの社会的要因を検討してみたいと思います。





まず第一に家族です。家族の形態が確実に変化してきました。現代の家族は少子化と核家族化が進んできています。このことは若者たちのひきこもりと密接な関係があると考えられます。





このような状況は、人間関係を処理する学習の機会を得にくくしているのです。





わたしは幼児を持つ母親からの相談を受けることも多いのですが、「幼稚園でなかなか人の中に入っていけません。近所に同じ年頃の子どももいません。





お友達をつくるにはどうすればよいでしょう」というような質問を多く受けます。最近の子どもたちは対人的なトレーニングをつむ機会が得にくい生活環境にあるのです。





また、核家族化し、生活も豊かになってきている現状を見ると、「数少ない子ども」は家のなかでのヒーローやヒロインになってしまうようです。





愛情を子どもに注ぐのは大いに結構です。ところが、親の勝手な理想や願望を「数少ない子ども」に一方的に押しつけるとなると、子どもたちは不健全な自己愛に追いやられることになります。





このような子どもたちは自己中心的であるだけでなく、非常に傷つきやすいもろい子どもになってしまうのです。





相手のちょっとした言動でひどく傷つく、また、相手の気持ちを共感する力が乏しい、こういう子どもたちが対人関係を避け、閉じこもるようになるのは容易に想像できることだと思います。





また、家の構造もかなり変化しました。昔に比べて子どもが自分の個室を持つ家が多くなりました。ひきこもりのケースの多くが閉じこもる部屋を持っているという指摘があります。





個室を持つことが良いかどうかはさておき、ここで注意しなければならないのは、このような状況だからこそ親子のコミュニケーションや触れ合いを大事にする配慮は欠かせないということです。





親の一方的な期待の押しつけや過干渉的な態度への抵抗として自室に閉じこもるケースもよくあります。





特に、親と子どもが「相互」に触れ合う、自然な気持ちの交流ということが大切になるでしょう。





さらに生活状況を見ていくと、遊び方、娯楽の大きな変化があります。自室にテレビやゲーム、パソコンなどを持ち込んでいる子どもや若者がたくさんいます。





昔であれば、「家のなかにいてもつまらない、外へでも行くか」ということになるのでしょうが、家のなかにいても今はゲームやパソコンでけっこう楽しめてしまいます。





一人でいても苦痛ではない状況があります。このような生活環境もひきこもりの一つの要因でしょう。わたしは不登校やひきこもりの若者たちと数多く接していますが、ゲームが大好きで家では大半の時間をゲームで遊んでいるという子どもはたいへんに多いという印象があります。





家で一人でいても退屈せず、あまり苦痛ではないのです。ただ、ほんとうに楽しんでいるかどうかはまた別の問題です。





一方、ひきこもる若者たちの多くは、無気力ではなく、「現状を何とかしたい」と思っているという指摘があります。無気力で家にひきこもっているのではなく、心の中では「何とかしたい」と思っている人がたくさんいます。





また、焦る気持ちも強いものがあります。ところが、実際にはどうにもならないから辛い思いをしています。結局、依然としてひきこもるしかないといういわば悪循環を形成している状態が続きます。





ほんとうはひきこもりたくない、しかし、ひきこもらざるをえない、そうなるとひきこもっていること自体が自己嫌悪を引き起こし、心の傷になります。





そして、長い間ひきこもることになれば、それだけ心の傷も深くなります。このような視点を理解することも大切です。





さて、家族の問題と同様に、ひきこもりに関してもっとも大きな社会的な問題はといえば、やはり学校教育です。





子どもたちは生活の多くの時間を学校で過ごします。子どもにとって学校というのはきわめて大きな存在です。また、学歴についての親の期待が問題となります。





若者たちのひきこもりを見ると、不登校をきっかけに始まるケースが多いことを考えても、学校の問題がひきこもりと密接な関係があることが理解できるでしょう。





ただ、注意しなければならないことは、「不登校イコールひきこもりではない」ということです。





不登校はあったが、その後、社会で適応している子どもたちもたくさんいますし、また、不登校はなかったが、思春期から家に閉じこもってしまったというケースも多々あるからです。





ただ、学校に行かない子どもを「ひきこもり」状態に追いやるような環境がいまの社会にあるという現実は認識すべきです。





いずれにしても、学校教育の問題は、ひきこもりを考えるうえでは避けては通れないものだといえます。





学校を取り巻く問題の中でも学歴偏重主義が問題だとする指摘は多く見受けられます。社会的ひきこもりの事例は圧倒的に男性に多いという指摘がありますが、これはひきこもりが学歴偏重主義と関係があることの一つの証かもしれません。





良い学校へ入って、良いところへ就職をして、社会でがんばらなければならない、そういう期待度は男性のほうが高いということなのでしょうか。





最近の子どもたちは、傷つきやすく脆いナルシストが増えてきているように感じます。このような子どもたちが就学すると、どのような状況が待ち構えているのでしょうか。





学校では「多数決」や「平等」といった、いわば「自由の幻想」を与えられます。ところがその一方で、内申書や受験という過酷な競争原理へと向かわせます。





これは一種の二重拘束状況といえないでしょうか。このような状況は傷つきやすい子どもたちにどのように影響するのでしょうか。





子どもたちを出口のない迷路へ追いやってしまうのではないでしょうか。現代の若者たちのひきこもりの背景には、学校の抱える問題も見過ごすことはできないでしょう。



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