「ひきこもる」という選択肢
ホーム > 「ひきこもる」という選択肢

「ひきこもる」という選択肢

2019年07月31日(水)10:19 AM

自分の子どもが社会生活から身を引いてひきこもりになってしまうと、たいていの親はひどく動揺します。

 

 

 

 

 

それはなぜでしょうか?それは、親としての役割は、自立した社会生活が営めるように子どもを社会化させることだからです。

 

 

 

 

 

あらゆる動物の場合がそうであるように、子どもを巣(家)から外(社会)へ押し出し、一人でエサをとる(働く)ようにすることが、子育ての目標です。

 

 

 

 

 

だから子どもが人並みに自立しないと、いつまでもゴールに行き着けません。それを考えると親としては当然不安になります。

 

 

 

 

 

これは親の本能、生理です。だから、親は子どもの「ひきこもり」を過剰に問題にし、なんとか自立できるようにしようとあがくのです。

 

 

 

 

 

そのため「ひきこもる」選択をした子どもたちは、親との確執にばかりエネルギーを浪費して疲れ果て、社会化する気力さえ喪失してしまいます。

 

 

 

 

 

ということをいくら親に言ってもなかなか理解されません。

 

 

 

 

 

子どもを社会化させたい欲望は、先に老いて死んでいく動物としての親の本能なのでしょう。

 

 

 

 

 

そんなわけで、「ひきこもる」選択をしたあなたにわたしは言いたいのです。

 

 

 

 

 

親とは戦わずにむしろ安心させてあげましょうよ、と。

 

 

 

 

 

自分は自分なりの社会化の道を模索するので、時間はかかるかもしれないけれど、ごめんね、協力してね、ぐらいは言ってあげてほしいと思います。

 

 

 

 

 

そのような希望を親に与えることで、親の精神はすこぶる安定し、「ひきこもる」選択をしたあなたの環境もまた安定します。

 

 

 

 

 

自分の居場所が平穏になってはじめて、人は物事を冷静に考えられるようになります。

 

 

 

 

 

誰かと戦っていたり、どうしよう、どうしようと状況におぼれかかってもがいている時は、なにも考えられません。

 

 

 

 

 

だから、まずは落ち着くことです。そして、自分を社会化させるための戦略として、いったん「ひきこもる」選択を自らしたのだ、ということをしっかりと意識し、言語化して確認すべきでしょう。

 

 

 

 

 

なぜなら、現代社会においてそれはとても賢い選択かもしれないからです。

 

 

 

 

 

わたしの友人の息子さんは、15歳で高校を辞めて二年半ほど家で自分流に暮らしていましたが、それは後々、社会へと出て行くためにとても大事な時期だったと語っていました。

 

 

 

 

 

世間からめまぐるしいテンポで浴びせられる過剰な情報、圧倒的な刺激、その渦中にいては、物事など冷静に考えられない過敏なアンテナ、反応しやすいセンサーを持っているタイプの人たちがいるのです。

 

 

 

 

 

この過剰な情報や刺激、軋轢ばかりの人間関係などをいったんシャットアウトして、他人の強制力から自由になって、自力で静かに考える、あるいは社会化へ向けて自分に一番合ったウォーミングアップをし、飛び立つ翼の筋力を鍛えるのです。

 

 

 

 

 

自立期の「ひきこもり」には、そのような機能がちゃんとあるのだという側面を当人自身も見落としてはならないとわたしは思います。

 

 

 

 

 

人がほかの人と違う選択をするときには、きまって訳があるものです。

 

 

 

 

 

その訳を見つけて言葉にできればいいのですが、なかなか難しいです。

 

 

 

 

 

自分のことなのだからわかっているはずだ!と思いがちですが、むしろ一番わかっていないのが自分だったりします。

 

 

 

 

 

けれど、自分の選択の訳が言語化できないと、自分が何をしたいのか、どうしたらいいのかがうまく見えてきません。

 

 

 

 

 

「ひきこもる」という選択をした人の一番つらいところは、たぶんそこらあたりにあるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

そこでアドバイスですが、わたしはそういう場合はとりあえず、その問題は脇に置いておいてこの「ひきこもる」という選択によって、自分が得たもの、失ったもの、つまりメリットとデメリットについて具体的に列挙してみるといいのではないかと思います。

 

 

 

 

 

先述の友人の息子さんが高校を辞めたとき、一番最初にわたしがしたアドバイスもこれでした。

 

 

 

 

 

高校を中退するという選択をして、あなたは何を得たの?何を失ったの?と。

 

 

 

 

 

彼は、学校を辞めることで、「好きに使える時間」「自分のペースで勉強する自由」「人との葛藤からの解放」などなど、得たものをいくつもあげました。

 

 

 

 

 

(そうです。実は辞めた訳はここに隠されていたのです。つまり人は、意識しているしていないにかかわらず、どこかで何かを得るためにこそ何かを選択するのだとも言えるのです)。

 

 

 

 

 

むろん、同時に彼には「友達がいなくなった」「孤独になった」「将来が不安になった」など、学校を辞めることでこうむったデメリットもいろいろあげました。

 

 

 

 

 

ならば、賢い方法は一つだけです。自分の選択によって得たメリットはここぞとばかりに最大限に活かします。

 

 

 

 

 

デメリットは、それを最小限にとどめるように知恵を絞ります。

 

 

 

 

 

ちなみに彼は、たっぷり得た自由時間で、「ギターの練習」「パソコン技術の習得」をする一方、孤独を癒すためには読書に勤しむなどしていましたが、このようにどんな人生の選択にも、それによって得るものと失うものの両方があるということです。

 

 

 

 

 

「ひきこもる」という選択も同じことです。

 

 

 

 

 

それぞれの資質や個性、「ひきこもった」訳の違いによって異なるでしょうが、それぞれに得たものと失ったものがあるのです。

 

 

 

 

 

そして、失ったものばかりにではなく、得たもののほうにより視線を注げるかどうか、それを生かせるかどうか、ここが自分の身に起きた困難をクリアする大事な鍵なのです。

 

 

 

 

 

困難の渦中にある時は、誰もが苦しいのです。

 

 

 

 

 

でも「負の体験」は人の魂を必ず深く耕します。そのことだけは忘れないでいてほしいと思います。

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援