子どもたちをひきこもらせた大人たち
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子どもたちをひきこもらせた大人たち

2019年07月30日(火)4:52 PM

近代工業化を推し進めてきた私たちの国は、何事にも「スピードを重視して」きましたし「生産性を重んじて」きました。

 

 

 

 

 

また「管理を厳しくして」きましたし、規格を統一して「画一化を図る」ことによって大量生産の道を開いてきました。

 

 

 

 

 

言い換えれば、これら四つのキーワードを持ちいて、私たちの国は世界に冠たるモノ生産国にもなりましたし、経済力もついて国民の生活も飛躍的に向上してきました。

 

 

 

 

 

そこまではいいとしましょう。でも、その背後で何が起こっていたのでしょうか。それが問題です。

 

 

 

 

 

私が気づいたことは、わが国の飛躍的な経済発展の背後に起こっていた「心の育ちの危うさの広がり」でした。

 

 

 

 

 

そのことを考えるために、私は子供たちにどのような言葉をかけているのかを探ってみました。

 

 

 

 

 

その結果が「早くしなさい」「頑張ってやりなさい」「しっかりしなさ」「みんなと同じようにしなさい」という言葉でした。

 

 

 

 

 

この四つの言葉を抜き出してみて愕然としたのは、先にあげたわが国の近代工業化に使われたキーワードに見事に一致することでした。

 

 

 

 

 

「スピード重視(S)」は「早くしなさい」に、「生産性奨励(S)」は「頑張りなさい」に、「管理化強化(K)」は、「しっかりしなさい」に、そして「画一化推進(K)」には「みんなと同じにしなさい」が見事に対置します。

 

 

 

 

 

このS・S・K・Kはわが国を非常に豊かにしましたが、子供たちを「早く」「頑張って」「しっかり」「みんなと同じに」育てようとしてきたのも私たちでした。

 

 

 

 

 

心の育ちを危うくしてきたのがこの声かけであったとするなら、わが国を豊かにしてきたこのキーワードが、子供の心の育ちを危うくさせてきた元凶であったと指摘することもできます。

 

 

 

 

 

人はいろいろ、子供もいろいろです。早くできる子もいますが、遅い子もいます。頑張れる子供もいますが、なかなか頑張れない子供もいます。

 

 

 

 

 

だれもがしっかりできるわけではありません。そして、一人ひとりに違いがあってこそ、人なのです。

 

 

 

 

 

だからみんな同じようにしようとすることそれ自体に無理があります。

 

 

 

 

 

落ちこぼれてしまうとハッパをかけ、遅れたものを置いてきぼりにしかねなかったのが私たちの子育てでした。

 

 

 

 

 

「がんばれない子はダメな子」だというレッテルを張ったのも私たちだし、「忘れ物が多い子は自己管理ができない子」で「みんなと同じ服装ができない子はルールを守れない子」というわけで教師から目の敵にされました。

 

 

 

 

 

多くの子供たちと接してきた私は「ひきこもり」の原因調べや「ひきこもり」の治療にはあまり関心がありません。

 

 

 

 

 

なぜひきこもったのかを詮索したり、どうやって「ひきこもり」をやめさせるかを考えることは、彼らの戸惑いに寄り添うことを放棄することにしかなりません。

 

 

 

 

 

彼らは、わが国の近代工業化に翻弄された子育ての帰結なのであって、ひきこもっている彼らをどうするかというよりも、ひきこもらせてしまった我々が変わらなければならないと私は考えるからです。

 

 

 

 

 

子供大好きな支援者の私は、本来の仕事であるひきこもりやニートの社会復帰支援とはやや異なった方向でもある、子供の問題に関心を持つようになりました。

 

 

 

 

 

その理由は、明らかな精神障害とは言えませんが、精神障害まがいの状態を示す若い人たちがどんどん増え、そのおおもとに子供の「心の育ちの危うさ」を感じたからです。

 

 

 

 

 

この心の育ちの危うさは、時代とともにいくぶんそのニュアンスは変わっていきますが、現象としてとらえてもおおむね10年ごとに次のような変化が見て取れます。

 

 

 

 

 

1950(昭和25)~60年(昭和35)・・・・・・・・・・・大衆運動として国家権力に対峙した

 

 

 

 

 

1960(昭和35)~70年(昭和45)・・・・・・・・・・・・学生運動として権威機構を攻撃した

 

 

 

 

 

1970(昭和45)~80年(昭和55)・・・・・・・・・・・・校内暴力として権威象徴にはむかった

 

 

 

 

 

1980(昭和55)~90年(平成2)・・・・・・・・・・・・・家庭内暴力として親たちにぶつかった

 

 

 

 

 

1990(平成2)~2000年(平成12)・・・・・・・・・・・個人的暴力として弱いものをいじめた

 

 

 

 

 

20000(平成12)~現在・・・・・・・・・・・・・・・自分をいじめ、自分の殻に閉じこもった

 

 

 

 

 

1950年代の若者は、わが国のこれからの行く末を憂慮して大衆運動を組織しながら国家権力と対峙しました。

 

 

 

 

 

時代が10年下がると、その力を次第に縮小して大学機構にその力を振り向けて大学闘争を起こしましたが、それもさしたる成果を見せないまま、一部は連合赤軍として国際社会に飛び出しはしたものの、学生の大部分は活力を失って運動から離れていきました。

 

 

 

 

 

この後にみられたのが高校生らによって起こされた校内暴力で、これらは中学生から小学生の高学年まで広がりを見せましたが抑え込まれました。

 

 

 

 

 

これが1970年代の子供たちです。

 

 

 

 

 

1980年代になると縮小されはしましたが、まだ保たれたエネルギーを家庭に持ち込み家庭内暴力を繰り返す子供が見られるようになり、1990年代に入ると、弱い者いじめにあたる個人的暴力や集団によるいじめとなって世間を騒がせるところとなりました。

 

 

 

 

 

わずかに保たれたエネルギーを外に吐き出すこともできない子供は、そのエネルギーで自分をいじめさいなむこととなります。

 

 

 

 

 

子供の自殺が目立ち、一部でリストカットが流行しました。それもあまり目立たなくなると、自分の殻に閉じこもる「ひきこもり」が急激に増えてきたのです。

 

 

 

 

 

これが2000年代の現代です。

 

 

 

 

 

もちろんここではかなり無理をして10年ごとにその変化を追ってみていますが、思春期・青年期を通じて子供たちの心に蓄えられるはずの内的エネルギーがしだいしだいに減少し、彼らがそのエネルギーでもって行動する内容が縮小していることがわかりになると思います。

 

 

 

 

 

このような内的エネルギーの減少をもたらしたものこそ、子育てや学校教育におけるS・S・K・K、つまり「早くしなさい」「頑張りなさい」「しっかりしなさい」「みなと同じにしなさい」であったと私は考えています。

 



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