ひきこもり~豊かさによる病~
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ひきこもり~豊かさによる病~

2019年09月17日(火)7:31 PM

 

 
 
 

 

 

ひきこもりは、衣食住足りた成熟社会、ひきこもりの人をひきこもったまま支える経済的基盤が存在する豊かな社会、働く人も働かざる人も平等な人権が与えられる豊かな現代でこそ成立するものであり、現代日本の物質的・経済的豊かさが100万人ともいわれるひきこもり人口を支える必要条件です。

 

 

 

 

 

同時に、その社会的変遷の過程で、そこに暮らす人々の心理や価値観が大きく変化したことも見逃せません。

 

 

 

 

 

高度経済成長期以後、人々の目標は経済的幸福追求であり、思想的満足より行動的満足であり、内的世界よりも外的現実世界で自己感覚を推し量ることが普通となり、学歴主義も絡んだ競争の論理と、その挫折を恐れてのモラトリアム、自己愛への傾倒が顕著になりました。

 

 

 

 

 

さらに、現在に至る脱工業化、情報化、徹底した消費資本主義化の流れの中で、多種多様な価値観が許容され、かつてのように心理社会的モラトリアムが一段身分の低い状態と見なされなくなり、アイデンティティ拡散が社会病理として蔓延しています。

 

 

 

 

 

近年、かつては疑いをはさむ余地の少なかった古典的モラル基準が規範力を失い、人々は「規範の解体」による深刻な「心理的危機」に陥っています。

 

 

 

 

 

現代消費資本主義社会は、「自由に振る舞え」、「人は人、自分は自分というふうに振る舞え」、「内側に欲望が起きた時はすぐに行動せよ」という三原則をその本質とします。

 

 

 

 

 

つまり、他者への配慮を欠いた自己中心的な行動様式を正当化します。

 

 

 

 

 

若者の典型的な生活態度は、常に自分の快適さや快感が優先、個室やテレビ、パソコンなど気晴らしや一人暮らしのための仕掛けにあふれ、自発的な努力や忍耐力を必要としないがために、たちまち退屈と空虚を再燃させ、欲求が即時に充足されないと気が済まず、せっかちで待ったなしの万能感にとらわれやすい心性、すなわち、境界例的な心性に近接したものとなっています。

 

 

 

 

 

その本質は、生きるための規範や理想自我を欠いた結果の深刻なよるべなさを伴う虚無的な不安感であり、若者は徹底的に他者指向型となり、友人と仲間を形成できるか、仲間性自己を発達させられるかどうか死活問題となります。

 

 

 

 

 

そこでは、個人の気質や性向にかかわらず、「面白い」、「ネアカ」であることが求められ、深く悩んだり、内省的であることは、「マジ」と呼ばれて失笑の対象となります。

 

 

 

 

 

モラルや他者への配慮の乏しい自己中心性の蔓延する現代社会において、生の実感のなさという空虚感に加えて、現代特有の躁的な対人関係パターンを継続できない内省的、誠実な人物がひきこもっていきます。

 

 

 

 

 

さらに、たとえ自宅にひきこもっても、テレビやインターネットを通じて、彼らの理想であるバラエティ番組で場をにぎわすタレントや、スマートでちやほやされる人物像にいやおうなしにさらされ、自らの現状とのギャップからますますひきこもり感を強くしていきます。

 

 

 

 

 

消費社会とパーソナルな自己愛

 

 

 

 

 

現代において自己愛は、例えば、良い学校へ入って周囲から羨望や賞賛を浴びること、マスメディアで有名になること、芸能人になること、あるいは美しい身体や容姿を褒めたたえられることなど、きわめて直接的でパーソナルなものによって満たされるものに変貌し、それらあくことのない自己愛の追及は、情報化され、商品化されて現代社会の欲望消費の主役を果たしています。

 

 

 

 

 

今日では、幸福と消費がほとんど同義になり、テレビコマーシャルがさまざまな部分的幸福を保証する社会となり、精神における超越性が希薄になっています。

 

 

 

 

 

これはすなわち、モノにせよ、容姿やスタイルにせよ、人の属性にせよ、メディアがよしとするものを自身が持っていない、兼ね備えていないことは、不幸せを意味することにほかなりません。

 

 

 

 

 

テレビやインターネットでは、美容や若返りのCMが、理想的な容姿でなければ不幸せとばかりに執拗にオンエアされています。

 

 

 

 

 

あるテレビ番組での、「顔が悪いと園児に馬鹿にされるので保育園のお迎えにも行けない。私のせいで娘がいじめられる」と嗚咽をあげて整形を求める若い母親の姿は、パーソナルな自己愛を満たすための周囲の賞賛、認証、受け入れが行動の絶対的基準になっていることを端的に示しています。

 

 

 

 

 

加えて、一面的な民主主義、平等主義のもとでの科学的、合理的心性が、同じでないもの、異質なものを排除してよいという「差別」の錯覚を蔓延させています。

 

 

 

 

 

ひきこもりのきっかけとなる出来事は、人と少し違うという些細な差異によるいじめられ体験であることが多く、さらなる孤立や排除される傷つきを恐れ、逆説的に自ら孤立を選んでしまいます。

 

 

 

 

 

高度科学技術に支えられた豊かな社会においては、「苦労なく楽に生きること」が人々の所与の権利と観念され、まだ残る微少な不平等が大きな不満の種となります。

 

 

 

 

 

何らかの挫折や不遇、不幸があると、その際のフラストレーションは、自分にとって不当なこと、損なこと、経済力や科学技術によって早期に修復されるべきものであり、それらが一朝一夕に修復されえないとなると、決定的なダメージとして生への意欲をたちまちなくしてしまいます。

 

 

 

 

 

そして、ある者はひきこもり、ある者は容易にネット集団自殺に走ったりすることもあります。

 

 

 

 

 

そこには、不幸や挫折を抱えたり、乗り越えたりして、自身の成長や他者への思いやりへと昇華させるという精神的価値がなおざりにされているという現代的背景があり、そのような精神性が体現させるはずのチャリティ番組すらも、商品化、コマーシャル化、トレンド・ファッション化が進み、パーソナルな自己愛を満たす手段になってしまっています。

 

 



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