相談事例~いつまで経っても部屋に閉じこもったままの息子が心配~
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相談事例~いつまで経っても部屋に閉じこもったままの息子が心配~

2019年10月15日(火)10:54 AM






相談事例    いつまで経っても部屋に閉じこもったままの息子が心配





息子は、もう3年も部屋に閉じこもったまま誰と話しません。息子を見ているとひきこもりからの旅立ちなど、はるか彼方のような気がします。実際にひきこもりから脱出できた人は、どのようにして脱出することができたのでしょうか。長くひきこもっている息子さんを見ていると、だんだんひどくなるのではないかという不安にかられるかもしれません。





しかし、息子さんは、人とのつながりを拒否しているわけではありませんし、自立を拒んでいるのでもありません。むしろ、自分の生き方を求めて一時的に周りから閉ざされた空間に避難しているだけなのです。





ですから、時間ときっかけがあれば、必ず旅立ちのときはやってきます。A君は、大学を3ヶ月で中退してひきこもり生活に入りました。教育熱心な両親のもとで、A君は一流大学に入ることだけが目的の少年時代を過ごしたそうです。





高校までは、クラスメイトはみんなライバルだと思い、友達もいませんでした。努力の甲斐あって、一流大学に入学したのですが、A君はそこで自分が何をしたらいいのかわからなくなってしまったのです。





楽しそうに学生生活を送る周りの学生たちが、自分とはまったく別世界の人間に見えたようです。彼らの話題は、まったく理解できないことばかりでした。気がついてみると、話の中に入れず、一人ぽつんといる自分がいました。






「ここはおまえのいるところではない!」周りの人たちがみんな自分をそう見ているようで、クラスメイトのささいな言葉に傷つけられ続け、耐えられなくなってしまいました。





勝手に退学届けを出した息子に、父親は怒りをぶつけました。A君は、家の中でも居場所を失って、自分の中に閉じこもるしかなくなってしまったのです。





A君は少し生真面目で、心の優しい若者です。ずっと一人で自分の生き方を考えてきたのでしょう。言うことは大人びて、ずいぶんとしっかりしている印象です。





でも、人間関係となると急に臆病になってしまいます。人と会うのが怖い、道に迷っても人に尋ねることもできません。初めは、お母さんといっしょでないと、関東自立就労支援センターへ通うこともできない状態でした。





A君は自分の居場所がないと感じていました。だから、自分がそこで受け入れられる場所もつことができると、人間関係も自然に回復していくようになります。





両親が彼のことを理解できるようになり、わたしたちのところに通って同じように周りとの関係をもつことが困難な境遇にある若者たちと知り合うと、しだいに通じ合う友達もできてきました。





ひきこもりからの旅立ちには、機会やきっかけが必要です。A君の場合は、わたしたちの主催する夏期セミナーに参加することがきっかけとなりました。参加の費用をアルバイトをして稼ぎたいと言い出したのです。それ以上、親に負担はかけられないというのです。





両親は、A君が働く気になったことは嬉しいのですが、アルバイトがうまくいかなくて、かえって今よりも落ち込んでしまうのではないかと心配していました。





こんなときは、心配からいろいろ口を出したり、「世の中そんな甘いものじゃない」というような「大人のアドバイス」をしたくなるものですが、アルバイトをしたいという気持ちを大切にして、温かく見守ってあげることが大切です。





アルバイトをしたいと思うようになったということは、人とのコミュニケーションに対する関心が戻ってきたということで、旅立ちのときが近くなってきた証でもあります。





しかし、まだ人間関係をうまく保つことが難しい状態なので、お客と接するなどの人間関係がうまくいかないことで、上司からしかられたり、人に迷惑をかけるようなことになると、傷つき自信をなくし、かえって悪い状態になってしまう可能性もあります。





人と接することが少ない仕事、自分のペースが乱されない仕事、そんな仕事を見つけることがうまくいくかどうかの決め手になります。A君は、人間関係の問題が少ない仕事、特に気持ちの休まる夜の仕事ということで、アルバイト先を探しました。





その結果、郵便局のアルバイトを見つけました。自分にぴったりの仕事が探せばあるものです。郵便物の仕分けという仕事で、郵便局から外に出ることもなく、しかも仕事は夜が中心ということで、ほとんど人と接することがありません。





もちろん郵便局の職員とは顔を合わせるのですが、その時刻に郵便局にいるのは先輩のベテランが多く、職人肌で口数も少なく、よけいなことは言わないが仕事はちゃんと教えてくれる、そんな人たちだったようです。





A君は、初めて自分で働いたお金を稼いだということで自信を深めたようでした。また、きちんと指導してくれ見守ってくれるけど、必要以上に心に入り込んでこない人たちといっしょに仕事をして、家族や学校とはまったく違う人間関係があることを知ったこともよい経験になったようです。





A君はこれをきっかけにいくつかのアルバイトを経験し、今は、両親から離れて一人暮らしをしています。いわゆる「フリーター」ですが、自分で稼いで自分の生活ができるようになりました。





はじめは、人間関係に入っていくことが怖かったようですが、仕事と割り切ってつきあう関係の中で、だんだん気持ちが休まるように思えるようになったということです。





「慣れ」が彼を知らず知らずのうちに旅立たせたといってよいでしょう。きっかけは必ずあります。旅立ちのときは必ず来るものだと信じて、あせらずに見守ってあげることが大切です。



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援