対人恐怖症について
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対人恐怖症について

2019年05月31日(金)3:33 PM

ひきこもりの人の中には、対人恐怖から外に出られない、人と関われないという人が少なくありません。対人恐怖の種類としては、赤面恐怖、体臭恐怖、醜貌恐怖、視線恐怖などがあります。赤面恐怖は、自分の顔が人前で赤くなることを悩むもので、実際に赤面するわけではありません。正確には、「赤面しないか」という恐怖です。

 

 

 

 

 

体臭恐怖も同じように、実際には体臭はないのに、「自分の体から嫌な臭いが発散していて、そのために人に避けられている」といって、痔の手術、腋臭の手術や口臭の処置を求めて医者を転々とする人が珍しくありません。自己臭恐怖ともいいます。

 

 

 

 

 

醜貌恐怖というのは、自分の顔が醜いので他人が自分を避けることを心配するというものです。本人の容貌が実際に醜いわけではなく、むしろ整った顔立ちの人が多い感がありますが、「鼻筋が曲がっている」「頬骨が出っ張っている」などと、自分の顔は他の人にはみられない「たぐい稀な」醜さを持っていると悩み、形成手術を求める人たちがいます。

 

 

 

 

 

最後の視線恐怖を「生視恐怖・体臭恐怖」の笠原嘉らは「他人に見られる恐怖」と「他人を見てしまう恐怖」との二通りに分けています。前者の「他人に見られる恐怖」は、人前に出たときにそれほどでもないのに人の視線が全部自分に集まったように感じて、人の中へ出て行けないものです。

 

 

 

 

 

後者の「他人を見てしまう恐怖」は「自己視線恐怖」ともいって、「自分の視線を相手が嫌がっているのではないか」「正面の相手をにらみつけているのではないか」(生視恐怖)と前方への自己視線を苦にするものと、「眼球が横に動いてしまい、横が見えてしまう」という側方への自己視線を苦にするものとに大別されます。

 

 

 

 

 

その他、異性の前で症状がとくに顕著な場合は、「異性恐怖」という言葉もあります。目上の人の場合のみ症状が出るのは、「長上恐怖」といいます。しかし、どちらかというと、子どもや老人の前ではあまり症状がでなくて、同年輩、同職のグループ、すなわち同等のメンバーからなるグループの間で生じやすいといわれています。

 

 

 

 

 

対人恐怖症発症の時期について

 

 

 

 

 

対人恐怖症が発症する時期としては、これも「精神医学事典」笠原氏の記述から引用すると、「主として青年期の病態で、とくに青春前期(中学後半から高校後半)に発症します。経過は一過性のこともありますが、うつう慢性的です。

 

 

 

 

 

しかし、中年期に入っても持続することはまれです。時として、統合失調症の前駆症状として対人恐怖が見られることもあります。全体として性別では男性に多いというのが、教科書的な記載です。

 

 

 

 

 

対人恐怖症の分類

 

 

 

 

 

これまでの記述の中では「重症」という述語は登場しません。たしかに、「人前に出たとき緊張して自然に振る舞えなくなる。相手にどう思われているかという懸念が自然さを奪う。そのことを必要以上に気にしてしまうと、悪循環で不自然さが倍加する」ぐらいのことなら、男女を問わず青年時代の一時期、多少ともこういう対人緊張の経験を持つことは一般にも見られることです。

 

 

 

 

 

もちろんその程度なら神経症というほどのことではありません。その程度を判断するために、先述の笠原氏らは以下のように病態水準により対人恐怖症の分類を試みました。

 

 

 

 

 

①平均人の青年期という発達段階において、一時的に見られるもの。

 

 

 

 

 

②純粋に恐怖症段階にとどまるもの。

 

 

 

 

 

③関係妄想性をはじめから帯びているもの。

 

 

 

 

 

④前統合失調症として、ないしは統合失調症の回復期における症状としてみられるもの。

 

 

 

 

 

この分類は、先ほどの視線恐怖、赤面恐怖など、対人恐怖の内容で分類するのではなく、健常者、神経症、境界状態、統合失調症と病態レベルの段階がみやすいので、日本ではよく使用されます。先述した青年期に一過性に経験するものは①の段階と言っていいでしょう。

 

 

 

 

 

ただ、そうした傾向がもう少し強くなり、かつ長引くようだと②の神経症・恐怖症と呼ぶ状況に近づきます。神経症の人の悩みと平均人の悩みとの間には、大きな段差はないと考えていいです。

 

 

 

 

 

しかし③のレベルまでくると、「他人に軽蔑されるのではないか、他人に不快な感じを与えるのではないか、嫌がられるのではないか」という①②の人たちの心配が、妄想的確信にまでいたっているタイプの人です。「重症対人恐怖」あるいは「思春期妄想症」と呼んで、④の統合失調症と区別します。以下にその臨床的特徴を紹介します。

 

 

 

 

 

重症対人恐怖の系列

 

 

 

 

 

先の対人恐怖の種類で述べた「自己視線恐怖」と「自己臭恐怖」の2つの対人恐怖は、笠原氏らの「正視恐怖・体臭恐怖」によれば、強迫性と並んで関係妄想性を持つ点に大きな特徴があり、先述の分類で③にあたります。

 

 

 

 

 

ここで関係妄想性というのは、自分の視線なり臭気なりの異様さを面前する他者の言動から、「関係づけ」として直観することを指しています。したがって、強迫性のみが主となる一般的な対人恐怖から区別して、笠原氏らはこれを「重症対人恐怖」と呼ぶことを提唱しました。

 

 

 

 

 

1960~70年代にかけて、日本の各地で多くの研究グループが個々に重症対人恐怖と同様な病態を報告・発表しています。日本人論ブームとみるのではなく、精神医学的観点からすると、笠原氏は「対人恐怖症と社会不安障害」(2003年)と題する講演で、それは当時の日本の「精神病と神経症の境界例」(ただしパーソナリティ障害にあらず)研究の余波と述べました。

 

 

 

 

 

1967年、村上靖彦氏は植本行男氏らとともに、「自己の視線が他人に不快感を与えている」「自分から強い体臭が出ていて他人に嫌がられる」などと訴える比較的重症の対人恐怖の一群を「思春期妄想症」と命名し、研究を開始しました。笠原氏らが「重症対人恐怖」と呼んだ自己視線恐怖・自己臭恐怖などとほぼ同様の病態を指しています。

 

 



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