転校すれば不登校は解決できるか
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転校すれば不登校は解決できるか

2019年06月01日(土)3:24 PM

転校で解決するケースはきわめてまれ?

 

 

 

 

 

転校しなければ、登校できていたと思われるA君(中学2年生)

 

 

 

 

 

小学校まではスポーツも勉強も万能で、先生からは厚い信頼を寄せられていたA君は、中学校で野球部に入りました。

 

 

 

 

 

しかし、中学2年の夏休み前に体調を壊し、2週間ほど学校を休んだ後、9月から登校できなくなりました。

 

 

 

 

 

学校に対する不信感が強かったA君の両親は、別の学区に家を新築して転居しました。

 

 

 

 

 

両親はA君の言葉どおり、新しい学校には登校できることを期待していました。

 

 

 

 

 

しかし、3学期の最初の1日登校しただけで、その後はどうしても登校できませんでした。

 

 

 

 

 

再登校には、友達や教師の存在が大きい

 

 

 

 

 

不登校のために転校した生徒では、A君のような経過が一般的です。

 

 

 

 

 

不登校の原因のほとんどは対人関係の問題です。

 

 

 

 

 

そのため、再登校に際しても、友達や教師の存在が想像以上に大きいのです。

 

 

 

 

 

A君は、3年生の夏前から元気になっていました。しかし、友達もいなく先生も誰も知らないので、最後まで中学校には登校できませんでした。

 

 

 

 

 

と言うよりも、登校することが課題にものぼらなかったようです。

 

 

 

 

 

居場所を見い出せない不登校による転校生

 

 

 

 

 

転校した場合、本人にとって、「自分の過去のことを誰も知らない」という気楽さがあります。

 

 

 

 

 

しかし現実には、気心が知れた友達や先生が一人もいないということは、さみしく孤立感と疎外感を強く感じてしまうものです。

 

 

 

 

 

「居場所」を見い出せないのです。

 

 

 

 

 

転校しても再登校できないもうひとつの理由は、「転校したら登校できる」と本人は言いますが、実際は本人がまだ再登校できるまでに精神的に回復していないことです。

 

 

 

 

 

不登校の子どもへの支援の目的は?

 

 

 

 

 

どんな大人になるか、を見据えた支援

 

 

 

 

 

ここでは不登校の子どもへの支援の目的を確認しておきたいと思います。

 

 

 

 

 

不登校の子どもと関わるとき、「登校させること」が常に当面の目標であり、かつ最終の目標になりがちです。

 

 

 

 

 

しかし、人生は長いものです。

 

 

 

 

 

不登校の子どもに関わるときには、20歳を超えて大人になったときにどうなっているか、という長期的な視点を持つ必要があります。

 

 

 

 

 

ただ、登校しさえすればいいというものではありません。

 

 

 

 

 

当面の支援目標は、手の届く範囲の目標でなければならない

 

 

 

 

 

不登校の子どもを支援する際に必要なことは、本人が「手の届く目標」を提示することです。

 

 

 

 

 

「登校すること」は、必ずしも当面の目標にはなりません。

 

 

 

 

 

しかし、親としては登校することを常に当面の目標にしている場合が多いものです。

 

 

 

 

 

不登校の子どもたちへの支援は「登校させること」が唯一の目的ではありません。

 

 

 

 

 

人間には、「・・・・・したい」という個人的な「生の欲求」があります。

 

 

 

 

 

一方、人間は社会生活を営んでいますので、常に「・・・・・すべきだ」という「社会からの要請」を受けています。

 

 

 

 

 

この「生の欲求」と「社会的要請」とは、お互いに矛盾することが多いものです。

 

 

 

 

 

大人にしても、子どもにしても相矛盾する「生の欲求」と「社会的要請」とのバランスを取りながら生きています。

 

 

 

 

 

心が健康な状態は、このバランスが取れている状態です。

 

 

 

 

 

このバランスを取る能力を「自我機能」と言います。どこで自分の「・・・・・したい」という欲求を譲らず、どこで「・・・・べきだ」という社会の要請を甘受するかによりその人の「人となり」が決まります。

 

 

 

 

 

すなわち、「自我機能」は人格そのものなのです。

 

 

 

 

 

「生の欲求」も「社会的要請」も年齢と共に変化していきます。

 

 

 

 

 

人は絶え間なく新しいバランス能力を獲得しながら生きています。

 

 

 

 

 

その過程が心の発達過程です。

 

 

 

 

 

不登校は、今までの自我機能ではバランスが取れなくなり、一時的に綱から落ちてしまった状態です。

 

 

 

 

 

そのため、不登校の子どもたちへの支援は、ただ手を貸して綱の上に戻せばいい、すなわち、登校させさえすればいいということではありません。

 

 

 

 

 

不登校などの不適応状態は、「新しい自我機能を必要としている」というサインですから、「登校するかしないか」ということだけにとらわれずに、本人が新しいバランス能力を獲得するように支援していくことが大切です。

 

 

 

 

 

不登校について

 

 

 

 

 

〇 不登校の子どもに関わるとき、「登校させること」が「最終の目標」になっている場合、たとえ登校できたとしても、問題を先送りしたにすぎない場合が多々あります。

 

 

 

 

 

〇 不登校の相談では、転校の話がよく出てきます。しかし、転校で解決することはまれです。転校は解決を遅らせてしまう場合がほとんどです。

 

 

 

 

 

〇 転校によって再登校がなかなかうまく成功しない理由はいろいろありますが、そのひとつとして学校に行くという形にこだわって転校したものの、本人の精神的回復が再登校できるところまで至っていないことがあげられます。

 

 

 

 

 

〇 「何かきっかけがほしい」と不登校の本人たちがよく言うように、再登校するには誘いかけが必要な場合が多いものです。

 

 

 

 

 

〇 子どもの心をうまくキャッチした柔軟で多彩な、そしてタイミングの良い「学校への誘いかけ」は、なくてはならない支援方法です。

 

 

 

 

 

〇 挫折を経験している人は、長い人生をたくましく生きていけます。不登校というつらい体験が、人生の大きな糧になるように支援したいものです。

 

 

 



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