親子の風景
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親子の風景

2019年05月20日(月)9:44 AM

20歳を越えても「親には育ててもらったから借金がある」と考えている青年がいます。

 

 

 

 

 

換金すれば、何千万円にもなります。職もなく、学もない自分はどうやってその負債を返せばいいのか・・・・。

 

 

 

 

 

きれいさっぱり返済し終わったら、お父さんに対して何でも言えるようになれます。それまでは、ダメです。

 

 

 

 

 

と言います。なぜそんなことを言うのでしょうか。話を聞くと、幼い頃に父親から殴られた傷が、深く心に残っていました。

 

 

 

 

 

親に殴られるほどだから、絶対に僕はかわいくなかったんです。子ども失格なんです。

 

 

 

 

 

と、その時のことを無表情に語りました。かわいがられていなかった・・・・・その一点が、青年の前に絶対的な壁として立ちはだかり、青年の心の成長を足踏みさせていたのかもしれません。

 

 

 

 

 

「おまえは、大切なかけがえのない息子なんだよ」そんなふうに言ってもらいたかったです。

 

 

 

 

 

父親の言葉を、その青年は今も持ち続けています。年齢は20歳でも、心は幼いころの「心の傷」を引きずったままになっているのです。

 

 

 

 

 

そんな切ない気持ちを抱いた青年の、父へのひと言がわたしの心に響きました。

 

 

 

 

 

僕はお父さんとチャラ(対等)になりたいんです。でも、引きこもっている僕はなれないんです。

 

 

 

 

 

子は親に子育ての借金があると思うから、僕はお父さんに何も言えません。

 

 

 

 

 

子は親への恩(借金)を3歳で返していると本に書いてありました。かわいさですね。

 

 

 

 

 

でも、3歳のときにお父さんに殴られていた僕にはそれが当てはまりません。

 

 

 

 

 

僕は親にとってかわいい存在ではなかったからです。

 

 

 

 

 

次は、18歳になる青年の場合です。この青年は母親といっしょに面接にやってきました。

 

 

 

 

 

俺は、何をやってもダメなんだ。しょせんは二流以下の人生しか歩けない。

 

 

 

 

 

お父さんみたいに、一流にはなれないよ。

 

 

 

 

 

と面接室に入るなり、捨て鉢に言いました。するとすかさず母親が「そんなことはないよ。一生懸命がんばればきっといいことがあるよ。がんばらないと何事も始まらないのよ」と諭しました。

 

 

 

 

 

青年は常に「がんばれ。一生懸命やれ。一流になれ」と”励まされ”続けてきたのでしょう。

 

 

 

 

 

現に今も、この面接室で励まされています。でも、それは青年から見れば親の欲であって、自分の希望ではありませんでした。

 

 

 

 

 

にもかかわらず、特に父親の欲は強く、一流大学、一流企業以外には目を向けるな・・・・・と言い続けたのでした。

 

 

 

 

 

「それで、将来は何になりたいの?」わたしはそう聞きました。

 

 

 

 

 

青年は「イラストレーターかな」と、目を輝かせました。「いつも、そんなバカげたことを言うんです。注意してやってください」と母親は言います。

 

 

 

 

 

わたしはやるせない思いに打ちひしがられます。父親と比較され続け、その父親からも不本意な励ましを強いられる青年・・・・。

 

 

 

 

 

ふと、わたしと2人きりになったときに、こんなセリフをもらしました。

 

 

 

 

 

お父さんと話をしていて、元気づけられたことは一度もなかったです。そして・・・・・・。

 

 

 

 

 

希望をなくしてしまったことはあまりにも多かったです・・・・。

 

 

 

 

 

次は、厳格すぎる父親のもとで育った14歳の少年の話です。

 

 

 

 

 

厳格というより気ままな感情といってもいいかもしれません。ときには暴力もふるうほどでした。

 

 

 

 

 

家族は、知らず知らずのうちに父親の顔色をうかがいながら暮らすようになってしまいました。

 

 

 

 

 

多感な少年にとってそれは耐えられないストレスでした。

 

 

 

 

 

やがて、彼は誰とも言葉を交わさなくなり、学校を休み、「放浪」しました。

 

 

 

 

 

その放浪にも行き詰まり、自分の部屋に引きこもりました。そして1年以上の歳月が過ぎました。

 

 

 

 

 

父親の機嫌のいいときしか笑えなかった少年・・・・。引きこもってしまった彼の気持ちも理解できます。

 

 

 

 

 

父親の顔色をうかがうような窮屈な生活を長年続けてきたら、僕は作り笑いが上手になりました。

 

 

 

 

 

引きこもって、ようやく自分の世界を取り戻すことができたんです。お父さんと一緒の居間は、”緊張のむしろ”でした。

 

 

 

 

 

いつ、怒られるかビクビクしていたんです。お父さんの大好きな巨人が勝たなければ笑えなかった僕の気持ち、分かりますか?ほんとに分かりますか?

 

 

 

 

 

バカを言い合えて、本音で愚痴をこぼせる家庭に見放された少年の「ほんとに分かりますか」のひと言が、わたしにはとても重く心にのしかかりました。

 

 

 

 

 

子どもの将来に、父親として責任を持たなくてはならないと考えるある父親が、子どもの高校卒業の日、唐突に子どもに将来の希望を聞きました。

 

 

 

 

 

「おまえ、勉強もいいが、そろそろ将来のことも考えたほうがいいんじゃないか」

 

 

 

 

 

そのとき青年は「電車の運転手」と答えました。すると父親は、真っ赤な顔をして「幼稚園児じゃあるまいし、電車の運転手とは何だ!」と怒鳴ったのです。

 

 

 

 

 

親父はそれまで、ひと言も就職とか職業のことは言いませんでした。考える必要はない、今は勉強だと言っていました。

 

 

 

 

 

それが大学受験をいくつか失敗すると手のひらを返したように、就職だ、仕事だと言い始めました。冗談じゃない。

 

 

 

 

 

俺は父親の言う通りにやってきただけなんだ。なんで、あんなに怒鳴られなくちゃならないのでしょうか。

 

 

 

 

 

青年は20歳を迎えた今年、念願の大学に入ることができました。これからは、自分の人生を自分なりに見つけ、築いていこうと考えています。

 

 

 

 

 

父親は、俺が大学に入れたのは父親として正しく厳しくアドバイスしたからだと思っています。

 

 

 

 

 

自分が入れてやったんだと思っています。確かに言われたとおりにやりましたが、必死で勉強したのは俺なんだ。

 

 

 

 

 

できたときは父親の功績で、失敗したときは俺の努力の足りなさを責められます。

 

 

 

 

 

父親は、調子よすぎると思います。父親は、口うるさいだけなんです。

 

 

 

 

 

言うだけなら、誰だってできると思います。 

 

 

 

 

 

青年の厳しいひと言に、わたしは半分ほっとしました。父親の手を離れ、旅立ちの準備を始めていると感じたからです。

 

 

 



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