不登校・ひきこもりの長期化で強まる困難
ホーム > 不登校・ひきこもりの長期化で強まる困難

不登校・ひきこもりの長期化で強まる困難

2019年06月01日(土)2:45 PM

端的に言いますと、引きこもりとは社会からの隔離です。家族以外との交流がほとんどない状態ですから、不登校・引きこもりにもともと底流としてあった心情・困難がいっそう強くなることは当然推測されます。

 

 

 

 

 

「高校生ぐらいの年齢の若者は、支援者の親切や優しさがすぐに伝わるが、30代に入った若者に優しさを伝えるためには、30倍の労力が必要だ」

 

 

 

 

 

これは、就労困難な若者といっしょに行動しながら就労支援をしている関東自立就労支援センターのスタッフの発言です。

 

 

 

 

 

まわりの支援者がそろって同じように思っていると思われます。

 

 

 

 

 

ある人は、「引きこもりといっても、動き出したらいまどきの若者、打算的で、できるだけ楽をしようとして、最低賃金や有給などの権利ばかりを主張して」「最初に決めた仕事以上に、時間が余っても仕事をしようとしない」などとまで言われています。

 

 

 

 

 

引きこもっている間、自分の動けない苦しさや歯がゆさなどから、屈辱や不満感をますます醸成させてきたのです。

 

 

 

 

 

引きこもり期間が長いほど、この苦しさが強くなり、ますます素直に支援者の親切・優しさ・思いやりを受け入れることができなくなったと思われます。

 

 

 

 

 

人を信じられなくなっていることは、同時に、自分自身をも正しく評価できなくなっていることでもあります。

 

 

 

 

 

この見方は、特に就労支援のうえでは重要です。これは、若者の性格や本来の考え方の問題ではありません。

 

 

 

 

 

長い引きこもりという環境が、感情と考え方を歪めてしまったのです。

 

 

 

 

 

支援の主要な課題は、正否を教える問題ではなく、素直に受けとめる感情を取り戻す心の問題です。

 

 

 

 

 

長い引きこもり生活が、対人スキルや自己肯定感など社会性を弱めるだけでなく、「メンタル面での二次的障害を引き起こす」という多数の医師からの報告があります。

 

 

 

 

 

発現は回復の第一歩

 

 

 

 

 

不登校は、子どもが苦しんでいる心の中を見える形にしたものです。

 

 

 

 

 

子どもは、心身の刺激を受け、それを成長の糧にする、これが訓練とか学習でしょう。

 

 

 

 

 

不登校は、学校での刺激のなかに成長のエネルギーにする能力を越えた「問題」がある、と訴えているのです。

 

 

 

 

 

学校などの刺激とどんどん取り入れて、不登校感を生じない、むしろ解消していく、こうして多くの子どもたちは成長していきます。

 

 

 

 

多くの人は、生活の中でこの不安と不満などの感情を癒し、消失させながら成長していると考えられます。

 

 

 

 

 

しかし、不登校にはならないが、この不登校感を蓄積させながら学校生活を過ごしている子どももいるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

このことは、高校生になってからの不登校や中退などの相談から十分考えられます。

 

 

 

 

 

学齢期を越えた年齢で発現する引きこもりも、不登校と同じ感情・心理状態を持っています。

 

 

 

 

 

高校中退者の感情も同じです。社会での刺激がストレスになるのは、個人の性格・個性によっても違います。

 

 

 

 

 

まわりの人々との関係も大きいと思います。併せて、これまでの育ちで培われた能力・生活力が関わってきます。

 

 

 

 

 

不登校の発見によって、この性格や資質とそれに応じた支援、育てるべき力などを検討し、適応した支援を明らかにすることが可能になります。

 

 

 

 

 

この苦しい心情がさらに強まって「引きこもる」のですから、この発現が低年齢ほど、「不登校感」が弱く、克服しやすいことが推測されます。

 

 

 

 

 

納得と主体性

 

 

 

 

 

不登校感の克服は、「納得と主体性」にあります。

 

 

 

 

 

十分な納得、自らの意思と行動で、安心感、信頼感、自己肯定感、同一性などがしっかり育ち、それとは逆の、不安、不満、対人不信、自己否定など裏の感情が弱まり消滅に向かうのです。

 

 

 

 

 

納得には感情の「鎮静と整理」と、個人差のある「必要な時間」が重要です。

 

 

 

 

 

納得を強め、意欲と気力を生み出すのは、自分で考え、自分で行動する主体性を育てる生活です。

 

 

 

 

 

登校拒否・不登校問題の研究などから、この視点は子育て・教育論、福祉・医療援助論のなかで具体的に深められていますが、いっそうの研究と普及が必要なように思います。

 

 

 

 

 

学校と不登校

 

 

 

 

 

日本の子どもたちが苦しさを発信できずに蓄積させ、不登校・ひきこもりに陥るまで苦しいと言えないのはなぜでしょう。

 

 

 

 

 

よく言われるのは、社会に根強い「学校絶対観」があって、子どもも親も縛られているという見方です。

 

 

 

 

 

明治維新以降日本は、「植民地主義」軍事大国、天皇を頂点とする絶対服従の制度を目指しました。

 

 

 

 

 

これを遂行し、保持する国民の育成に、学校教育を利用したのです。その結果、近隣諸国へ侵略、第二次世界大戦を引き起こしました。

 

 

 

 

 

ここから、他の国には見られないほど強固な学校絶対の国民的思想が定着したのです。

 

 

 

 

 

終戦前後の頃、怖いものは「警察」と「学校」で、大人は子どものしつけや脅しに「学校」を使いました。

 

 

 

 

 

学校制度が世界にない速さで容易に受け入れられた背景には、古くから各地に寺子屋や藩校があり、習い事が市民の中にも普及し、識字のレベルは他の国にない高さをもっていたという、教育に対する伝統もあったといわれています。

 

 

 

 

 

戦後、社会は変わって、学校の「権威」や怖さはなくなりましたが、今度は、学歴社会となりました。

 

 

 

 

 

受験戦争が煽られ、学校絶対観は戦前にも増して強められたといわれます。

 

 

 

 

 

登校することが当然とする意識が、登校が苦しいと素直に言えない社会にしたのでしょうか。

 

 

 

 

 

もう一つよく言われるのは、本心を言わない日本的文化・風潮です。

 

 

 

 

 

「物言えば唇寒し秋の風」「言わぬが仏」など、感情や意見を秘めておくこと、物言わぬことが美徳とされてきました。

 

 

 

 

 

これは、今も影響しているのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

学校の講義中心の授業形態、発表や主張よりペーパーテストを中心とした評価方法なども、関係あるかもしれません。

 

 

 

 

 

伝統や文化が表面化しやすいのが精神疾患です。対人恐怖は、そのまま「Taijinkyoufu」として国際的に使われているほど、日本に多い症状です。

 

 

 

 

 

この文化が、学校での苦しさを簡単に言えない子どもの心境になっているかもしれません。

 

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援