父親の教えと浜崎あゆみ
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父親の教えと浜崎あゆみ

2019年07月02日(火)1:40 PM

「僕は、たまたま不幸なことに人よりも勉強ができてしまいました。できなければ、今になってこんな苦しみを味わうことはなかったかもしれません」

 

 

 

 

 

「中学で高校の勉強を終えてしまった僕は、”浜崎あゆみ”も知らないまま大学生になっていました。今はそれが非常に悔しいです。

 

 

 

 

 

父親を恨みます。なぜならば、父親は常に言っていました。『学歴があって勉強ができれば、必ず人はついてくる』と。

 

 

 

 

 

でも、あれは嘘でした。僕は勉強もできて学歴もあります。だけど誰も僕についてくる人はいませんでした」

 

 

 

 

 

人は、同一世代と同一時代(話題を持っている)を同一空間(帰属する場)で生きてこそ、人間関係が保たれます。

 

 

 

 

 

勉強や運動ができて、自分から人に関わらなくても相手から関わってくれるような受け身が保証されているときは”浜崎あゆみ”を知らなくてもいいけれど、ある日、受け身が保証されなくなったときに、「自分はいったい何なのか」と思い、「人に受け入れられるかな」と人が気になりだします。

 

 

 

 

 

 

孤独を感じるのです。そのときに孤独から脱出する唯一の手がかりは、同一世代と同一時代を同一空間で生きているかであり、人との共通の話題を持っているかなのです。

 

 

 

 

 

言い換えれば、その世代の常識を知っているかということです。

 

 

 

 

 

常識にこだわらずに生きていける人は、他の人がその人を認めているからです。だから、「常識なんてくだらない」というのは、引きこもる若者にとっては乱暴な意見です。

 

 

 

 

 

彼の言う浜崎あゆみとは、常識であり、現実感ということです。

 

 

 

 

 

わたしは娘が中学2年のとき、「お父さん、スピッツ買ってよ」と言われたことがあります。わたしが犬のことだと思って「うるさくて近所に迷惑になるからだめだよ」と言うと、「なに言ってるの」と言われました。

 

 

 

 

 

よく聞くと、音楽グループの名前がスピッツでした。でも娘は、わたしを笑ったりはしませんでした。わたしがスピッツと聞いて犬と間違えても不思議ではないからです。

 

 

 

 

 

ところが、多くの子どもたちの心をとらえている歌を、同世代でありながらいっしょに口ずさめないのは寂しいものです。

 

 

 

 

 

特に、ある群れからはぐれている感じを抱いているときはあせるものです。人がよってきてちやほやしてくれているときは、スピッツを知らなくてもいいのです。

 

 

 

 

 

でも、人がスーッと自分から去っていったとき、自分はこの世代に生きているかどうか、とても気になるのです。

 

 

 

 

 

『透明な存在』(神戸児童連続殺傷事件の少年Aによる犯行声明)になってしまうと、自己肯定感の希薄さが浮き彫りになります。

 

 

 

 

 

浜崎あゆみやスピッツというのは、この仲間の群れにいるために必要なものの象徴なのです。だから、強がらずに自己肯定できていれば、浜崎あゆみはもう気にするものでもないのです。

 

 

 

 

 

人間関係をつむぐとはどういうことでしょうか。人は人なくしては生きていけません。

 

 

 

 

 

人の輪のなかで、仲間集団という輪のなかで、自分がどうやってうまくやっていくか・・・・・・。

 

 

 

 

 

一人ひとりバラバラならいいのだけれど、人間関係を強制されたらとてもそのことにエネルギーがいります。

 

 

 

 

 

そして孤立したとき、人を求めていく力が問われるのです。

 

 

 

 

 

大学卒業後、就職した彼が一番驚いたのは会社での挨拶でした。それも同期入社の仲間でした。

 

 

 

 

 

部長には丁寧に「おはようございます」、課長には軽く「おはようございます」、同僚には「おはよう」と言い、自然に言葉を使い分けていることに、彼は驚いてしまったそうです。

 

 

 

 

 

横で見ていて、どうやってあんなにうまくやるんだろう、どこでどうやって使い分けているんだろうと不思議に思ったそうです。

 

 

 

 

 

彼は失礼のないようにと、誰にでも丁寧に挨拶をしていました。部長や課長にだけでなく、同期にまで「おはようございます」と言っていました。

 

 

 

 

 

すると同期から「おまえ、変わっているな」と言われて頭が真っ白になってしまいました。

 

 

 

 

 

同期は他人行儀で水くさいという意味で言ったのでしょうが、彼にはそのほどよい人間関係の距離がつかめないのです。

 

 

 

 

 

このような出来事が重なって、自信をなくして人間関係がつらく、わからなくなってしまったということでした。

 

 

 

 

 

「僕は人間関係のTPO(時・場所・場合)がわからないんです」と彼は言いました。

 

 

 

 

 

悩んだ末、彼は挨拶の仕方や名刺交換、おじぎの仕方などをハウツー本で勉強しました。

 

 

 

 

 

でも、それから迎えた現実に、彼は再び戸惑ってしまいます。研修部長にはみんな、「おはよーございます」と親しげに言います。

 

 

 

 

 

人事課長には「おはようございます」と若干丁寧な言い方をして、ニュアンスが違うのです。「なんだろう、この違いは」と、余計にわからなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

会社の教育研修中でもあり、研修部長には毎日のように会っています。

 

 

 

 

 

でも人事課長は、実質的な人事の責任者で、同じ課長でも少し別格だったようです。

 

 

 

 

 

悩んだ末に、彼は休憩室で聞いてもいない音楽をスマホで聞いて、文庫本を読むようになりました。こうすれば人は誰も近づいてこないからです。

 

 

 

 

 

あるときそんな彼に、不思議そうな顔をして研修部長が近づいてきて、「君、会社には慣れたか?」と聞いてきました。

 

 

 

 

 

でも彼はびっくりしてしまって、しどろもどろになってしまいました。

 

 

 

 

 

「はい、わたしは慣れました」と言ったらいいのか、「僕、慣れました」と言ったらいいのか、今は休憩時間だから、「俺、慣れました」と言ったらいいのか使い分けがわからなかったのです。

 

 

 

 

 

それで「いや、あ、いや」とか言うしかない彼は、課長に「君はサラリーマンには向いていないね。他の道を考えたほうがいいかもしれないね」と言われてしまったのです。

 

 

 

 

 

彼は何のためにここまで勉強してきたのか、何を獲得できずに育ってしまったのか、わからなくなってしまったそうです。

 

 

 

 

 

どこでどんなふうに立ち振る舞ったらいいのかわからない、立ち振る舞い方のTPOがわからないのです。

 

 



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