ひきこもりの回復過程の要約
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ひきこもりの回復過程の要約

2019年11月11日(月)1:35 PM







親の回復過程





ここで、親(母親)の回復の過程を簡単にふり返り、別の視点からまとめてみましょう。





①否定、怒り、戸惑い





最初は、子どものひきこもりの行為に驚き、否定しようとします。怒って「学校へ行け」などと子どもに強要したりします。





②嘆き、落ち込み





時間が経つにつれて、「どうも、これはほんとうに学校に行けないらしい」と思うようになります。嘆き落ち込んだ末、学校、教育センター、その他の相談機関へ助けを求めるようになります。





③事態の受け入れ





母親は少しずつ落ち着きを取り戻し、相談に行きながらこの事態を受け入れようとします。「学校・友人が悪い。親戚に高学歴の人がいて、心理的な圧迫を受けている」など、外的なことは理解が早いのですが、家庭内の原因についてはなかなかわかりません。





それでも、相談に来る親については変化の望みがあります。自分のなかに事態に対応できる力を持っているからです。そうして、子どもがそれまでの体験を話し始めたら、母親はその話をじっくりと聞いてあげます。





たとえ、それがつまらないただの愚痴のようなものであっても、親が子どもに共感するよい機会です。やがて、カウンセラーなどの個別相談や親同士のグループ・ワークに通うようになって、母親のなかに本人の気持ちに共感する感受性が育ってきます。





④母と子の感情の通い合い





子どもと向き合って暮らすうちに、「ああ、かわいそうに」と思う瞬間がきます。子どもとほんとうに出会えた瞬間です。





⑤母親の淋しさ





子どもと家族とのコミュニケーションが深まり、落ち着いてそろそろ外へ出られるようになります。母親の気持ちのなかで、子どもを手離す淋しさが実感されます。





⑥新しい母親の人生





母親の心の闘いのなかから、改めて自分の生き方について考えるようになります。親の会にはよい先輩がいるので、そうした人たちの新しい生き方を見たりしながら、自分自身に合った人生を見出していきます(たとえば、老人介護の勉強を始めるとか、コーラスなど趣味のグループに参加するなど)。





ひきこもりの本人の回復過程





次に、ひきこもりの本人の回復経過についても、その過程をまとめてみましょう。





①初期・第一の鬱





本人が登校や外出などができなくなります。これに対して親の強要もありますが、本人自身も学校へ行こうとしてときどき登校を試みます。





しかし、いざ登校の時間になると、頭痛、腹痛、その他の体調の崩れなどがあって、外へ出るのが難しくなります。あるいは、何かわからないがどうしても出たくなくなります。





本人自身も、まだこの事態に戸惑い、落ち込んでしまいます。





②ひきこもり





そこで子どもは追いつめられて、家にひきこもります。





③親への甘え





親が一応子どもの状態を受け入れようと努力し、本人を責めなくなると子どもの親に対する甘えが始まることがあります。





これは、乳幼児のころに母と子の間で不足していたものを、取り戻そうとする無意識の現われでもあります。この乳児期への退行現象は、回復のために見逃すことのできない貴重なプロセスです。





④ひきこもりの長期化





この期間は一見無意味な長い時間を要することが多いのですが、これがいわゆる現実的な「ひきこもり」の現象です。





⑤心の整理





この過程で、人によっては過去の幼児期、少年期の写真、アルバムなどを本人も見たがるようになり、過去の出来事を一つ一つ確認し、納得し、整理することがあります。





「過去のアルバムを見返し、言葉で整理する行為」は、自分の心の整理にたいへん役に立ちます。





⑥言葉による整理





本人はまだ精神的には霧のなかにいるような状態です。こういう状態を、時間的な流れで順序だてて整理し、同時に自分の周囲をふり返ります。





そして、それを言葉で表現し始めます。





⑦外出への試み





夜間の軽い散歩に出たり、自動販売機しか行けなかったのが、コンビニの店のなかに入れるようになります(このようなときも子どもによっては、母親に同伴を頼むこともあります)。





⑧第二の鬱





これまでより気持ちが落ち着いてくると同時に、家族以外の人とも会えるようになり、何かを始めようと試みます。しかし、試みようとして恐くなることもあります。





これは、現実の世界が近づいてくることによる「現実認識に基づく不安」で、初期の第一の鬱と異なる第二の鬱です。また、この時期にはカウンセラーに接触してみようとする本人の動機が高まることがあります。





⑨現実への適応





この時期には、父親をはじめ、多くの人の協力・出会いが必要となります。ここはゴールというより始まりだと思ってほしいところです。





親だけでなく、本人も自分の年齢を考えて焦り、失敗するとそのショックでまたひきこもることがあるからです。一方、何かしたいのに踏み切れないこともあります。





そこで、軽く一押しすると成功する場合もありますが、そこは親と子の信頼関係がどの程度できてきているかが鍵になります。





わたしが強調しておきたいこと





ここまでひきこもり事例への対応について紹介してきましたが、終わりに改めて強調しておきたいことは、「ひきこもり」とは「その子にとって、そのときに必要な行動だ」ということです。





ひきこもりや不登校に至ったきっかけは、たとえば友人との間のいじめとか、同年齢の思春期の世界(性的関心、悪いことへの興味など)についていけないということがあります。





そのことにより、本人のなかでかなり辛い葛藤を繰り返し、ついにダウンしてしまった結果「自分自身を見失い、他人に圧倒されて自分を出せなくなってしまう」のです。





そのとき、子どもは一時的にひきこもって、自分の態勢を立て直そうとします。初めのうち、本人はそうしたことを意識しているわけではありません。





ですから、家族に理由を聞かれても辛いうえに答えられないと思います。





また、父母の対応について、「こんなにひきこもりの状態が長引いているのは、親の怠慢ではないか」などと言われることもあるようです。





しかし、それはどうでしょうか。不登校やひきこもりが始まり、しかも、それは「精神病ではない若者の現象だ」といわれます。これは、その子たちの親にとってはまったく未知の経験したことのない世界です。





したがって、初期のころの親の対応が的外れなものであっても当然ではないでしょうか。





専門家の間でも。その治療・援助については、試行錯誤が繰り返され、最近になってようやく対応の方法がいくらか見えてきた段階で社会的に承認された確立した方法はありません。





ここまで紹介してきた方法も、その一つの試みにすぎません。ひきこもりの事例は、個々に非常に複雑な要素を持っているので、支援者としては、常に心を新たにして多様な視点から対処していく必要があると思います。




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