いじめの相談事例~高校1年・16歳・男性のケース~
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いじめの相談事例~高校1年・16歳・男性のケース~

2019年11月05日(火)5:57 PM








僕は中学1、2年といじめにあいました。中学1年のときは、話し方や態度がムカつくと言われ、男子のグループに蹴られたり、いろいろ命令されたりしました。今、思うと僕の背が小さいことをまわりが「チビ、チビ」とからかって、僕が本気で怒って・・・・・それが始まりだったかもしれません。






親には隠していましたが、ある日、いじめのグループに学校で無理やりお金を賭けたゲームに誘われ、僕が二千円負けて、そのお金が払えなくて泣いているところを親に見られたんです。それで、これまでのいじめのことも話すことになりました。父親は「なんで、もっと早く言わなかったんだ!」とすごく悔しがっていました。





そして、父親がいじめのグループのリーダーの子の親と会って話し合い、それからいじめはなくなりました。親が出て行くと、こんなに早く解決するのかと僕は驚きました。でも、2年生になって、今度は女子のグループからいじめられたんです。すれ違いざまに通学のバックで叩かれたりなど、その女の子たちのサンドバック代わりになってしまいました。





今度はすぐに父親に相談しましたが、「おまえなりの対処法を考えなさい」と言われてしまいました。相手は女子だからこっちは手を出せないし、方法は見つからないままでした。





だけどこのとき、学校から帰った僕の話を父親がよく聞いてくれたので、それが支えになりました。いつもは短気な父親が、僕が自分で解決するのをじっと待っていてくれているのがわかりました。結局、いつものようにカバンで殴られたときに僕が怪我をしてしまい、そのことが先生にばれて、それ以後いじめはなくなりました。





中3になってからはいじめられることはなく、高校生になってからもありません。僕自身も、中2のときに父親と毎日毎日話し合ううちに、人との接し方が変わったのかもしれません。





事情聴取ではない聴き方





文部科学省の調査によると、いじめの方法は「からかい」「暴力」「言葉」の順になっており、その発覚のきっかけは担任の発見が3分の1で、いじめにあった本人の訴えや保護者の訴えが半数以上を占めています。





学校で起こっていることとはいえ、家庭での意思の疎通こそがいじめを発見する早道なのです。わが子がいじめられ、ズタズタになって助けを求めてきたら、どう対応すればいいのでしょうか。





あきらかにわが子が精神的にもろいタイプだとわかったら、さあ、どうするでしょう。慰めて、いたわる?いいですね。ただその後に、「だけどなあ、おまえももう少し強くならなくちゃなあ・・・・・」なんて励ましたりしませんか。わが子に強い子になってほしいという願いは、親なら誰もがもっていることでしょう。





だから励ますつもりで思わず強い口調で怒鳴ることもあるのです。そして自分もそれに似た子供時代の体験を思い起こし、それがうまく反発心となって成長してきたと思い、わが子に対してもこのやり方でよいと確信を持つのです。





ところが、現代はそうはうまくいきません。親が励まし慰めるつもりで発した言葉が、かえって子供の心を追いつめるような結果になることが多いということはよくあることです。好きで弱い子になっている人間はいません。子ども自身、強い子になりたいと心の底では思っているものです。その点を理解している必要があると思います。





ここでは、わたしの中学生になる娘が、「いじめられて弱りきっている」として、その寄り添い方を考えてみましょう。まず、子供の話を途中で「そうか、わかった」などとさえぎらないで、ひと通り、いや二通りにも聞き続けることです。子供が言い尽くすまで黙って聞き続けてください。つらさや悔しさや悲しさや怒りを聞いて聞いて聞き続けます。娘の話の内容、事柄にとらわれずに、感情や思いの部分をしっかりと聞いてあげるのです。





そして、肯定的に受けとめていきます。カウンセリングで言えば、「受容」の段階です。「弱虫でも、泣き虫でも、根性なしでも、いじめられっ子でも、お父さんはそんなおまえが大好きだよ」と「受容」します。





次が、カウンセリングでいう「共感」の段階へと入ります。「なるほどな」とか「そうだろうな」と、子供の心模様を自分の心の中に広げていきます。この後が肝心です。おまえのまるごと全部が好きだと言っておいても、つい「だけど、おまえもここを直したほうがいいんじゃないか」と言いたくなるものです。





特に一生懸命に聞いてきた人ほど、こちらの気持ちも子供は充分にわかっているだろうと安心して、思わず言ってしまいがちです。しかしこの言葉は「ご法度」です。そうでないと、おまえのいいところも悪いところも全部好きだと言ったことがむなしく響いてしまいます。





わたしもカウンセリングを学ぶ前は、そんな父親だったように思います。でもそれが子供にとってどんなにつらく孤独感を抱かせることになることか、面接を通して教えてもらったのです。そこで今では、娘の話をさえぎらないで最後まで聞いてから、「いじめられっぱなしの、強くなれないおまえも、お父さんにとってはかけがえのない大事な子なんだよ」と伝える努力をしようと思っています。





本人が強くなりたい、と心の底で思っていること、しかし、いくら思ってもどうしようもならない、という気持ち・・・・・。そこの気持ちを受け入れて支えていきたいのです。わたしもそんな子供時代を過ごしてきているからかもしれません。わたしは小さい頃からあまり勉強が得意ではありませんでした。勉強してもできないので、つらくて、くやしくて、母親に当たりたい気持ちも少しあってこう言ったんです。





「お母さん、俺、どうして勉強できないのかな。A君もB君もできるのに・・・・・」このように子供から言われると、つい「おまえの努力が足りないんだよ」と親から言われそうなものですが、わたしの母親はこう言いました。





「そりゃ、そうだよ。親の子なんだから」母親はわたしを責めないで、「勉強ができるようになりたいな」と思っているわたしの気持ちをくんでくれたのです。誰だって勉強ができるようになりたいと思っています。でもがんばってもできない子もいるのです。その思いを大切にしてほしいのです。





さて、話を元に戻して、そうしてその思いが娘に伝わったとき娘は、「でも、わたし、強くなりたい!泣き虫なんか嫌だ!どうしたらいいの?・・・・・」と言ってくるかもしれません。やっと、ここで自分の子供時代の話をしてやるといいと思います。ときには家族にそれぞれの「実はわたしも・・・・」と体験を語ってもらうのも大切です。この時点で、お互いが相手の感情を自分のことのように思えるようになるのです。





そしてお互いが「本音」の自分を語り、なかなか自分の思い通りにはいかないこの人間社会だけど、無理しないでそれでいて望みを捨てないで、「自分らしく生きていこう」というその心を分かち合うのです。





これがカウンセリングで言う「自己一致」の段階です。自分の気持ちを自分がどのくらいわかっているのか、ということです。今、感じている自分を見つめ、それを自分の中に受け入れていくとき、一致しているというのでしょう。自分の気持ちや思いがなかなか一致できないことを認めながらも、また自分の可能性の実現に向けて歩み続けている姿なのです。





ここまでくると、解決とまではいかなくても状況が一歩前に進みます。これらの段階を踏まないで、先に子供の弱点を注意したり、先に親の体験談でアドバイスしてしまうのは、話した親がその役割を果たせたと思い、気持ちが楽になるだけで、肝心の子供の気持ちを楽にすることにはならないのです。





いじめに傷ついている子どもの気持ちを楽にして重荷を降ろしていくには、カウンセリングで言えば、以上のような「受容ー共感ー自己一致」というプロセスをていねいにたどっていくことが大切ではないでしょうか。





先述の少年がいじめから抜け出せたのも、ふだんは短気な父親が根気よく話を聞いてくれたからと回想しています。とにかく、つらい心を受け止めて、その絡まった気持ちを話してもらい、自ら少しその思いを整理できたら、親のアドバイスも子供の心に届くと思います。ここで「何か父親らしいことを言わなければ」と焦る必要はまったくありません。たとえうまくアドバイスができなくてもいいのです。





気持ちを受けとめてもらい、話して思いを吐き出すことができた段階で、すでに子供はずいぶん心が楽になっているからです。聞き続けてあげるだけでいいのです。基本的にアドバイスは無用なのです。ところで、先述の少年がいじめられるきっかけは「チビ」という容姿へのからかいですが、このように容姿をからかううちに、陰湿で執拗ないじめへと発展する例はかなり多いようです。





小学校から「ケツデカ」と言われ、中学校での運動会では「デブ」コールを連呼され続けたA子さんの例です。A子さんは最初の頃、いじめられるたびに母親に告げましたが、そのたびに「ケツデカなんて言われたって、気にしないのよ。





気にしているから、余計にからかわれるのよ。平気な顔をしていればいいのよ」と母親から言われ、やがて傷つきながらも「気にしないふり」を演じ、孤独に耐えてきました。しかし、ある日・・・・・。「わたしは弱いかもしれない。思い上がりかもしれない。でも、もう、何も感じたくないのです。」といったメモを残し、薬を飲み、自殺未遂をはかったのです。その後、A子さんは高校進学を断念し、引きこもりの生活へと入ります。





この相談例を見ても、「気にしないで平気にしているのよ」と言った、励ましたつもりの母親の対応の仕方が気になります。もちろん、A子さんの自殺未遂がこのひと言だけに左右されたわけではありません。





しかし、気にするなと励ます前に、「デブ」と言われるA子さんの「悔しさ」や「苦痛」や「悲しさ」をわかってあげられなかったのか・・・・・・。今、現実にいじめられ、傷ついている子には、特に「励ます」ことや「慰める」ことはいらないのです。「そうね」「つらいね」「悔しいね」と声をかけ、いじめられて自分の感情がどこにあるかもわからないほど怯えきっている子どもに、再び自分の感情を冷静に見つめる力を取り戻させることが重要なはずです。





人間関係で傷ついた心は、人間関係でしか癒せません。傷ついた心と関わり続けるとき心は初めて癒されるのです。まずは抱える状況を無条件に受け入れてやること、学校という枠の中の人間関係で傷ついた心を癒せる最初の相手は、親子、家族という人間関係なのです。



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