親離れの心理過程
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親離れの心理過程

2019年11月14日(木)4:36 PM






ここでは、子どもたちが親の保護を離れ、自らの生活を自分の力で切り開いていくという思春期から青年期にかけての心理的な課題をひきこもりとの関連で概観したいと思います。





思春期は、まず性について身体的に大人としての体制が整い、これに引きずられるようにして心理・社会的体制が整えられていく過程としてとらえることができます。





通常、性が意識されるのは、女子ならば初潮という比較的はっきりした出来事が契機となり、これについてはその心構えや対応などがあらかじめ母親などによって行われています。





一方、男子の場合には、声変わりが始まり、髭・陰毛などが生え、夢精を体験することなどが契機となりますが、これらについては親があらかじめ教えることは比較的まれであり、本人の当惑は大きいといえるでしょう。





また、性の問題については、社会にこれほど情報が溢れているのに、家庭のなかでは話題にならず、子どもたちは性の目覚めや性に関して留意すべき妊娠の予防や責任などについてあまり知らされていない実情が認められます。





そこで、子どもたちは性に関する情報源が必要になりますが、知識面の情報源ではインターネットが、相談相手では同性の友人、先輩が中心的な存在で、親と答える例はきわめて例外的だといえます。





このように、性にまつわる出来事や心の動きは、近親相姦タブーの影響もあって、家族に対しては秘密になりやすく、この年齢の子どもが個室を欲しがったり、机に鍵をかけたり、部屋の掃除をするなと言ってみたりするのは心の秘密を保持したい気持ちの現れです。





幼いときは、親が自分の気持ちを察して、先回りに何かしても不思議でないばかりかそれはある意味で便利でもあったのですが、この年齢になると勝手に先回りして準備をされたり、自分が話さないのに自分の気持ちを言い当てられたりすると非常に不愉快に感じるものです。





それは、自分の心の中にはむやみに入り込んでほしくないと感じ始めているからで、前述の個室を欲しがる行動などは心の中味が筒抜けになってしまわないように、自分の心と家族との間に壁をつくる作業を始めているとみていいでしょう。





このようにして、性についての意識は子どもの親離れを促進する意味を担っています。それまで無邪気に何でも話していた子どもが急に口数が少なくなったりすると、親は不安と同時に何か寂しい想いを抱きますが、ここで親がその寂しさから子どもの生活に過剰に介入すると、それは子どもの自立を妨害することになります。





一方、子どものほうは、妙に異性を意識して恥ずかしさを感じたり、眠っている間に夢精を経験したり、自慰を覚えたりするとそれを自分だけの心の秘密として保っておくことは不安なので、家族以外の誰かにその秘密を打ち明けたくなります。





その相手は、子どもが自立について十分な自信が得られるまでの間の依存対象という意味も担っていて、同世代の親友や兄貴的な先輩であったり、時には親しい悪い仲間であったりします。





ところが、競争社会で育ち、自分自身がいじめられたり、同級生がいじめにあう場面を見聞きしながら育った「いじめ世代」の子どもたちは、不安、悩み事、周囲の人に対する好悪の感情、まだ十分な自信が持てない信念や主張などを友だちに打ち明けることには非常に臆病になっています。





このような特徴は、たとえば、大学生になっても目立つ行動にはきわめて用心深く、そのため個人発表が義務づけられるゼミを嫌がり、質問は授業中ではなく授業が終わった後に一人で聞きに来るなどの傾向のなかに見出すことができます。





また、深い付き合いを避け、浅く広い交際を好む傾向が一般化していて、女子高生の間では、スマホによる頻繁なメールの交換が見られますが、これは二人の間だけで情報交換する内緒話的な機能が大きく、第三者を排除していることで親密感を強めているとみてよいでしょう。





しかし、この種の二人の間の内緒話的な交流は、絵文字を使った軽いノリで行える場合がもっとも有効で、一方の話の内容が少し深刻になると、相手は応答が億劫になって離れてしまうことなどが起きるといいます。





他方、インターネット上のチャットやメール友だちの場合は、スマホと違って長い文章による交流が可能になりますが、匿名の交流が原則でそれだけ言いやすさはあるものの、豊かな情緒的交流や心情的な支えを求めるには限界があります。





この年齢では、性の問題に限らず家族のこと、友人のこと、進路のことなどで不安を抱きやすいのですが、少し悩みが深くなるとなかなか言葉にはしづらくなり、じっと隣に座っていて悩みの中味には直接触れずに悩みを抱いていることだけに共感してくれるような相手が欲しくなるものです。





こういった役割を果たしていたのが、以前は親友であったと思うのですが、これには生身の人間との接触が必要で友人関係の豊かさがメールやプリクラの数の多さで計られるのとは、いささか趣を異にするといってよいでしょう。





そのため、軽い表面的な交流だけでは満足できないような大きな挫折を感じたときには、孤独感を強め、社会的場面から身を引くか自分のなかにこもることになるのではないかと思われます。





このとき、家族が子どもの心のなかに介入しすぎないで、どのように助けられるかがひきこもりの問題を解く鍵になります。



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