母親になった元不登校の女性
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母親になった元不登校の女性

2019年10月31日(木)11:20 AM







中学2年生から6年間、外にほとんど出られなかったA子さんという女性がいます。彼女は、中学2年生の時に母親に連れられて関東自立就労支援センターに相談に来ました。





当時は、不登校の原因が分からなくて漠然とした不安を抱えていたそうです。同じような不登校の子供を持つ保護者たちと話したり、ご自身が母親となってから当時を振り返ることで、見えてきたことがあるそうです。





いつから不登校になったのですか?





中学2年生の1学期から学校に行かなくなり、その後の6年間はほとんど外に出ませんでした。周囲からは「仮病だ」と言われていましたが、「学校に行きなさい」と親に言われる時間になると頭痛になりました。学校で授業のある午後3時までは目覚めていても布団からは出ず、「学校に行きなさい」と言われない夜になってから動いていました。





「みんなは学校に行っているのに、何で自分は行かないんだろう」といくら考えても当時はわからず、わかったのは学校に行くようになってからです。「家に置いてもらえるだけの価値が自分にあるのだろうか、一度家を出たら二度と家に入れないんじゃないか」という不安が外に出られない原因でした。





今思えばそこまで考える必要はなかったのですが、勝手な自己否定ですね。さらに、「不登校をしているおまえは間違っている」と言われて「やっぱり自分は駄目なんだ」と思い込んでしまいました。当時はすごいマイナス思考でした。





家では何をしていましたか?





本を読むか、親と戦っているか、何か考えているかですね。最初の1、2年は親と言い合う毎日で、中と外で部屋のドアをつかんで「学校に行け」、「学校には行けない、家から出られない」と争っていました。強引に車に詰め込まれて学校まで運ばれたり、あちこちの病院にも連れて行かれました。





そのうち、不登校生の保護者の集まりに参加するようになった母親は「学校に行きなさいというだけでは駄目」と学び、無理に登校させることはしなくなったので、わたしにも考える時間が増えていきました。





同い年の子たちが高校3年生の夏に、わたしも高卒認定試験(旧大検)に合格して専門学校へ進学しました。その頃には学校に抵抗がなくなり、入学後は毎日普通に通っていました。





抵抗がなくなった理由は何ですか?





自分の居場所を家以外にも作れば不安にならないし、それなら学校に行くのが手っ取り早いと思うようになったんです。不安の原因だった自分に対するマイナス評価もしなくなり、親に評価されなくても自分がいいと思うことをがんばればいい、と思えるようにもなりました。





それと、将来の可能性を広げるために高卒認定試験を受けようと決めたのも変化のきっかけになりました。人と点数を比べられて評価されるのは苦手でしたが、勉強自体は好きでした。





専門学校では何を勉強しましたか?





人の心の辛さを癒す手伝いがしたいと、心理技術科のある専門学校に進学しました。卒業後は、生徒の相談業務に携わりたかったので都内にある通信制高校に就職しました。





不登校だったときは「何で先生も親もわたしのことをわかってくれないの?」と思っていましたが、たとえ母親でも、血がつながっていても毎日いっしょにいても、子供のことがすべて分かるわけではありません。





親子がそう気づけば、親は子供に不満を感じず、子供も親に分かってもらえないことを不満に感じないと思うんです。以前、不登校の子供を持つ保護者からの相談を聞いていたときに、「もっと子供のことをわかってあげなきゃ」とものすごく切羽詰った顔をして言うお母さんたちに会ってきました。





子供のことを考えてあげているんだろうなと思う一方で、「分かってあげられたらいいな」ぐらいで接したほうが、子供も心の余裕ができるのではと感じました。





わたし自身もそうでした。不登校の子供が罪悪感を持つのは、「行かなきゃいけない」と周りが責めるからなんです。周りの人たちに余裕があれば、子供にも余裕が出てくると思います。





あなたにとって、学校はどういうところですか?





学校は行けるなら行ったほうがいいと思います。同じ歳の人間が他にたいした共通点も持たず大人数で集まり、社会性を自然に身につけていくところって学校以外はなかなかないと思うんです。





子供にとっての世界の9割9分が家庭と学校です。子供の居場所が複数あれば思いつめずにすむのでしょうけど、家に自分の居場所がないと思っていたわたしはどこにもいられないと思い込んでしまったのです。





でも、自分の居場所って本当は他にも作れるんですよ。不登校になっている子供を持つ保護者に何を伝えたいですか?「不登校な子」をどうしようかと考えないことが、不登校を解決する一番の近道だと思います。





不登校の子供すべてに共通したマニュアルはないし、こうすれば確実によくなるみたいな話はないです。「この子は不登校」とレッテルを貼って見るのではなくて、その子にとっての原因と解決を考えることが、周りの人がすべきことではないでしょうか。





結果として学校に行けないことは大した問題ではなくて、学校に行けない理由があるから不登校になるわけです。その子にとって不登校となる原因が何かを考えた上で原因を解決するための方法を考え、結果として学校にも行けるようになれば幸せだと思います。





無理やり学校に行かせても、親も子供もお互いに幸せではないですよね。すごく嫌そうな顔をしている子供を毎日送り出すとか、子供自身も問題が解決していないのに学校に通うことを強いられるのでは、問題は解決していないと思うのです。




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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援