精神疾患とひきこもり
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精神疾患とひきこもり

2019年06月07日(金)10:51 PM

対人恐怖はひきこもりの人に共通する症状ですが、「うつ」もそうです。関東自立就労支援センターに来所した人のうち、ひきこもりの人もそうではない人も、程度の違いはあるとしても、ほとんどの人にうつ状態が認められます。

 

 

 

 

自分の問題であれ、自分の子どもの問題であれ、ひきこもりに関わっている全員が思い通りにいかない挫折状態にあるので、誰もが落ち込んでいるのは自然なことでしょう。

 

 

 

 

そうでなくても、受験の失敗、失業、失恋、身近な人との死別、あるいは自分の死に直面することなど、誰でも人生で必ず深刻なつまずきを体験するものです。

 

 

 

 

そのような機会因がはっきりしているときでも、過剰なストレスをためることによってうつ的な状態は起こりますから、うつ自体はそれほど非日常的な反応ではありません。

 

 

 

 

ましてやひきこもりのときは、しんどくてものごとにきちんと取り組めない自分を責め続けますから、落ち込みが強くなります。

 

 

 

 

心の闇に入り込んでいる状態ですから、当然、うつ的な状態です。うつ的な状態のときは、ひきこもりであってもなくても、「死んだほうがまし」「死んだら楽になる」といった否定的な誘惑が心から出てきます。

 

 

 

 

強い落ち込みのときは自殺する元気もないのですが、少し動き出せるようになると自殺の危険性があり、本人の言動に注意する必要があります。

 

 

 

 

出社拒否の人が精神科や心療内科を受診すると、多くの場合は「うつ病」「うつ状態」あるいは「自律神経失調症」などと診断されます。

 

 

 

 

医療機関では、症状の訴えがあればその症状に即した病名で診断されるのが普通です。

 

 

 

 

一方、先ほど「ひきこもりの人には具体的な症状を訴える人もいれば、症状というよりもしんどさを訴える人、症状もしんどさも訴えない人などがいる」と述べましたが、症状の訴えがなければ、実際に自室にひきこもっていても精神医学的には「問題なし」となることがないとはいえません。

 

 

 

 

この点は、わたしの見解と大きく異なります。ストレス過剰であり外出恐怖があるから人間関係がしんどく、人間関係に入れないまま何年も何十年もひきこもっているのであって、たとえ訴えがなかったとしても、それを「問題がない」とはとても考えられません。

 

 

 

 

わたしは、個別の症状よりも、心を閉ざしているそもそもの原因や、症状を深刻化させる内面のあり方のほうに着目します。

 

 

 

 

次のケースはそのひとつの例です。

 

 

 

 

ある男性が不登校になり、幻聴や妄想もあって、病院の精神科で統合失調症(当時は精神分裂病)と診断され、以後10年通院し、薬を飲んできました。

 

 

 

 

その間、母親は評判を聞いたいくつもの病院やカウンセリング機関に息子さんを連れて行きました。

 

 

 

 

それでも彼はよくなりませんでした。相談には母親が来て、母親のカウンセリングを続けた結果、息子さんに対する母親の接し方が変わってきました。

 

 

 

 

たとえば、息子さんがテレビを見ているときに「テレビで自分のことを言っている」というと、以前なら母親は「そんなはずはない」と頭から否定して、それに対して息子さんは「親のくせに、子どもの言うことが信じられないのか」と反発していたのですが、母親が「そんなふうに感じているのね」と、まず受け入れるように変わりました。

 

 

 

 

すると、息子さんとの関係はよくなってきて、母親との間の不信が徐々にうまっていったのです。

 

 

 

 

また、息子さんは父親に対して憎しみを持って拒否しており、母親も父親に不満をためていました。

 

 

 

 

しかし、母親が父親に対しておだやかに接するように変わっていくと、父親は息子さんのことにしだいに協力的になり、息子さんと接触できるようになりました。

 

 

 

 

やがて幻聴や妄想が消え、元気になっていきました。そして、自分からアルバイトに行くようになったということです。

 

 

 

 

わたしは、ストレス過剰によって心を閉ざすことでしんどい人間関係を避け、否定的な生き方のひずみが明確になっている状態を、ひきこもりという大枠の概念で捉えています。

 

 

 

 

そして前述の個々の症状を、その大枠のなかの下位症状として位置付けています。

 

 

 

 

下位の症状も、大枠のひきこもりも、いずれも過剰なストレスから発症しており、結局はストレスをためる生き方の問題が大きいと思われます。

 

 

 

 

そのような生き方になった原因は何か、それは解決可能なものか、ストレスをどのようにしてほぐしていくのかといったことに取り組んでいくのが根本解決に役立つでしょう。

 

 

 

 



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団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
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理事:
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住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
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メール
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活動内容
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 学習 支援、生活訓練
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・教育相談の実施
・各種資格取得支援