精神的自立と不登校
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精神的自立と不登校

2019年07月17日(水)6:30 PM

思春期は親からの精神的自立の時期ですが、その過程では、親や家族の役割が非常に大きいと思います。

 

 

 

 

 

親や家族に歪みがある場合、子どもは思春期に心身症や不登校、非行などの精神的な訴えをすることによって、親や家族のこれまでの歪みを顕在化させ、子ども自身の力で問題を打ち破っていこうとします。

 

 

 

 

 

不登校の事例

 

 

 

 

 

関西に住んでいるA子さんは、中学2年の3学期から続けて学校を休むようになり、学校の紹介で関東自立就労支援センターに来所しました。

 

 

 

 

 

長身で澄んだ目をしたA子さんは、自分のことや家族のことをよく把握していて、思慮深そうに訴えました。以下は本人の話です。

 

 

 

 

 

中学2年の6月ごろ、お父さんとお母さんとわたしがケンカになって、・・・・・・・お父さんとお母さんが兄のことばっかり相手にするので、”ひとりっきり”の感じがして、部屋のこともあって言い合いになりました。

 

 

 

 

 

興奮してきて、息づかいが荒くなり、手足がしびれてきて何がなんだか分からなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

それからちょっとの興奮で倒れるようになってしまいました。

 

 

 

 

 

そのころから朝、頭が痛くなり、1ヶ月くらい休みました。2学期からは毎日のように遅刻していましたが、登校はしていました。

 

 

 

 

 

わたしは、今までお父さんにも、お母さんにも褒めてもらったことがありません。自慢できるものは何もありません。

 

 

 

 

 

わたしが小さいときから父はお酒を飲んで、母とすぐにケンカをしていました。

 

 

 

 

 

わたしは”わたしの知らないところで飲まないで”って言っていました。コップ酒を飲んできて、家では飲んでいないふりをするのが嫌だったんです。

 

 

 

 

 

”しんどくなるのは自分なのに・・・・・・。”学校では友だちはいます。学校は特に問題はありません。倒れることと、家族のことが気になるだけなのです。

 

 

 

 

 

父は「うつ病」で今、仕事を休んでいます。兄が少し不良になってそのことで両親とよくケンカになっています。

 

 

 

 

 

「過換気症候群」は精神的な不安と極度の緊張などが主な原因です。

 

 

 

 

 

A子さんが心配している”息づかいが激しくなり、手足がしびれてきて、わからなくなる”という症状は、思春期の子どもにはときどき見られます。

 

 

 

 

 

倒れてしまうこともあるので脳波異常による「てんかん」と間違われやすいのですが、「てんかん」ではなく、過換気症候群です。

 

 

 

 

 

過換気症候群は一種の原始反応です。人間がまだ野生の生活をしているころの感覚が体に残っているのです。そして、身の危険を察知して、体が反応するのが原始反応です。

 

 

 

 

 

何か身の危険を感じたとき、無意識に身構えるように、不安や怒り、驚きなどの感情の高ぶりにより、体が反応して”逃げないと”と呼吸を早め、心臓も早く打つのです。

 

 

 

 

 

急に息が速くなり、心臓が飛び出すほど激しく打つと、それが不安を助長し、さらに呼吸や鼓動が早くなり、悪循環がはじまります。

 

 

 

 

 

そして、呼吸を激しくする結果、血液中の二酸化炭素が少なくなり、手足がしびれてくるのです。

 

 

 

 

 

手足がしびれてくると、それがさらに不安を呼び、悪循環はさらに深みにはまってしまいます。

 

 

 

 

 

その結果、意識が薄れて倒れてしまうこともあります。過換気症候群を見ていますと、人間の体には大昔のまだ野生の生活をしていた時代の感覚がいまなお脈々と受け継がれていることに驚きを感じます。

 

 

 

 

 

そして、人の心と体の不思議さを実感せざるを得ません。つい先日も、「自分の体に自信が持てなくなった」と不登校がはじまった中学生が来所しました。

 

 

 

 

 

よく聞くと「過換気症候群」でした。A子さんも訴えていますように、「過換気症候群」の原因と対処方法がわからないと本人は非常に不安になり、不登校の原因にもなります。

 

 

 

 

 

過換気症候群に対する対応は、まず周囲が落ち着き、本人に「大丈夫、心配ないよ」と言ってあげることです。

 

 

 

 

 

そして、ビニール袋を口に当てて、吐いた空気をもう一度吸うようにすれば体から二酸化炭素が減ることを防げますので、自然におさまります。

 

 

 

 

 

そして、”なぜ、手足がしびれるのか”について後で説明をしてあげることです。

 

 

 

 

 

心理的な理由で起こるいろいろな症状については、基本的にはあまり注意を向けないことです。

 

 

 

 

 

強迫神経症などで何回も何回も手を洗う場合でも、心身症の腹痛の訴えでも、その症状そのものに親がこだわり、注意を向けるとかえって症状は激しくなるものです。

 

 

 

 

 

過換気症候群の場合も、症状自体にはさりげなく対応しましょう。

 

 

 

 

 

過換気症候群については、対応が比較的わかりやすいので、理由さえ説明すれば、それからは倒れるところまで行かないようになります。

 

 

 

 

 

そして、症状がおさまり、落ち着いているときに、本人と話をしたりしながら何が原因かについて、親自身があるいは親子で一緒に考えてみる必要があります。

 

 

 

 

 

そのように具体的エピソードを機会に、子どもの理解をしなおす習慣をつけたいと思います。

 

 

 

 

 

A子さんの不登校には、直接は過換気症候群も関係していましたが、ほんとうの理由は父親のアルコール依存症でした。

 

 

 

 

 

では、アルコール依存症とはどんな病気なのでしょうか。アルコール依存症は、むかしから「アル中」と言われ、本人の性格の問題と一般に考えられがちです。

 

 

 

 

 

そして、”どうしようもない”と家族も周囲も投げ出してしまっていることが多く見られます。

 

 

 

 

 

現代は簡単にアルコールが手に入ります。そのため、アルコール依存症の人数は男女問わず急増中です。

 

 

 

 

 

わたしの夫にかぎって、あるいは、妻がまさかとみなさん考えていらっしゃるかと思いますが、現在はそう楽観はできないようです。

 

 

 

 

 

A子さんの母親が”お酒をやめなくてもいいから、少しだけにして”と父親に頼んでいると言っていましたが、アルコール依存症になってしまったらもう一滴もアルコールは飲んではいけません。

 

 

 

 

 

10年以上も断酒していた方が、親戚の結婚式でさかずき一杯の日本酒を飲んだために、また、底なしのアルコール依存の状態に戻ってしまったという例がありますように、一度アルコール依存症になってしまうと、一生アルコールは飲んではいけません。

 

 

 

 

 

そのように体がアルコールという薬物により変えられてしまっているのです。一生アルコールを楽しむためには、適量が大切です。

 

 

 

 

 

アルコール依存症は、家族全員を巻き込みます。親がアルコール依存症のために子どもが被害をこうむるケースは急増しています。

 

 

 

 

 

このケースでも兄の非行、A子さんの不登校というように、家族みんなが苦しんでいました。

 

 

 

 

 

A子さんは小さいときから、母親と一緒になって酒を隠したり買いに走ったりしていました。

 

 

 

 

 

父親や母親のアルコール依存症のために不登校を起こしたり、非行に走る子どもたちはたくさんいます。

 

 

 

 

 

子どもたちは不登校や非行によって親に訴えているのです。A子さんの場合、初めて来所したときから両親と一緒に来ましたので、ずいぶん子ども思いの父親だとわたしは思いました。

 

 

 

 

 

父親は「うつ病」で仕事を休んでいるというので、状況を少し聞いてみますと「アルコール依存症」だとすぐにわかりました。

 

 

 

 

 

そこでアルコール専門のクリニックを紹介しました。父親は進んで受診し、数ヶ月の入院ののち仕事に復帰しました。

 

 

 

 

 

そのような中で、兄がまず変わり、逸脱行為がおさまりました。A子さんも徐々に回復し、3年生の4月からはほとんど休まずに登校できるようになりました。

 

 

 

 

 

この家族はA子さんの不登校に助けられたと思います。

 

 



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