不登校の心身症状と身体症状
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不登校の心身症状と身体症状

2019年07月08日(月)12:18 AM

最近の不登校の子どもたちのひとつの特徴は、「勉強も友達関係も特に何も嫌なことがないのに、体の不調を訴えて休む」子どもたちの増加です。

 

 

 

 

 

本格的な不登校にならなくても、登校前や学校行事の中で、腹痛や頭痛、吐き気、発熱、倦怠感などの体の不調を感じた経験のある子どもは多いのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

わたしは関東自立就労支援センターでの活動を通して、人間の体と心とがこんなにも深くつながっていることに驚いています。

 

 

 

 

 

子どもたちの訴えを聞き、また、立ち直る姿を見ていく中で、人間の体と心とが相呼吸し、一体となって働いていることに生物としての人間の不思議さを感じています。

 

 

 

 

 

相談事例    目が見えにくいと訴える小学6年生

 

 

 

 

 

娘は小学校6年生の女子(A子)です。下に弟が2人います。小さいときから活発で頑張り屋で親としては自慢の子でした。

 

 

 

 

 

5年生の終わりごろから、黒板が見えにくいと訴えるので”近視になったのか”と思い、近くの眼科医院を受診したところ近視ではないと言われ、大きな病院を紹介されました。

 

 

 

 

 

そこでいろいろ検査をしていただいたのですが、「検査ではどこも悪くありません。これは精神的問題からくるものですから、メガネをかけても治りません」と言われました。

 

 

 

 

 

”もう来てもらっては困る”と言われたような気がして、途方に暮れてしまいました。

 

 

 

 

 

担任の先生に頼んで、席を黒板のすぐ前に移してもらいましたが、「あまりはっきりとは見えない」と本人は言います。

 

 

 

 

 

そういうことはあるのでしょうか。また、どう対応したらいいのでしょうか。

 

 

 

 

 

心身症状はうそではない

 

 

 

 

 

A子さんの”目が見えにくい”という訴えは、心因性の視力障害と言われるもので、ときどきあります。A子さんの場合は、”見えにくい”という程度ですが、まったく見えない状態になることもあります。

 

 

 

 

 

この場合、けっして本人がうそをついているのではありません。腹痛や頭痛などとは訴え方は異なりますが、精神的な危機を体の症状として訴えているという点では同じです。

 

 

 

 

 

わたしは関東自立就労支援センターの活動を通して、人間というものはなんと不思議なものかと感心しています。

 

 

 

 

 

センターでは、普段の生活では出会えないいろいろな子どもたちに出会えます。わたしはその中で、「人は心理的な原因で歩けなくなったり、目が見えなくなったり、痛みが生じたり、その他なんでも起こり得る」ということを強く実感しています。

 

 

 

 

 

子どもたちが精神的ストレスを体の症状として訴えるのは、風邪等の身体疾患のときに熱や痛みを出してSOSを発するのと同じで、人間が本能的に持っている命を守るための大切な防御機能だと思います。

 

 

 

 

 

そのようなものですから、子どもたちが訴える頭痛や腹痛、発熱、倦怠感、視力障害などの心身症状は、実際に本人が感じているものでけっしてうそをついているものではありません。

 

 

 

 

 

ここはしっかりと心に留めておいていただきたいと思います。なお、心身症状とは心理的な原因で生じる身体症状のことです。

 

 

 

 

 

身体症状が心身症状であるというためには、A子さんの場合のように身体医学的にはどこも異常がないということを一応チェックしておく必要があります。

 

 

 

 

 

何に対するSOSなのか

 

 

 

 

 

頭痛や腹痛、吐き気、発熱、視力障害などの心身症状は、本人が「精神的に危機」に陥っていることを訴える一種のSOSです。

 

 

 

 

 

中学生くらいまでの子どもの場合、自分が精神的に危機に陥っていることを心身症状として訴えるのが、ある意味ではもっとも楽な方法なのだと思います。

 

 

 

 

 

ここで心身症状の意味を考えてみましょう。火事や洪水などが起こった際に、サイレンが連続して鳴らされます。

 

 

 

 

 

 

サイレンは何かが起こったということを知らせるSOSです。しかし、サイレンは火事などが起こったことを知らせているだけで、火事がどこで起きているのかとか、何が原因か、どのくらいの規模のものかなどについては、サイレンを聞いているだけではわかりません。

 

 

 

 

 

同じように、子どもが訴える心身症状は、SOSであって、本人がどのような心の問題を抱えているのかとか、その原因は何かなどを示すものではありません。

 

 

 

 

 

だから、どのような心の危機に対するSOSなのか、また、それをもたらした原因は何かなどについては親や学校の先生などが考えなければわかりません。

 

 

 

 

 

A子さんの場合も、彼女がどのような心の問題を抱えているのかについて親がしっかりと考える必要があります。

 

 

 

 

 

子どもを理解し直すチャンス

 

 

 

 

 

親は自分の子どもについてはよくわかっているように考えがちです。しかし、親だからこそ自分の子どもの欠点は見えないという場合もよくあるのです。

 

 

 

 

 

 

A子さんの場合、心因性の視力障害という形でSOSを発しています。お母さんには、今までの”何でもよくできる自慢の子”という先入観を一度捨てて、もう一度白紙の状態でA子さんを理解しなおしていただくようにお願いしました。

 

 

 

 

 

しばらくして、お母さんは今までわがままを言ったり、甘えることがあまりなかったA子さんに気づかれました。

 

 

 

 

 

 

いつもお母さんから”お姉ちゃんだから”、”いい子だから”と言われて育ってきたA子さんは、いつの間にか”自分自身のしたいこと”よりも”親や先生にほめられること”を優先させてきたことにも気づかれました。

 

 

 

 

 

その後、お母さんがじっくりとA子さんの話し相手になるようになってから数ヶ月して、いつの間にかA子さんの目の訴えは消えていました。

 

 

 

 

 

ところで、なぜ言葉で訴えないで体の症状として訴えるのでしょうか。それは、言葉で訴えることができないから、体の症状として訴えるのです。

 

 

 

 

 

これは答えになっていない、と感じるかもしれません。しかし、事実なのです。「勉強も友だち関係も何も嫌なことがないのに、体の具合が悪くて・・・・・」と訴える心身症タイプの子どものカウンセリングをしていてわかったことですが、言葉で訴えられるようになると自然に体の症状は消えていきます。

 

 

 

 

 

この心身症タイプの子どもたちを理解するためのキーワードは、「無意識の存在」だと思います。

 

 

 

 

 

人間の心には「意識」している部分の他に「無意識」の部分があることを発見したのは、あの有名なフロイトです。

 

 

 

 

 

フロイトは、人間の感情や言動は心の「無意識」の部分によって大きく支配されていることを明らかにしました。

 

 

 

 

 

心身症タイプの子どもたちの特徴は、日常生活の中でのできごとと自分の気持ちや感情の動きを関連づけて考えることが不得意なことです。

 

 

 

 

 

そしてたとえば「成績が下がり、劣等感を感じる」とか「自分の容姿は、劣っているのではないだろうか」とか「友だちとの会話についてゆけず、疎外感を感じる」など、本人にとって「はっきりと意識することがつらいこと」を無意識の世界に送り込んでしまうのです。

 

 

 

 

 

そして、心の「意識」部分と「無意識」部分との解離が大きくなりますと、「勉強も友だち関係も何も嫌なことがないのに、体の具合が悪くて・・・・・・」と身体症状としてSOSを出すのです。

 

 

 



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