ひきこもりと境界性パーソナリティ障害
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ひきこもりと境界性パーソナリティ障害

2019年06月28日(金)10:33 AM

「境界性パーソナリティ障害」は、最近では、「境界例」や「ボーダーライン」としてマスコミにも取り上げられる機会が増えてきました。

 

 

 

 

これはひと言でいうなら、対人関係や情緒などがきわめて不安定で、しばしば暴力事件や自殺未遂を起こして問題となる事例を指しています。

 

 

 

 

人やものに対する態度が善と悪の両極端にわかれがちで、いつもむなしさや漠然とした怒りを抱えており、孤独に弱い反面、安定した人間関係を作ることもできず、長年にわたって不安定な状態が続く人というイメージです。

 

 

 

 

このように述べますと、ひきこもり事例とはあまり関係がないように思われるかもしれません。

 

 

 

 

なんといってもこの「病気」の特徴の一つは、「人とかかわらずにはいられない」というものですから、ひきこもりどころか、その対極にあるとみることもできるでしょう。

 

 

 

 

しかし、ことはそう単純ではありません。しばしば経験することですが、経過からは通常のひきこもりの事例と同じように見えていた人が、治療が進むにつれて、次第に境界例のような状態に変わっていくことがあります。

 

 

 

 

とりわけ、入院治療でそのような変化が起こることが多いのです。どのような事例がそうした変化を起こすかについては、事前に区別することが困難で、治療を開始してみなければわかりません。

 

 

 

 

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。専門家の笠原喜氏は、スチューデント・アパシーと境界例が、病理としてかなり共通するものがあるのではないか、と指摘しています。

 

 

 

 

境界性パーソナリティ障害の特徴といわれる病理には、自己アイデンティティの障害、自己分割、無快楽、空虚感があるとされます。

 

 

 

 

これらはひきこもりの事例でも、しばしば認められるものです。また笠原氏は、境界例では「行動化」、すなわち暴力や自殺未遂などの症状がみられるのに対して、スチューデント・アパシーでは社会生活からひきこもるという「陰性の行動化」が見られるとしています。

 

 

 

 

ここで、境界例に関して、わたしたちの見解を少し述べておきましょう。

 

 

 

 

いわゆる境界例とは、わたしたちがすべて多かれ少なかれ所有している、必ずしも病理的とは限らない心理が極端なかたちで表現される事例です。

 

 

 

 

たとえば境界例の病理とされる「投影性同一視」は、私たちの日常生活においても見られます。

 

 

 

 

これは友人に腹を立てているときに、逆にその友人が自分に対して怒っていると感じるような場合です。

 

 

 

 

このように、程度によっては正常とみなされるはずの心理状態が、境界例では極端なかたちででてしまうと考えてよいでしょう。

 

 

 

 

ですから、わたしたちと境界例の事例との間には、「健康」と「病気」をわけるような明確な境目はありません。

 

 

 

 

また、ある種の対人関係の中にあっては、健康な成人が境界例のようなふるまいに出ることも珍しくありません。

 

 

 

 

「治療者が境界例を作り出す」といわれるのは、このような場合を指しています。

 

 

 

 

したがって、健常者以上に病理的な状況に置かれやすい「ひきこもり」の事例が、時に境界例のような状態に変わっていくのは、十分にありうることです。

 

 

 



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