集団生活の中で自分の価値が見い出せなくなった子供への対応
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集団生活の中で自分の価値が見い出せなくなった子供への対応

2019年11月06日(水)12:08 PM





集団生活の中では、勉強や運動、三枚目キャラクターなど、何らかの「術」を持っている子供は、早い段階でみんなに認められ、心に余裕を持って過ごすことができます。反対に、そのような明確な「術」を持たない子供にとっては、集団の場は自分への不安を感じさせるストレスの多い場になってしまいます。





事例  学校での厳しい指導が合わなかったA君のケース





A君は、5年生の途中で学校に行かなくなった男の子です。口数が少なく、口下手な子でした。自分自身の感情を表に表さず、ストレスをためやすい性格でした。





言い争いの果て、親子の溝まで深まって・・・・。





A君の通っていた小学校の担任の先生は、よく怒る先生だったようです。何かあると児童たちを連帯責任というかたちで怒ることがよくあり、友達が怒られているのを見て心を痛めているうちに、学校に行くのがつらくなり、引きこもってしまったようです。家から一歩も出られない状態が半年続きました。お母さんとしては、どうして学校に行かないのかが分かりません。





お母さんがA君に学校に行かない理由を尋ねると何も話さず、しばらくしてから宿題がまだできていないからとか、お腹が痛いとか給食が食べきれないからとか言うのですが、どれも決定打ではないようでした。実際に連帯責任ということが行われていたとすれば、小さなことと思えることも彼にとっては大きな問題だったのかもしれません。





まったく学校に行かなくなったA君は、昼間ゲームばかりするようになっていました。すると、お母さんは、たまらずゲーム機を隠してしまいました。でも、そのときのA君からすれば、ゲームをやるか寝るかしかやることがありませんでした。ゲーム機の取り上げの件があってから、さらに親子の間の溝が深まってしまったようです。





下の子まで不登校になり、お母さんの焦りと不安はピークに





不登校半年目になる6年生の1学期にお母さんが関東自立就労支援センターに相談に見えたとき、お母さんはすっかり参ってしまっていて、A君のことを「何を考えているのかまったくわからない」とおっしゃっていました。さらにお母さんの焦りと不安を募らせることが起きていて、お兄ちゃんが不登校になってから弟も不登校になってしまったそうです。





上の子に続いて下の子も不登校になるということはよくあって、下の子が学校に行かない理由は上の子の場合と違ってかなり単純で、「お兄ちゃんだけ学校に行かないなんてずるい」というものが多いようです。





わたしはまず、お母さんに押したり引いたりそして、イソップ童話の「北風と太陽」を例にとって、「それまでの生活をリセットして、楽しませてあげましょうよ」と穏やかに諭すように話しました。





本人には、こちらもどんな子なのか知りたいので、「何が好きなの?」「ゲームが好きなんだ。どんなゲームが好きなの?」なんていう具合に聞いていきました。すると、子供は自分に興味を持ってくれていることがうれしいんですね、目を輝かせてゲームの話をたくさんしてくれました。それからお母さんに関東自立就労支援センターの共同生活寮に「ホームステイ」を提案しました。





わたしは約20年前から、環境を変え、家族から少しの間、離れたほうがよさそうだと判断される不登校や引きこもりのお子さんを共同生活寮で預かるということを続けていまして、そのとき、A君の他にも相談に来ていた不登校の子がいて、2人を同時に一時的に預かろうと考えたのです。ご両親も賛成してくれて、6年生の夏、A君は共同生活寮にやってきました。





A君は共同生活寮の一員として、そしていっしょに寮生活をしていた子と過ごすうちに、すぐに元気になりました。そんな中で、「今年中に学校に戻れたらいいね」なんて話していました。まず、いっしょに寮生活している子供と学童クラブもあるフリースクールに通い始めました。





学校に通ってから帰ってくる子たちや、同じような学校に行けない子たち、まったく知らない子たちの集団ですが、何の区別もなくすぐに仲良くなって、そこで元気に遊ぶようになりました。6年生の2学期まで、そんなふうに過ごしているうちに、A君は学力の遅れはもとより、見違えるほど元気になっていました。





ご両親が久しぶりに彼に会って、その変わりようにびっくりするほどでした。お母さんもずいぶん喜んでくださいました。やはり、親御さんにとっては、子供が元気になってくれることが何よりうれしいのだと思います。「あの子たちの学校に行ってみる?」「行く!」寮生活をはじめてから3ヶ月が過ぎた頃のことです。「あの子たち(学童クラブの友達)の学校に行ってみる?」と聞いたら「行きたい」と言いました。





あんまりあっさりと答えたのでちょっとわたしはびっくりしました。そして3学期から、その子たちの通っている公立の小学校に通い始めたのですが、その小学校がとてもよかったのです。校長先生をはじめ、職員の方々の受け入れ態勢ができていたので非常に助けられました。





彼は、初日からすぐクラスになじんで、以後、休むことなく無事卒業して、小学校の友達と同じ中学に進学しました。そして、現在まで元気に毎日学校に通っています。



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援