不登校・ひきこもり~主訴の共有化~
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不登校・ひきこもり~主訴の共有化~

2019年11月11日(月)1:54 PM

 

 

 
 

 

主訴を共有することの大切さは、以前このブログでも強調しました。

 

 

 

 

 

子供との関係でも、子供自身が「何を問題とし、どうなりたいと願っているのか」の主訴を理解し、援助そのものの方向性を定めることは重要です。

 

 

 

 

 

この作業は、面接の場を意味づけるので、カウンセリングでは「場面構成」と呼びます。

 

 

 

 

 

場面構成で、援助を受ける人の悩みを把握することは、基本中の基本です。

 

 

 

 

 

カウンセリングであろうが、心理療法であろうが、遊戯療法であろうが、子供にとって、「その場がいったいなんのためであるのか」「何を目的としているのか」を、援助する人と共有する必要があります。

 

 

 

 

 

特に、援助の関係が始まる段階で、カウンセリングなどの援助場面を意味づけられないと、その後の援助関係は円滑にいきません。

 

 

 

 

 

同じかかわりをしていても、意味づけの仕方次第で効果の及び方は全く異なったものになります。

 

 

 

 

 

カウンセラーの巧拙は、この意味づけかたにあるといってもよいくらいです。

 

 

 

 

 

不登校を「問題」と考え、カウンセリングなどの場面にその子供を登場させるのは、保護者などの子供の周囲にいる人です。

 

 

 

 

 

「学校に行かない問題児を行けるようにしてほしい」という意味づけが与えられます。

 

 

 

 

 

そして、子供が相談の専門家の前に引っ張ってこられること多いです。

 

 

 

 

 

そのために、不登校の子供が解決したい一番の問題が不登校であるとは限りません。

 

 

 

 

 

「自分を『問題児』として周囲が扱うことが、一番の問題だ」と子供が感じている場合も少なくありません。

 

 

 

 

 

あるいは、学校が理不尽なことや、保護者が無理解なことを訴えたい場合もあるにちがいありません。

 

 

 

 

 

例えば、「こちらには、親御さんからどんなふうに言われてきたの?」「自分ではどんな場所だと思う?」「親御さんは、何を願って君をここに連れて来たのかな?」「自分としては、困ったこと、助けてほしいことはあるかな?」などの言葉かけをします。

 

 

 

 

 

その一方で、相談の場とはどのような場であるのかの説明を行います。

 

 

 

 

 

例えば、「ここでは、君に困ったことがあるのなら、その困ったことについてどうしたらよいのか一緒に考えていけたらいいなと思っているんだけれど・・・・・・・・。それを聞いてどんな感じがする?」

 

 

 

 

 

「ここで君が話したことは、君の許可なしに誰かに話すことはしないし、親御さんに対しても、君のOKがなければ話さないからね」などと言います。

 

 

 

 

 

さらに、保護者から事前に情報を得ている場合には、その概要を話し、保護者やカウンセラーの側に事実誤認がないのかを確認します。

 

 

 

 

 

そのうえで、自分として困っていることがないかの確認をします。

 

 

 

 

 

例えば、「親御さんは、君が学校に行けないということがあって、そのことで君が大変なようなので何とか問題を解決していけるように手伝いたいということで、こちらにいらしたのだけれど・・・・・・・。そう聞いて、君からすればどんな感じがする?」などと尋ねていくのです。

 

 

 

 

 

  抱える・支える

 

 

 

 

 

語る雰囲気を作り出す

 

 

 

 

本人が問題とすること、援助してほしいことが確認できた後は、いつも「学校に行かない」ことを話題にするのは息が詰まります。

 

 

 

 

 

問題について、絶えず語り合う必要はありません。

 

 

 

 

 

不登校や引きこもりの問題は、解決までに時間のかかる問題なのでゆったりと構えます。

 

 

 

 

 

最初の段階では、本人の語ろうとする意欲や、表現しようとする意欲を引き出します。

 

 

 

 

 

そして、その語りや表現を支えます。

 

 

 

 

 

そのために、援助者が促すのは具体的には、「問題と関係のあることないこと、どんなことでも自分が話したいこと、伝えたいことがあったら、ここではどんな話をしてもいいからね」などと述べます。

 

 

 

 

 

その場は、語りや表現を妨げない場であり、その関係を重視することを強調します。

 

 

 

 

 

このように言葉の上で表現を促すことも重要ですが、それ以上に自分の身体全体で、子供自身を包み込むような空気を作り出します。

 

 

 

 

 

その空気で子供全体を包み、抱え、支える感覚を持ちます。

 

 

 

 

 

これは感覚的な話ですが、空気で包み込むような感覚は、出会いの最初から最後まで一貫して持ち続けたいものです。

 

 

 

 

 

本人のさまざまな表現を保障するとは、このような空気や雰囲気で包むことです。

 

 

 

 

 

このことは、温かく子供を受けとめるということでもあります。

 

 

 

 

 

カウンセリング用語で、「共感」という言葉もありますが、通常、この言葉でイメージされることとは少し違います。

 

 

 

 

 

子供との面接では、共感よりも心理的な距離は近い方がよいです。

 

 

 

 

 

共感よりも暖かい受けとめの空気があり、その中で子供との援助関係が結ばれるのが理想です。

 

 

 

 

 

端的に言えば、援助する側が目の前の子供を「可愛い」、あるいは「可愛げがある」という感覚が抱けることが重要です。

 

 

 

 

 

大人の場合では、この感覚では心理的距離が近すぎます。

 

 

 

 

 

しかし子供の場合は、大人の相談関係よりも心理的な距離が近い方がよいのです。

 

 

 

 

 

また子供の場合では、かかわる側が「子供好き」であることが大事です。

 

 

 

 

 

子供の年齢が幼ければ幼いほど、言葉よりもノンバーバルな部分、非言語的なレベルのメッセージが伝わりやすいです。

 

 

 

 

 

特に、自分のことを好いてくれる存在かどうかを子供は的確に判断します。

 

 

 

 

 

その判断は、大人よりも鋭いです。

 

 

 

 

 

「子供好き」であるかどうかが、子供には簡単に伝わるのです。

 

 

 

 

 

子供を支え、子供の表現を保障するうえでも、また、不安や恐れなどのさまざまな不快感をぬぐい去るうえでも、かかわる側が「子供好き」でありたいものです。

 

 

 

 

 

これまで強調してきたことは、関係作りという意味では、「ラポール」や「リレーションづくり」などとも大きく関連します。

 

 

 

 

 

「ペーシング」、つまりペース合わせや相手の文化に合わせていく「ジョイニング」などの技法のことです。

 

 

 

 

 

例えば子供の動作や語りのペースに合わせます。

 

 

 

 

 

姿勢や呼吸を合わせ、自分が相手の座席に座っているような感覚になります。

 

 

 

 

 

そして、合わせ鏡のように同じ姿勢をとります。

 

 

 

 

 

そして、子供の言葉を繰り返します。子供がその場で感じてる感情がわかれば、その感情を代弁するように言語化します。

 

 

 

 

 

しかし、「ペーシング」や「ジョイニング」で用いられる技法は、最初の関係作りの段階だけが重要なのではありません。

 

 

 

 

 

援助のすべての期間を通して、一貫してその空気を保つようにするのです。

 

 

 

 

 

聴くテクニックとしての「繰り返し」「要約」

 

 

 

 

 

語りやすい雰囲気を作るうえで、会話の具体的なテクニックでは話を聴くことが重要です。

 

 

 

 

 

話を聴くとは、何も語らずに「ふんふん」と耳を傾けることではありません。

 

 

 

 

 

積極的、意図的に、相手の語ったことを、「繰り返し」することや、「要約」することです。

 

 

 

 

 

中でも、「繰り返し」の重要性は、強調し過ぎてもし過ぎることはありません。

 

 

 

 

 

「繰り返し」は、相手の発言の中から、瞬時に重要と思われる部分を切り取り、即座に返すことです。

 

 

 

 

 

相手の思考や感情を妨げない程度に、発言部分のどこに焦点を当てて繰り返すのかを定めてから繰り返します。

 

 

 

 

 

相手のどの発言部分を切り取るのかが、カウンセリングの応答構成の巧拙を決定するといってもいいです。

 

 

 

 

 

繰り返しで焦点を当てるのは、感情や身体感覚と関連する用語を含めるのがコツですが、瞬時にそれができるようになるには、相当のトレーニングと体験が必要です。

 

 

 

 

 

相手の語る言葉を繰り返すことは、話を聴く上で数多くの意義があります。

 

 

 

 

 

第一の意義は、自分の語ったことを繰り返されることで、クライエントはしっかりと受けとめられたと感じられることがあります。

 

 

 

 

 

第二は、言葉が繰り返されることで、時間のすき間が生まれることがあります。

 

 

 

 

 

この時間のすき間が、一連の思考の流れに緩やかな中断を生みます。

 

 

 

 

 

この思考の中断が、自分だけで考えている場合よりも思考速度を緩めます。

 

 

 

 

 

第三の意義は、自分が語った言葉を他者から聞かされることの効果です。

 

 

 

 

 

これが、自分が語った内容を客観視させるように働きます。

 

 

 

 

 

以上のことが、クライエントの思考を深めさせ、感情を内面化させる働きを持ちます。

 

 

 

 

 

また、「繰り返し」は、援助する側にも次のような意義を生みます。

 

 

 

 

 

第一に、相手の語った内容を記憶することに役立ちます。

 

 

 

 

 

相手の言葉を繰り返すと、その言葉のまま記憶のなかに留めやすくなります。

 

 

 

 

 

重要と思われる部分の発言を繰り返して、キーワード化して頭に刻み込むのです。

 

 

 

 

 

耳から入った短期記憶を、長期記憶にとどめるために、語られた言葉を繰り返すのです。

 

 

 

 

 

第二の意義は、「繰り返し」がカウンセラーに心理的にも思考的にも余裕を作り出す点です。

 

 

 

 

 

自分が語ることで、話の受け手にも隙間時間ができます。そこで作られた隙間時間の中で、次に自分の語るべきことや話題を転換するなら、何の話題に転換するのかということや、事例理解などを考える余裕ができます。

 

 

 

 

 

メタ認知をフル回転させる余裕が、援助をする人には必要なのです。

 

 

 

 

 

一方、「要約」は相手の語ったことを総括して示すことです。「要約」が意味を持つのは、特に重要と思われるところを確認する場合です。

 

 

 

 

 

また、繰り返し損なったときに要約する場合、つまり、繰り返しの失敗を補うためや、話題転換や話題を軌道修正するきっかけに利用することもあります。

 

 

 

 

 

その分、「要約」のほうが話題の流れを押し留め、クライエントの思考を遮る力があります。

 

 

 

 

 

したがって、「要約」よりも、「繰り返し」を上手に使って、微妙な軌道修正を行っていくほうがカウンセリング・テクニックでは上等です。

 

 

 

 

 

上手なカウンセラーほど、「要約」よりも「繰り返し」を多用していると考えたほうがいいでしょう。

 

 

 

 

 

もちろん、このようなテクニック以上に、相手の語ること、表現するところを喜び、語ることを面白がり、相手の存在そのものを援助者が心地よく感じることが大事です。

 

 

 

 

 

そのように感じている人は、上手に繰り返しているはずであり、無理に繰り返さなくても自然と相手の思考、感情に添った応答になっていくはずです。

 

 

 

 

 

ところで、子供が低年齢の場合には、会話での交流には限りがあります。

 

 

 

 

 

たとえば、遊戯療法が適用になりますが、遊戯療法ではなくても遊びを媒介にしながら関わることが少なくないでしょう。

 

 

 

 

 

特に教員や保護者など、子供に関わる大人の場合では、遊びを媒介にすることで子供とスムーズに付き合えるはずです。

 

 

 

 

 

遊びに限らず、子供が興味をいだくこと、子供自身が得意に思うことを一緒に行うのは、不登校の援助に限らず子供の心理的な援助の基本となります。

 

 

 

 

 

そして、遊びを一緒に行うと、子供の言語化や表現は引き出しやすくなります。

 

 

 

 

 

そのようにして、相手の語るところ、表現するところを、「可愛げがある」という心持ちで見聞きします。

 

 

 

 

 

その感覚を保ちながら、そこで語られる話やそこで表現される感情を「繰り返し」で応じます。

 

 

 

 

 

それが、子供の表現をしたいという意欲を引き出していくのです。

 

 

 

 

 

 

聴くテクニックとしての「質問」

 

 

 

 

 

 

しかし、よくよく聴いていくと、次第にその内容や感情が微妙に揺れることや、時間的な経過に伴って変化していることに気づくはずです。

 

 

 

 

 

「好きだけれども嫌だ」「行きたいけれども行きたくない」など、矛盾した感情や行動を持つのは、悩みを持つ人に共通です。

 

 

 

 

 

これを「アンビバレントな感情」「アンビバレントな行動」と呼びます。

 

 

 

 

 

同じ面接の中でも、前半部分で語っていたこととは矛盾した感情や行動が語られることがあります。

 

 

 

 

 

あるいは、回を重ねるにつれて、感情や行動に変化が見えてくることもあります。

 

 

 

 

 

そのようなときには、その微妙な心の機微や心境の変化について、「質問」し、確かめます。

 

 

 

 

 

「さっきは○○と言っていて、今、××だと言ったよね・・・・・・。その違いはどこにあるの?」などのようにたずねる瞬間が起きてきます。

 

 

 

 

 

「以前は○○していたよね。今は××をしているんだ。うーん、ずいぶん変わったように思うけど・・・・・どうかな?」という具合です。

 

 

 

 

 

しっかりと聴いていれば、より明確にわかるために「質問」は普通に出ます。

 

 

 

 

 

この質問は、話をしっかりと聴いていることを相手に伝えます。それとともに、相手の見方を変え、考え方の幅や広がりを生み出すうえでも重要なかかわりになります。

 

 

 

 

 

この質問は、矛盾を突くためではなく、情報を収集することを意図するものでもありません。相手に変化を認識させ、思考や感情に幅を持たせるためのものです。

 

 

 

 

 

「質問」とはいっても、情報収集だけを意図した質問は多用しません。情報収集を意図した質問は、下手なカウンセラーほど多いのです。

 

 

 

 

 

上手な援助者は、相手の視点に寄り添い、そこから見える世界を映像化して理解します。そして、相手の身になりきって理解します。

 

 

 

 

 

そのために、より明確に理解したいところが自然に見えてきます。「なぜ、そのように感じるのか」をもっと知りたくなります。

 

 

 

 

 

そこで、時々的確に質問します。これが、相手の視点を変え、視野を広げる作用を持ちます。

 

 

 

 

 

その結果、広範囲にわたって問題の解決と結びつく情報を無理のない形で収集できるはずです。

 

 

 

 

 

相手が問題について語ろうが、語るまいが、目の前で展開される話や表現に共通するもの、感情や身体感覚に結びつくものを大事にし、そこに注目し続けます。

 

 

 

 

 

その結果、矛盾した感情や行動や微妙な感覚の揺れは、簡単に見出されるはずであり、その瞬間に感じた不協和を相手をよりわかるために質問すればよいのです。

 

 

 

 

 

以上のかかわりを、全部の期間を通して安定して行います。

 

 

 

 

 

そのことが、子供を心理的に抱え、支えることになるのです。

 

 



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