強迫性障害のひきこもりの青年
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強迫性障害のひきこもりの青年

2019年05月12日(日)1:59 AM

汚れにこだわる青年

 

 

 

 

 

相談事例

 

 

 

 

 

関東自立就労支援センターに相談に訪れた母親から

 

 

 

 

 

わたしたちは現在、本当に孤立しています。助けてください。助けを求めることができる方が誰もいないのです。

 

 

 

 

 

面談での関東自立就労支援センターのスタッフの方のお話の一言一言が、胸に突き刺さる思いでした。

 

 

 

 

 

息子がわたしに評論家のような口調で訴えていたことが、今になって理解できました。

 

 

 

 

 

スタッフの方の言われる「口に出してはいけない言葉」をわたしは毎日のように言い続け、その結果、わが子を追いつめてしまいました。

 

 

 

 

 

今は親がまず変わらなければ、と自分に言い聞かせている毎日です。

 

 

 

 

 

息子は今年、27歳になります。大学中退後、働く意欲もなく、わたしたちが就職を迫ったのですが、それを頑として拒み、そして引きこもりになりました。

 

 

 

 

 

今は、強迫性障害(強迫神経症)ということのようです。息子は精神科でのカウンセリングを拒んでいますが、わたしが精神科のお医者さんにお話をうかがったところ、そう診断されました。

 

 

 

 

 

一日に手を何十回も洗っています(一時間も二時間も洗っていることも珍しくありません)。

 

 

 

 

 

濡れティッシュ、除菌クリーナー、化学ぞうきんなどで、手が触れる部分(ドアのノブなど)を前もって念入りに拭きます。

 

 

 

 

 

買い物してきた物も必ず拭いています。息子に電話がかかってくると、受話器からバイ菌が飛んでくるといって、電話を取ろうとしません。

 

 

 

 

 

家の中でわたしがうっかりクシャミをしようものなら、二階からドカドカ降りてきて、今どこでクシャミをした、どこへツバが飛んだ、と怒鳴り、その場所を濡れティッシュで丹念に拭き始めます。

 

 

 

 

 

異様な目つきでしゃにむに拭いています。拭き終わると今度は汚れた手を懸命に洗っています。

 

 

 

 

 

それだけ汚れにこだわる割には自分の部屋の中はとても汚く、異様なにおいがします。

 

 

 

 

 

腕立て伏せや腹筋などをしているようで、汗のにおいのようです。

 

 

 

 

 

外の空気は汚いと言って夏でも自室の窓、カーテンは閉め切ったままです。

 

 

 

 

 

髪の毛は伸び放題で、「ホームレス」のようです。部屋の中では一日中テレビをつけっぱなしで、パソコンで何かをしています。

 

 

 

 

 

汚れている部分を発見すると、ギャーと奇声を発します。それがものすごく大きな声で、隣近所にも聞こえてしまうのです。

 

 

 

 

 

近所の人の目が気になり、わたしも人目を避けるように行動するようになってしまいました。

 

 

 

 

 

鏡を見るとわたしもやつれきっており、ここしばらく笑ったことがありません。

 

 

 

 

 

そういう状態ですから、家族は落ち着くことがありません。主人はストレスがたまってしまい、胃潰瘍になって先月から入院しています。

 

 

 

 

 

24歳の妹は、この家に住んでいられないとアパートに移ってしまいました。

 

 

 

 

 

わが家は精神的にも経済的にも非常に苦しくなってしまいました。

 

 

 

 

 

これからこの子はどうなってしまうのか、わたしたちは歳を取って経済的にも肉体的にも衰えていくというのに、まだ解決の糸口すらつかめません。(50代・母親)

 

 

 

 

 

わたしから

 

 

 

 

 

毎日長く、非常に緊張した厳しい日々をお暮らしのことと思います。

 

 

 

 

 

事を荒立てないようにと、腫れ物に触るような感じで息子さんに接している姿がよくうかがえます。

 

 

 

 

 

どのような経過で、息子さんの葛藤が想像を絶するような状態になってのかよくわかりませんが、息子さんの不安は誰よりも大きいのだと思います。

 

 

 

 

 

「評論家」になるのも、「俺は無駄で駄目な人間ではない」と、自分を価値ある存在として認めてくれ、という心の叫びなのだと思います。

 

 

 

 

 

そんな形でしか伝えられない、素直に自分の弱さを言えない、肩ひじ張ってしか言えない、その気持ちはどんなにつらいことかと思います。

 

 

 

 

 

新聞を丁寧に読み、「物知り」になり、その新聞を捨てないで積み上げていく、そこにも「無駄に一日を過ごしているわけではないんだ」というあえぎがあるのです。

 

 

 

 

 

わたしが家庭訪問したお宅の20歳の息子さんも、いわゆる強迫性障害(強迫神経症)ということで濡れティッシュを手放せませんでした。

 

 

 

 

 

彼の場合は、極端に父親のことが嫌いという理由から始まりました。

 

 

 

 

 

彼は小学校低学年のときに引っ越しをすることになりました。ところが親から理由を告げられずにいきなり引っ越し屋さんのトラックがいきなり来て、親しかった友達とも別れの挨拶もできずに転居することになったのです。

 

 

 

 

 

父親は「おしゃべりな息子さん」に事前に話すと近所に知られてしまい、いろいろなことを聞かれたりすることが嫌だったと言います。

 

 

 

 

 

誰とも関わらずに引っ越ししたかったというのです。

 

 

 

 

 

息子さんはこの疑問を中学まで引きずり、いつの間にか父親のことを信じられなくなり、「汚い父親」と見るようになっていったようです。

 

 

 

 

 

酒好きの父親を見ていると、よりその拒否反応が体の緊張となって出るまでになり、中3になると、その精神的な抑圧に耐えきれず家庭内暴力となりました。

 

 

 

 

 

そして父親に病院に連れられていったことが「こだわり」のきっかけになったのか、不合理な儀式を繰り返すようになったようです。

 

 

 

 

 

わたしはやはり、症状には意味があると思います。父親は事の顛末を自分の気持ちに正直になって息子さんに話し、「罪滅ぼし」といって、その不合理な行為を認め、付き合ったのです。

 

 

 

 

 

今もその行為はやみませんが、父親との会話も深まり、最近は少し「普通の若者」に戻り始めたといいます。

 

 

 

 

 

とりあえず、ひとつの壁を越えたとわたしには思えるのです。

 

 

 



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