部活で暴行された中学1年の男子
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部活で暴行された中学1年の男子

2019年05月23日(木)5:23 PM

「相談事例」

 

 

 

 

 

中学一年生の男子ですが、部活動は柔道部に入りました。六月ごろから次第に元気がなくなり、部活動も休みがちになりました。

 

 

 

 

 

そのころから遅刻も多くなり、口数も減ってきました。時々ワイシャツがひどく汚れていたり、ズボンに穴が開いていたりしたこともありました。

 

 

 

 

 

本人は「転んだだけだ」とか「釘に引っ掛けた」と言っていました。しかし、七月の定期テストを受けた翌日から「もう学校へは行かない」と宣言しました。

 

 

 

 

 

子供は特に何も言いませんが、同級生の親から「柔道部で暴行されている」ことや「三年生の非行タイプの子供たちから金品をゆすられている」ことがわかりました。

 

 

 

 

 

しかも、柔道部の同級生は見て見ぬふりをしているようです。同じクラスにも柔道部の子がいるのですが、その子もいじめる側に加わっているということです。

 

 

 

 

 

夏休み中は家の外には一歩も出ませんでした。二学期はまったく登校せず、冬休みも外出は一切しませんでした。教師が家を訪ねてきても、クラスの子供が来ても全く会おうとはしません。

 

 

 

 

 

部屋のカーテンをしっかり閉めて、外からは何も見えないように工夫しています。まるで自分がそこで生活していないように見せかけているようです。

 

 

 

 

 

年末年始もだれとも会いませんでした。休み始めて 二カ月目ころからは、昼ごろ起きてきて、テレビをボーッと見て、夕方ゲームを始め、父親が帰宅するころになると顔を合わせないように自分の部屋に行ってしまいます。

 

 

 

 

 

自分の部屋ではマンガを読みあさっているようです。文字が書いてあるような本は読みません。そのマンガさえも自分では買ってきません。

 

 

 

 

 

私(母親)に「買ってこい」と乱暴に命令します。私としては、もっと丁寧に話をして子供が本当に困っているなら買ってきてあげてもいいと思うのですが、命令口調で乱暴に言われると反発も感じてしまい、いい気持ちでは話ができません。

 

 

 

 

 

食事や洗面や入浴や着替えも不規則で、何日もおふろに入らないこともあります。着替えをしないで着の身着のままで寝起きをしています。

 

 

 

 

 

歯磨きはしばらくしていません。虫歯が痛いといっても歯医者には行こうとはしません。

 

 

 

 

 

このようになってしまった子供と今後、どのようにかかわっていったらいいのか教えてください。

 

 

 

 

 

「回答」  まずは心の傷を癒すことから

 

 

 

 

 

お子さんは心に深い傷を負っています。心理的外傷後のストレス障害のような状態に陥っているようです。

 

 

 

 

 

そのようになると、信頼できる母親には乱暴な口を利きますが、決して母親を憎んだり恨んだりしているわけではありません。

 

 

 

 

 

生育歴の中で、いつも自分の不快感をものの見事に改善してくれたのが母親だったので、このような状態に陥った場合、母親にまとまらない感情をぶつけるのです。

 

 

 

 

 

まとまらない感情とは、自己整理できない感情ですから、不条理な要求もあり得るのです。まとまらなくなるのも、心の傷を受けた後のストレスに対する反応の一つです。

 

 

 

 

 

気持ちの整理ができなかったり、考えがまとまらない理由は常に不安が心の中に侵入してくるからです。

 

 

 

 

 

したがって、それまでの生活ではできていたことでも、できなくなる可能性は十分にあります。日常生活習慣が不安定になっていくことは当然の反応です。

 

 

 

 

 

本を買いに行かない、歯医者に行かない、人に会わないというようなことも当然の反応と考えてください。

 

 

 

 

 

生活全般が虚無的になることは、このような場合仕方がないことなのです。少なくとも、本人の怠け心で怠惰な生活になっているという大人の側の勝手な解釈は避けましょう。わがままであるという批判もやめましょう。

 

 

 

 

 

おそらく柔道部の顧問やいじめの当事者に謝罪してもらっても気持ちはすっきりしないでしょう。それでも謝罪はしてもらった方がいいはずですが、いじめた子供たちが陰に回っていじめないという保障がなければ意味はありません。

 

 

 

 

 

例えば教師が、「今度暴行の事実を確認したら、彼らを警察の手に渡す」とか、「仮にいじめらしいことがあっただけでも、即刻厳しい処罰でのぞむ」と言い渡すなど、本人が納得し、安全確認ができるような保障が必要です。

 

 

 

 

 

もっと確実には、「いじめる子供たちには教師がいつもついていて、学校から家に帰るまで指導しているから学校に来ても大丈夫だ」というような保障が必要です。

 

 

 

 

 

いじめられた子供の心の中は、それほどまでにしてもらわなければ安心感が得られない状態になっているのです。

 

 

 

 

 

事実、いじめられた子供が教師に自分がいじめられた事実を告げた途端に、さらにひどいいじめがひきおこされるという現実があるのは、子供の間では常識になっているくらいに、いじめは陰湿で執拗なのです。

 

 

 

 

 

ほとんどの子供は小学生のころから、このようないじめの現実を知っているのです。

 

 

 

 

 

学校や教師の側から、いじめという「きっかけ」については、二度と絶対に引き起こさせないという強い決意表明がない限り、いじめられた子供は納得しません。

 

 

 

 

 

不幸なことに、一部の教師の中には「いじめられた子供にも問題がある」などと言って、いじめの本質をぼかしてしまう教師もいることを子供も保護者も知っています。

 

 

 

 

 

そのような教師には、子供のいじめの本質がわかりません。だから、自分の子供のいじめに関しても、教師に相談できない親はたくさんいるはずです。

 

 

 

 

 

子供たちも、自分がいじめられる前に、教師が「いじめられる側にも問題がある」という発言をしていることをたいがいは聞いてしまっています。

 

 

 

 

 

そのような場合、子供はいくら親切に家庭訪問をしてくれた教師であっても、決して会おうとはしません。子供の気持ちの中には、「先生の嘘つき」という思いができあがってしまいます。

 

 

 

 

 

いじめられた子供には、教師の嘘が見えてしまうのです。もちろん教師は嘘をついている自覚はありませんが、子供はクラスの中で、教師のたくさんの矛盾点を発見していますから、よほどの信頼感が築けない限り教師を信頼して登校するようなことはあまりありません。

 

 

 

 

 

ですからまず、親子関係の改善から始めましょう。親子の信頼関係を築き直してください。

 

 

 

 

 

そして、このような問題が起こるまで、親しくつき合っていた友達との関係の復活に協力してください。

 

 

 

 

 

子供が日常生活の中でできなかったことについてはしばらくの間は無視してください。できなかったことを直すよりは、少しでもできたことや親子で共感できたことなどを大切に取り上げてください。

 

 

 

 

 

親子での共感は、消費的な満足感による共感も必要でしょうが、生産性がある共同作業から獲得できた共感のほうが満足度も大きいし、子供の心の虚無的な状態の改善には役に立つはずです。

 

 

 

 

 

家屋の修理、庭づくり(ガーデニング)、料理、掃除、収穫等々探せばたくさんあるものです。しかし、これらは強制してもうまくはいきません。

 

 

 

 

 

「手伝ってくれるとうれしいなあ」「あなたが手伝ってくれたからこんなにきれいにできた。ありがとう」「本当にうまくできたね。いつの間にか上達したよ」「あなたが気が利くので、お母さんは楽ができた。本当に助かった」という、子供の気持ちに良い感情を引き起こすような言葉によるフォローが必要です。

 

 

 

 

 

この場合、本心から出る言葉でない限り、子供は共感しません。

 

 

 

 

 

このような建設的、生産性がある共同作業を通して満足感や安全感が確認できてくると、子供の心は徐々に癒されていきます。

 

 

 

 

 

最終的には、同じ年ごろの子供同士の共同作業に参加できるようになれば、心の傷が癒されるのは早くなります。

 

 

 

 

 

「もう、学校へは行かない」と宣言した子供の気持ちを「友達がいる学校なら行きたい」という方向へ向けるための努力は、子供の心を慈しむことができる人たちにのみできることです。

 

 

 



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