転校後、学校に行けない子
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転校後、学校に行けない子

2019年05月15日(水)7:04 PM

「相談事例」

 

 

 

 

 

中学二年生の女子です。父親の転勤に伴い中学一年生の三学期が終わり、春休みに地方都市から大都市に転居しました。春休み中に、転校の手続きをしたのですが、本人は春休み中は学校のことには触れたくない様子でした。

 

 

 

 

 

引越しの荷物も片付けませんでした。二年生の新学期の始業式の日に 一日登校したきりで、あとは毎日家にいます。本人は何で学校に行けないのか「自分でもよくわからない」と言っていました。

 

 

 

 

 

休み始めた当初は翌日の支度をして寝ていましたが、朝になるとぐずぐずして結局登校できませんでした。五月ごろからは、まったく支度もせず朝も起きなくなってきました。

 

 

 

 

 

夜は遅くまで起きていて、しばしば父親からきつく叱られていましたし、大学生の姉からも皮肉を言われていました。最近は、私(母)以外の家族とは顔を合わせないようにしています。

 

 

 

 

 

「なんで引っ越しなんかしたんだ」と言って私を責めるのです。「私は友達のいる前の学校に戻りたい」と言います。今後の学校は、確かに前の学校とは雰囲気が違います。

 

 

 

 

 

前の学校は小規模校で、地域の付き合いもあり、お互いの家の事情も知っているような環境でした。今の学校は、一学年七クラスもあり、人数が多すぎる気もします。

 

 

 

 

 

九月ごろから、子供は母親の私には少しは話をするようになりました。「人数が多すぎてだれに声をかけたらいいのかわからないほど人間がうようよしていた」ことや、「とにかく進学のことばかりで、始業式の日から先生に受験のことを言われてしまった。

 

 

 

 

 

まだ、二年生になったばかりなので気持ちがついていかなかった」ことや「本当はブラスバンドをやりたかったのに、部活動はほとんどやっていないみたいで、なにか気持ちがはぐらかされてしまった」ことなどです。

 

 

 

 

 

これから、大都会の大規模な中学校で、この子が順調に生活していくことができるのかどうか不安です。本当は学校へ行かせたいのですが、親はどうしたらいいでしょうか。

 

 

 

 

 

「回答」

 

 

 

 

 

学校へ行く行かないは子供の課題です。親の行かせる行かせないという意識や意思は、親の気持ちではあっても場合によれば親の身勝手ともなります。

 

 

 

 

 

しかし、子供の成長には学校が必要であると学校教育の意義を見いだしている親は、子供が学校に行きやすいように生活面でも精神面でも工夫することです。

 

 

 

 

 

つまり、子供の精神的な疲労を発見し、手当てをしていくことが子供の登校につながるのです。

 

 

 

 

 

これはヒントになると思いますが、多くの子供は「友達がいる学校へ行きたい」のです。

 

 

 

 

 

子供のこの気持ちが実現できるように、親は子供が心身ともに健康に育つように援助し、適切な保護を加え、必要なことには勇気をもって介入していく姿勢が必要です。

 

 

 

 

 

まず、子供にとって、転居や転校はとても重大な問題です。転校によって、それまで慣れ親しんだ人々との別れがあります。

 

 

 

 

 

この体験による対人関係の切断という心の傷は、個人によって差はありますが非常に大きいと考えられます。子供が味わう寂寥感ははかり知れません。

 

 

 

 

 

また、新しい集団に入っていくためにどれほどの勇気を必要とするかもはかりしれないものがあります。強い不安があって当たり前なのです。

 

 

 

 

 

言葉(方言のこと)や生活習慣(教師との親密度や先輩後輩といったしきたり等)が違うところに移り住むことのハンディは、大人たちの適応能力とは比較にならないほど、子供にとっては大変な負担で、大人にはとうてい理解できないものがあります。

 

 

 

 

 

仲間がいる学校に別れを告げることは、子供の社会の大部分を変えてしまうことになります。

 

 

 

 

 

そのうえ、不本意にも親の都合で自分の意志には関係なく、別の学校へ行かなければならなくなってしまったのです。

 

 

 

 

 

このような状況は、今日の社会では多々あることです。父親の転勤に伴って頻繁に転校を繰り返す子供はかなりいます。父親が単身赴任する場合もあります。

 

 

 

 

 

どちらが良いとは言い切れませんし、転校した先々で友達をたくさん作って楽しく過ごす子供もたくさんいます。

 

 

 

 

 

しかし、この女の子の場合は、明らかに不本意な転校をさせられてしまったという意識があります。不本意な学校に所属してしまった場合、子供は自分の居場所が見つけにくく、集団のなかに参加しにくくなっていきます。

 

 

 

 

 

まして、前に所属していた集団に親しみがある場合、新たに所属した集団の欠点ばかりが目につき、前の集団との比較で批判的、否定的、拒否的になっていきます。

 

 

 

 

 

地方都市から大都市の学校に転校してきて適応していくことは、大変な緊張と疲労を伴います。しかも、小規模校から大規模校への転校となると、疲労感はどれほどのものになるでしょうか。

 

 

 

 

 

始業式に参加して、生徒の人数の多さに恐れをなすほどだったのかもしれません。しかも、始業式の日からいきなり進学のことに触れられ、自分のしたいことと違う余裕のない生活を予感してしまったのかもしれません。

 

 

 

 

 

中学二年生から高校受験を意識して生活することは、かなりの負担になるのではないでしょうか。このようになってしまった子どもにかかわっていくには、親としては子供の不平や不満を十分に聞いてやることが大切です。

 

 

 

 

 

直接的な説得は何ら効果はありません。まずは本人の意思を汲んで、本人がやりたいことを安心してやらせます。そして、満足できる状態になったらさらに社会的に意義のあることをするためには何をしたらよいかを親子で検討してください。

 

 

 

 

 

その社会的に意義のあることをするための準備には何が必要なのかについても検討してください。

 

 

 

 

 

人と付き合うということが、何をしていくうえでも大切であることに気がつけば、子供は学校へ行く意義もわかってきます。

 

 

 

 

 

つまり、教師がどんなに進学の方針を立てていようと、学校は同世代の人たちと人間関係を持てることがまず大事なのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

学校は、子供にとって同世代の対人関係を進展させていくことができるところなのです。

 

 

 

 

 

この年代では、精神的な強いつながりのきずなを相手と築いていくことができる社会が学校なのです。進学は二次的な課題です。

 

 

 

 

 

おそらくお子さんは、二次的な課題がクラスで強調されたことに緊張を覚えたのでしょう。

 

 

 

 

 

親はこのことを理解して、まず、子供のほかの人とのつながりをどこかで作ってください。できれば、先に述べた本人がやりたいことを通して対人関係ができることが望ましいのです。

 

 

 

 

 

学校教育に理解があるフリースクール等の活用も考えてください。そして、広い視野に立って進路を考えてください。進路を模索する中で、進学が見えてきます。

 

 

 

 

 

自分がやりたいことのための進学なら頑張ることができるのです。周囲が「頑張れ」と言わなくても、自分の意欲で頑張ることができます。

 

 

 

 

 

将来的には必ず適応していくはずです。しばらくは心の傷や葛藤で混乱しますが、それまでの対人関係の体験から学んだことが今後の支えになるはずです。

 

 

 

 

 

親は、心配のしすぎに気をつけてください。

 

 

 

 



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