不登校~子どもの自己概念の悪化~
不登校の問題では、子どもの自己効力感や自己受容感の低下や自己概念の悪化が起きやすいです。端的にいえば、「自分はダメなんだ」という意識がどの程度強く見られるのかを認知レベルでアセスメントします。総じて、不安、緊張や悲哀感を示す子どもには、「自分はダメだ」との意識が強く見られます。
また、ソーシャル・スキルが不足している場合や、友人関係のトラブルで不登校となった場合も、社会的な評価を得ていないことや、一時的に周囲から厳しい評価を受け続けたために、「自分はダメだ」という意識が強くなります。
無気力感や怒りなどを示す子どもでは、その意識が屈折した形で「どうせ自分なんて」という投げやりな自己評価となりやすいです。また、セルフ・コントロールができない場合も、成功体験を味わったことが少ないです。
そのために、「どうせ自分なんて」という意識が強くなります。一方、不登校以前の学校適応が良好であった場合ほど、不登校の結果挫折感が強いです。
そのために、「学校に行けない自分はダメだ」という意識が強くなります。これに対して、不登校以前から学校適応や学業適応に問題が見られた子どもほど、「どうせ・・・・・・」という投げやりな意識が強くなります。
また、不登校の初期の段階のほうが、「自分はダメだ」という意識が強く、不登校が長期化するにつれて「どうせ自分なんか」という意識に変化していきやすいです。
これらの自己評価は、最終的に再登校や社会適応に歩みだすときに、重要な役割を担ってきます。そして、自己評価は時間の経過と周囲の働きかけのあり様で変化をし続けます。
そこで、援助の初期段階に限らず、どのような自己概念、自己評価であるのかは適宜把握し、その向上を意識することはどの段階でも必要になります。
また、自己概念や自己評価とともに、認知レベルで確認する必要があるのは、不登校に対する子ども自身の理解です。自分が「学校に行かない」あるいは「行けない」ことを、「どのような問題と考えているのか」です。
また、「不登校の問題と自分自身の関係をどのようにとらえているのか」も理解します。これらのことは、子ども自身が援助に期待することも密接に絡み合うことなので、援助の目標を共有していくためにも、早い段階から確認されなければならないでしょう。
子どもの能力レベルのアセスメント
不登校の問題に限らず、学齢期の子どもでは、能力レベルを視野に入れたいところです。これは、学齢期の子どもの事例を扱う場合の基本です。特に、知能検査が必要だというのではありませんが、知能検査を実施しなくても、それまでの学業成績や日常生活の様子から知的能力の特徴をある程度把握はできます。
子どもの臨床にかかわる人には、学業の遂行程度や日常生活のエピソードから能力を推測できる技量が基本的に求められます。特に、学業不振が見られる場合や対人関係上の問題が見受けられる場合には、能力レベルの精緻なアセスメントが必要な事例があるとの意識は持っていなければなりません。
それゆえに、子どもの学業成績と保護者の面接場面で得られる話などから、知能検査を実施した方がよい事例か否かの判断をすることはできなければなりません。
能力レベルのアセスメントの第一の目的は、軽度の知的障害や高機能自閉障害、LD(学習障害)など、知的障害の有無、能力面の偏りを把握することにあります。本人の能力によっては、どうしても通常学級に適応しにくい子どももいます。
また、通常学級にいながらも、通級などの個別に指導援助できる教育システムが必要な子どももいるでしょう。そもそも能力のアセスメントは、子どもの能力特徴に応じた援助方法を工夫するためのものです。
その目的は、本人の能力プロフィールの中で、比較的優れている能力を見いだすためです。優れた能力を生かし、学業面のみならず、日常生活面でもより豊かな生活を送れるように援助を考えます。これが能力レベルのアセスメントを行う第二の目的です。
また、能力レベルの問題は、学業面の適応だけに関連するものでもありません。能力的な問題のために、学級内で対人関係上の問題が起きやすくなります。
そのために、先々、社会的な適応がうまくいかなくなることもあります。したがって、能力のアセスメントの第三の目的は、対人関係面をはじめ、学校生活場面や社会生活場面での適応を予測することにあります。
そして、その子どもに必要な援助方針を、遠い将来を見通しながら特定していきます。このように、能力面でのアセスメントは、その後の社会適応までを見通して、援助の具体的な手立てを見いだすために大切にしたい視点です。
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