不登校と転校~転校をきっかけに子どもは学校へ行くようになるのか~
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不登校と転校~転校をきっかけに子どもは学校へ行くようになるのか~

2019年07月13日(土)8:09 PM

不登校の相談では、転校の話がよく出てきます。結論から言いますと、一般的には転校は不登校の解決にはなりません。(もちろん、転校で学校に通いだす人もいます)。

 

 

 

 

 

むしろ、解決を遅らせてしまったケースを多数見てきました。

 

 

 

 

 

事例  いじめが原因で不登校になったE君(中学2年生)になぜ転校をすすめたか

 

 

 

 

 

神戸の有名私立中学に入学したE君は、1年生の林間学校の際に、級友たちがあまりにも幼稚な遊びで戯れているので、それに加わりませんでした。

 

 

 

 

 

その後、靴箱に石が入っていたり、持ち物を隠されたりという嫌がらせをされるようになり、悩んでいました。

 

 

 

 

 

2年生の5月末に学校から連絡があり、ここ1週間E君が学校に行っていないことを知らされた母親は気が動転して声が出ないほどでした。

 

 

 

 

 

E君はいつもどおり朝、学校に出かけていました。帰ってきたE君に聞き出したところ、学校に近づくとお腹がきりきりと痛み、どうしても登校できない、そのため六甲山や神戸の港で時間を過ごしていたとのことでした。

 

 

 

 

 

それから1週間後に、関東自立就労支援センターに来所しました。

 

 

 

 

 

小柄ながら、がっしりとした体格のE君は、これまでの経過やなぜ学校に行きにくいかについて、はっきりと言葉で表現できます。

 

 

 

 

 

彼は相変わらず嫌がらせは続いているし、クラスメートとの違和感がますます大きくなって教室にいるのが”とてもしんどい”と訴えました。

 

 

 

 

 

いまの学校が自分には合っていないように思うとも言いました。

 

 

 

 

 

そこでわたしは「地元の中学についてはどんなイメージを持っている?」と尋ねてみました。

 

 

 

 

 

彼は、「活気があると思います」と答えました。そこでわたしは「大阪の地元の中学校に転校するのはどうか?」という提案をしました。

 

 

 

 

 

わたしのほうから「転校について考えるように」という提案を出したのは、実はE君がはじめてでした。

 

 

 

 

 

E君の場合、地元から遠く離れた私立中学に通っていたことと、E君自身にはほとんど問題を感じなかったために、転校を提案しました。

 

 

 

 

 

しかし、一般的には、わたしは「転校したい」という子どもや親の希望に対して、たいてい”待った”をかけています。(ただ、ケースによっては賛成することもあります)。

 

 

 

 

 

なぜかと言いますと、転校した結果、失敗しているケースをたくさん見ているからです。

 

 

 

 

 

転校しなければ、登校ができていたと思われる中学生の男子の例

 

 

 

 

 

小学校までは勉強もスポーツも万能で、先生や級友からは厚い信頼を寄せられていたQ君は、中学に入学するとバスケットボール部に入部しました。

 

 

 

 

 

しかし、中学2年の夏休み前に体調をこわし、2週間ほど休んだあと、9月から登校できなくなりました。

 

 

 

 

 

冬になり自宅では普通に生活できるようになったQ君は、いろいろと理由をあげていまの学校にはどうしても行きたくないと言いました。

 

 

 

 

 

中学校に対する不信感が強かったQ君の両親はちょうど自宅を新築することを考えていたこともあり、別の校区に家を新築して転居しました。

 

 

 

 

 

両親はQ君が新しい学校に登校できることを期待していました。しかし、3学期の最初の1日だけ登校したのみで、その後はどうしても登校できませんでした。

 

 

 

 

 

Q君は、3月に学校からの紹介で関東自立就労支援センターに来所しました。

 

 

 

 

 

学校としては”彼は転校生で1日しか学校に来ていないので、様子がわからずよく知っている先生もいないので困っています”とのことでした。

 

 

 

 

 

不登校のために転校した生徒では、Q君のような経過が一般的です。この学校の場合、病院を紹介し親が受診するよう説得されました。

 

 

 

 

 

そこまで関わってくれる学校は多くはないと思います。

 

 

 

 

 

Q君は3年生の夏ごろから、散髪にも行くようになり、肥満になっていた体重も自発的にコントロールして減量し、家の中では普通の状態になりました。

 

 

 

 

 

しかし、中学校については、転校していたため、友だちもなく先生も誰も知らないので、最後まで登校はできませんでした。

 

 

 

 

 

と言うよりも、登校することが課題にものぼらなかったようです。

 

 

 

 

 

卒業後、彼はすぐに働き始めました。もし転校していなかったら、中学校の間に登校できていたと思います。

 

 

 

 

 

友だちの力、学校の役割

 

 

 

 

 

不登校の子どもが転校した際、期待どおり登校できない理由には、いろいろあると思いますが、もっとも大きい理由は、転校先の中学校が本人を知らないこと、そして本人も転校先の中学校を知らないことです。

 

 

 

 

 

不登校の後、再登校するときには本人のたいへんな努力が必要です。そのとき、友だちや学校の先生方の支援は一般に考えているよりも大きな役割を果たします。

 

 

 

 

 

転校した場合、本人にとって”過去のことを誰も知らない”という気楽さがあります。そのため、Q君のように1日2日は登校できる場合がほとんどです。

 

 

 

 

 

しかし、気心が知れた友達や先生が誰もいないということは、寂しいものです。

 

 

 

 

 

とくに不登校で悩んできた子どもの場合、”自分が学校や友だちに受け入れられていないのではないか”という不安が強く、その結果、疎外感を強く感じてしまうようです。

 

 

 

 

 

そのため、登校できなくなってしまうのです。一方、転校先の学校のほうでは、学校としての支援はほとんどしないまま放置されてしまうケースが大半です。

 

 

 

 

 

その理由には、その子どもを知らないということもあるとは思いますが、学校がなんとかしなければという責任を感じないためというのも意外に大きな理由ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

不登校になったのは、前の学校のときであり、自分の学校には何も責任はないという感覚です。

 

 

 

 

 

そのため、担任自身がかかわったり、友だちがかかわるということにはならないのが一般的です。

 

 

 

 

 

その結果、E君のように転校さえしなければ登校できたと考えられる子どもが、中学校を卒業するまで登校できないという事態がしばしば生じています。

 

 

 

 

 

そのような理由で、わたしは不登校の子どもの転校については、一般的にはよくないと考えています。

 

 

 



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