思春期前の登校渋りと不登校について
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思春期前の登校渋りと不登校について

2019年09月01日(日)9:07 PM

不登校は、思春期における社会不適応のひとつの典型的症状です。ここでは、思春期前の登園渋り・不登校について考える中で、思春期における不登校の予防について考えたいと思います。

 

 

 

 

 

手術や風邪でしばらく休んだ後、不登校になった小学2年生

 

 

 

 

 

小学2年生の男の子Aの登校渋りにどう対処したらいいのか悩んでいます。この春休みの終わりにヘルニアの手術をしました。

 

 

 

 

 

手術自体は順調で、2日目にはもう退院しました。給食が始まってから、給食の牛乳が変な味がしたと言って帰ってきました。それ以来、給食が食べられなくなり、朝”お腹が気持ち悪い”と訴えるようになりました。

 

 

 

 

 

登校の時間が迫るとハアーハアーと大きなため息ばかりついて、昨日は押し出しても泣き喚いて動きませんでした。仕方がないので、膝に抱いてやり、「学校で何か嫌なことでもあったの?言ってごらん。お母さんはいつでもAの味方だから」とゆっくりと話を聞いてやり、1時間遅れて学校に連れて行きました。

 

 

 

 

 

連休の間は腹痛もなく元気に過ごしていましたが、今後どうなるかと心配です。思春期前では、「本人の自主性に任せる」はかえって逆効果になることが多い

 

 

 

 

 

不登校の子どもへの対応について、多くの専門家は、”登校刺激をいっさいせず、ひたすら本人の望むがままを受け入れるように!”という指示をよく親にします。しかし、思春期のケースでも、この”ただひたすら待つ”という指示が妥当なのは、あるタイプの子どものある時期だけです。そして、小学校低学年の子どもたちについては、この指示は不適当だと思います。

 

 

 

 

 

最近では、”登校刺激をいっさいせず、ひたすら本人の望むがままを受け入れるように!”という専門家の意見が広く行き渡ったためか、最初の面談のときから「本人の好きなように、学校のことは何も言わずに見守っていこうと思います」という親御さんも珍しくなくなって、”小学校低学年の子どもと思春期の子どもでは対応が違うことをもっとはっきりと言わなければ”という反省が、専門家の間に生まれています。

 

 

 

 

 

この「思春期前と思春期とでは、不登校に対する対応が異なる」という点については、ぜひ読者のみなさんに知っておいていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

なぜ対応が異なるのかと言いますと、心の発達段階が違うからです。小学校低学年の子どもの場合には、中学生・高校生の場合と異なり自分だけの力で立ち直るには、自我の発達が未成熟すぎるのです。そのため、小学校の子どもたちには親や先生などの援助が欠かせません。

 

 

 

 

 

対応の基本は、A君のお母さんがされたように、まず強く押し出してみます。それでもどうしてもだめな場合には、グッと抱きしめてやり、嫌なことを言葉で表現させます。「Aはお母さんの大事な子どもだよ。こんな大事なかわいい子が泣くほど嫌なことが学校であるのかと思うと、お母さんは悲しいよ。

 

 

 

 

 

お母さんはなんでも先生に頼んであげるから、何が嫌だったのか言ってちょうだい」とA君を膝に乗せて、抱きしめて話しかけたというA君のお母さんの対応はすばらしいと思います。

 

 

 

 

 

再登校したからといって、問題が解決したとは考えない

 

 

 

 

 

親や学校の先生方の場合、「登校させる」ことが唯一無二の目標になってしまいがちです。とくに、小学校低学年で、まだ思春期に入っていない子どもの場合、親や周囲のかかわりでわりと簡単に再登校します。

 

 

 

 

 

そのため、ほんとうの問題には気づかないままに通り過ごしてしまうことが多いのではないでしょうか。大阪府教育委員会の調査では、中学生の不登校生徒のうち、半数以上は小学校でも不登校の経験をもっています。

 

 

 

 

 

もし、小学校での不登校の際に適切な対応をとっていたならば、中学校で再び不登校におちいらなくてすんだ子どもたちがかなりいると思います。

 

 

 

 

 

不登校になるということは、多くの場合、親子関係や本人の性格、あるいは、学校の体質に改善の必要があるというサインです。このサインの内容を十分把握して、小学校時代に修復しておけば、中学校での不登校が予防できるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

そのため、小学校の時期こそ、親も先生も真剣に不登校について考える必要があるのではないでしょうか。問題を中学校まで先送りしないようにしたいものです。

 

 

 

 

 

不登校の子どもへの支援の目的~登校させることだけが唯一の目標ではない~

 

 

 

 

 

不登校の子どもたちへの支援は、「登校させること」が唯一の目標ではありません。ここでは、不登校の子どもへの支援の目的を考えることにします。

 

 

 

 

 

人間には、「・・・したい」という自分個人の「なまの欲求」があります。一方、人間は社会生活を営んでいますので、常に「・・・・すべきだ」という「社会からの要請」があります。

 

 

 

 

 

この「なまの欲求」と「社会的要請」とは、互いに矛盾することがほとんどです。大人にしても、子どもにしても、相矛盾する「なまの欲求」と「社会的要請」とのバランスをとりながら生きています。「心の健康」とは、このバランスがとれている状態です。このバランスをとる能力を「自我機能」といいます。

 

 

 

 

 

どこで自分の「・・・・したい」という欲求を譲らず、どこで「・・・・すべきだ」という社会の要請を甘受するかによってその人の「人となり」が決まります。すなわち、バランスを取る能力である「自我機能」は人格そのものなのです。

 

 

 

 

 

「なまの欲求」も「社会的要請」も年齢とともに変化します。たとえば、思春期になりますと性的欲求も出てきますし、20歳を過ぎるころからは経済的に自立することが要請されます。

 

 

 

 

 

「なまの欲求」や「社会的要請」が変化しますと、当然のこととして、新しいバランス能力(自我機能)が必要になります。そのため、従来のバランス能力ではバランスがとりきれず、社会や人生のレールの網から落ちるという事態になります。

 

 

 

 

 

そのような経験を繰り返しながら、新しいバランス能力を獲得していきます。その過程が心の成長過程です。不登校は、いままでの自我機能ではバランスがとれなくなり、一時的に網から落ちた状態です。

 

 

 

 

 

そのため、不登校の子どもたちへの支援は、ただ手を貸して網の上に戻せばいい、すなわち、登校させさえすればいいということではありません。わたしも関わっている子どもたちが登校すると、なんとなく安心するのは事実です。

 

 

 

 

 

しかし、不登校などの不適応状態は、”新しい自我機能を必要としている”というサインですから、「登校するかしないか」ということだけにとらわれずに、本人が新しいバランス能力を獲得するように援助することが大切だと思います。

 

 

 

 

 

不登校の子どもに関わるときには、20歳を超えて大人になったときにどうなっているか、という長期的な視点を持つ必要があります。ただ、登校しさえすればいいというものではありません。

 

 



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