再登校と継時近接法
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再登校と継時近接法

2019年09月27日(金)11:10 PM

 

 

 

大きな目標に向かう前に、目標を小刻みにしてだんだん目標に近づく手法は、継時近接法と呼びます。再登校の場合は、物理的に学校に接近していくことが目標にだんだん近づいていくこととなりやすいです。

 

 

 

 

 

一方、職場適応の場合では、週に一度のアルバイトを開始して時間を広げることや、バイクや自動車の運転免許の取得など、本人が仕事との関連で行えることから始め、楽な課題から徐々に本人が目指す課題のうち、困難なものへとグレードアップさせていくことになるでしょう。

 

 

 

 

 

これが、社会への適応で継時近接法に相当するかかわりということになります。より細かく言えば、履歴書を書くこと、ハローワークに顔を出すこと、アルバイト募集のネットや雑誌や新聞を調べること、アルバイト採用の面接予約をすることなど、就職活動にかかわる細々としたものもその細かいステップです。

 

 

 

 

 

この時に大事にしたいのは、「無理をさせない」ことです。子どもが先走りたいのをストップさせるくらいがちょうどいいのです。順調な場合でも、「急がなくてもよい」「自分のペースで」「無理をしないで」と少しだけ後ろに引っ張るのがほどよいかかわりになります。だんだん目標に近づきながら、ある時点から先に進まずに停滞してしまうこともあります。

 

 

 

 

 

保健室登校にしても、別室登校にしてもそのようなことは起きます。このとき、周囲で関わる人たちが、「教室に入れれば成功で、先に進まないことは失敗である」かのように考えるのは慎みたい姿勢です。

 

 

 

 

 

一度家庭まで後退し、そこからだんだん目標に近づいてきたのならば、なおさら現状を打破したい気持ちが子どもの中にあります。さらに一歩進むためにコーピング・スキルの何かが不足しているので、そこで停滞していると考えます。

 

 

 

 

 

学校に復帰していく途中での停滞は、このような意味を持ちます。このような場合、「先に進もう」と促すのは得策ではありません。「そのままでいいから、そこに留まっていよう・・・・・・」と現状を強く肯定します。

 

 

 

 

 

「君は十分に頑張ってきた。それで良い」と言います。そして、その段階に留まって、その子に必要なコーピング・スキルを探し、それを育むことを意識します。

 

 

 

 

 

停滞している場が教室の近くであれば、教師など学校側がかかわれるチャンスも増えます。そのかかわりの中で、コーピング・スキルを育むことができるので、これは得がたい機会なのです。

 

 

 

 

 

フラッディングの際の留意点  ~失敗してもよいように工夫する~

 

 

 

 

 

一気に学校環境に入ってしまう場合もあります。これをフラッディングと呼びます。上記の停滞をしている状態から先に進むときにも、一挙に目標に到達しようとする場合と同じ状況になります。

 

 

 

 

 

一挙にその環境に飛び込むのは大変な勇気が必要です。それが大変である分、実際に環境に入った時には、「想像以上に大丈夫だった」となりやすいです。

 

 

 

 

 

この大丈夫だったという感覚が、緊張や不安を一気に引き下げます。また、この事態を勇気をもって切り抜けたという感覚が、大きな成功感をもたらします。

 

 

 

 

 

このような場合、本人の中で目標に飛ぶことが煮詰まらなければなりません。「思い立ったが吉日」という言葉がありますが、一挙に飛び込む機運が生じ、子ども自身が思い立つまでコーピング・スキルを育みつつ、待つのです。

 

 

 

 

 

カウンセラーなど援助をする側は、心の底では期待しながら待ちます。しかし、いざ一挙に飛ぼうとする瞬間には、過度な期待を表さないように配慮します。

 

 

 

 

 

一挙に飛ぼうとするときに大切なのは、不安や恐怖など不快な感覚と対決するわけではないということです。また、そこから逃げ出すことでもありません。慣れるまでじっと我慢するのでもありません。

 

 

 

 

 

いわば、不快感や恐れに対してニュートラルな態度で向かい合う感じになること、この感覚を持てることが重要です。これが一番成功しやすい構えです。苦痛が消えるのではありません。苦痛をすっと引き受ける感じのまま学校環境に入ります。

 

 

 

 

 

学校の中にいても、自分が一体どのような苦痛があるのかを、じっくりと感じとるような感覚でいるのが一番成功しやすいです。したがって、「頑張ろう」とか「しっかりね」などの励ましは必要ありません。

 

 

 

 

 

登校の日時を約束することも控えた方がよいでしょう。約束をするなら、「いつでもよい」と ゴーサインだけを出します。本人が登校日を宣言しても、それを決定的な約束としないことです。

 

 

 

 

 

「無理はしなくていいんだよ」「どのように感じるのか、試してみる感じでいいよ」「いつでもいいんだからね」かかわる側は、以上のようなスタンスが大事です。

 

 

 

 

 

周囲の期待が高ければ高いほど、緊張感が高まります。そして、万一目標に向かって飛べなかった場合には、自分に期待してくれた相手に「申し訳ない」という気持ちが起きます。

 

 

 

 

 

失敗感、敗北感を味わうことになります。この気持ちが強く起きると、援助をしてきた人に「合わせる顔がない」という結果になってしまいます。

 

 

 

 

 

特に、他人の思惑を気にしやすい思春期以降の子どもが、壁を乗り越えようとしている場合は心持ち後ろに引っ張るぐらいでちょうどよい感じです。「まだ厳しいのではないのかなあ」「失敗したっていいんだよ」などの言葉を私はよく使います。

 

 

 

 

 

登校に結びついてくれれば嬉しいのはやまやまですが、本人のくじけそうな部分、失敗を恐がる部分に働きかけます。また、思春期から青年前期の年齢の子どもの場合では、信頼する大人の期待以上のことを出し抜いて何かができたことをいちばん嬉しく感じるということもあります。

 

 

 

 

 

このような場合、登校に成功しても無邪気に喜ばないことです。うれしそうな顔はしますが、「無理はしていないかい?」と半分真顔で心配します。大人を出し抜きたい子どもは、その応じ方に嬉しくてたまらないという様子を見せます。

 

 

 

 

 

思春期以降の年齢は、自立がテーマです。自立とは自分で巣立つことが基本になります。自分で巣立つために、「自立しなさい」と周囲が追い立てるのは、自立の概念とは明らかに矛盾します。

 

 

 

 

 

自立を願いながらも、「まだ早い」と子どもを扱うことが本当の意味での自立を達成するために必要なことなのではないでしょうか。

 

 



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