弱音が吐けると未来が開ける
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弱音が吐けると未来が開ける

2019年06月24日(月)12:10 PM

ある時、面接に来られた父親が、自営で一緒に働く母親(祖母)とのやりとりのひとコマをポツリとこう言いました。

 

 

 

 

 

「お前は小さい頃、よく駄々をこねてみんなを困らせたもんだよ」ときどき母はわたしにこう言うんです。

 

 

 

 

 

今、わたしは四十路を迎えています。そのわたしの幼かったころを母は思い出しているんですね。

 

 

 

 

 

「仕事に忙しいときに何を言ってるんだ。子どものころは誰だって親に駄々をこねるもんだ」などと反論します。

 

 

 

 

 

自分の母親に対して知らないうちにまた駄々をこねていることに、わたしは残念ながら気がついていないのです。

 

 

 

 

 

母親だから安心して何でも言えるんです。そのことを当たり前のように思っているんですね。

 

 

 

 

 

ところが、自分の子どもに対してはどうか。

 

 

 

 

 

「親の言うことを聞きなさい」

 

 

 

 

 

「子どもは子どもらしくしなさい」

 

 

 

 

 

「そんなことは言わなくても分かるだろう」などと一方的な言い方になっているんです。

 

 

 

 

 

特に仕事が忙しくなると、決まってこのセリフです。

 

 

 

 

 

子どもが親に愚痴をこぼすのは、親が黙ってそれを聞いてくれるという安心感があるからなんですね。

 

 

 

 

 

そのことにわたしは気がつきませんでした。自分の子どもがまったく口をきかなくなって、初めて分かりました。

 

 

 

 

 

子どもとの関係を元通りにするにはどうしたらいいのでしょう。

 

 

 

 

 

父親・・・・・。余分なことはしゃべらず、強くて山のようにどっしりして、いざというとき頼もしい存在、どうも父親にはそういったイメージがあります。

 

 

 

 

 

困ったときに相談すれば、なんとか解決してくれる・・・・・。一家の大黒柱という言葉は父親のためにありました。

 

 

 

 

 

ですが今、目の前にいる父親は、いかにも弱々しく、自信を失ってしまったかのように見えます。

 

 

 

 

 

職場では人も雇って、先頭に立って働いているのに、家庭の中で父親になった瞬間、まったくの別人になってしまうのです。

 

 

 

 

 

あの頼もしい父親はどこにいってしまったのでしょうか。どこの家庭でもありそうな話ですから「父権」コールが起こるのでしょう。

 

 

 

 

 

わたしは20年近く、心悩む子どもたちや親御さんたちと向かい合ってきました。

 

 

 

 

 

その中で気がついたのは、父親への期待とその存在の大きさでした。だた、正直なところ当初それは子育ての「手詰まり」状態の打開を父親に願ってのことでした。

 

 

 

 

 

さて、子どもや母親、ときには家庭訪問した先で祖父母にあたる人から「お父さんは、いつもこんなことを言っていた」「夫がもう少し子育てに熱心だったら」と、父親に対するメッセージを耳にします。

 

 

 

 

 

それは切ない訴えでもありました。

 

 

 

 

 

「もっと、話を聞いてほしかった」(子どもたちから)

 

 

 

 

 

「会社も大事だけど、子どもたちのことも考えてほしい」(妻から)

 

 

 

 

 

「子どものころは親の言うことをよく聞く子だったけど、今の息子はちっとも自分の子どもの話を聞かない。

 

 

 

 

 

それにずいぶんと自分勝手になってしまった」(祖父母から)

 

 

 

 

 

 

父親が、もう少し子どもたちの心に接する時間を増やすことができたら、どんなにいいだろうと思います。

 

 

 

 

 

何も言わなくていいから、少し父性や母性に気をかけていてほしいのです。

 

 

 

 

 

そしてときに「どうしたんだい」「よくやっているよ」「そのまんまのお前でいいんだよ」と、ひと言声をかけるだけでいいのです。

 

 

 

 

 

父親のそのひと言は、悩んで行き先を失っている子どもにとって、どんなに大きな肯定感、そして励ましになることでしょう。

 

 

 

 

 

ところが、父親は背広を着て職場にいると部下や同僚に対してその大切さを心得ているようですが、帰宅して私服に着替えると忘れてしまいがちな気がします。

 

 

 

 

 

ですが、子どもたちは切実にそれを待ち望んでいます。

 

 

 

 

 

単身赴任も問題かもしれませんが、家にいればいいというわけでもありません。

 

 

 

 

 

家にいても子どもの心に具体的なメッセージを届けていなければ、子どもの心に触れたことにはなりません。

 

 

 

 

 

ところで、面接や関東自立就労支援センターの活動を通して感じることですが、一人の相談員のわたしが「中年のおじさん」ということもあるのか、子どもたちと向き合うとき、否応なしに子どもたちにとっての父親役に立たされてしまうことが多いのです。

 

 

 

 

 

父親役といっても、厳しい言葉をかけたり、指導したり、あるいは威厳をもたせたりということではありません。

 

 

 

 

 

生活のにおいを漂わせ、ただ、子どもたちの話に耳を傾け、寄り添うだけです。

 

 

 

 

 

しかし、それだけでも子どもたちは娑婆の切なさを多少受け入れながら、「聞いてもらった」「理解しようとしてくれる人(大人)がいた」と、安心してくれるのです。

 

 

 

 

 

そして「分かるな、その悩み」と、うなずくとき今まで抱えていた重荷が急に軽くなったような表情を見せることがあります。

 

 

 

 

 

子どもたちにとってまったく赤の他人であるわたしが、子どもたちの話にしばらくの間耳を傾けるだけで本当に心が楽になるのでしょうか。

 

 

 

 

 

わたしは面接を通して「弱音が吐けると未来が開ける」ことを実感してきました。

 

 

 

 

 

だから相槌を打ちながら、聞いてもらえたことに対する子どもたちの素直な反応と受け止めさせてもらっています。

 

 

 

 

 

分かりやすく言えば、気持ちの聞き役はわたしでなくてもいいのです。ただし、誰でもいいというわけでもありません。

 

 

 

 

 

実は、子どもたちにとって日ごろ接することの少ない父親は、新鮮な「聞き役」なのです。

 

 

 

 

 

強い存在としての父親、威厳に満ちた父親、社会の第一線で働いている父親、子どもたち、家族はそんな強い父親をことさら求めてはいません。

 

 

 

 

 

現実の世界に戸惑いながらも真摯に生きようとする、そういう弱さも正直に見せてくれる父親が、いま自分のために自分の話を一生懸命に聞いてくれている・・・・そう感じることで、子どもたちは落ち込んでしまった心をもう一度奮い立たせることができるのです。

 

 

 

 

 

気持ちを聞いてもらえることは肯定感の獲得になります。そして肯定されてこそ、行動変容が起こるのです。

 

 

 

 

 

いつも言っていることですが、父親のひと言、特に「弱音」はどんなにすばらしいカウンセラーの100の言葉より、はるかに子どもの心を揺り動かすものです。

 

 

 

 

 

そのことをこの場を通してご理解いただければと思います。そして読み終わった後に、子どもたちとの対話の時間を1分でもいいから、持っていただければ幸いです。

 

 

 

 

 

人間関係で傷ついた心は、人間関係でしか癒されないのです。

 

 



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