大学中退の危機から脱出した青年
ホーム > 大学中退の危機から脱出した青年

大学中退の危機から脱出した青年

2019年05月11日(土)1:08 PM

A君は高校を卒業し、現役で大学に入学しましたが、大学内の学生とケンカをしてしまい、突然大学に行かなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

A君は「あの大学は俺には合わない」と言い、行かない理由としてあげていました。

 

 

 

 

 

それだけの理由であるわけがない、何かあると察知して親御さんが関東自立就労支援センターに相談に来たことが始まりでした。

 

 

 

 

 

A君の成績はとても優秀で、スポーツも万能でした。なんでもそつなくこなすとても器用な子です。

 

 

 

 

 

世の中でいう何でも上手にできてしまい、才能に恵まれた子どもというべきでしょう。

 

 

 

 

 

さらにA君は友人も多く、異性からも人気があります。見た感じはごく普通の子、周りからの評判はとてもいい子と映っていたようです。

 

 

 

 

 

しかし、わたしは表面に映る形はあまり見ていません。このまま放っておくとA君の類まれな才能のすべてがつぶれてしまいかねないと思いました。

 

 

 

 

 

これは約20年の経験からくる一種の勘というものでしょうか。

 

 

 

 

 

A君に関しては、小・中・高校までは親の範疇に収まっていました。ですが、現在は大学中退の危機に直面し、親がいろいろ手を尽くし、なんとか大学に戻そうとあれこれとしていたようですが、どうにもならなかったようです。

 

 

 

 

 

わたしはこのままだとA君はとんでもない方向に行きかねないと考え、彼を関東自立就労支援センターの共同生活寮に連れて行く決断を下し、本人ともしっかり話し合って入寮させました。

 

 

 

 

 

ここまでの記述でA君に「とんでもない方向に行きかねない」とわたしが考えたことを理解できない方も多いでしょう。

 

 

 

 

 

読者の方は大学を中退しても他に道はある、ややもしたらその程度の理由だから気が変わって再び大学に通い始めると軽視しているかもしれません。

 

 

 

 

 

なぜ「そこまで」と考えたのか?わたしは大学に休学届けを提出し、大学側に理解を得て、共同生活寮での指導にこだわりました。

 

 

 

 

 

そこまで必要だったのか?と思われるかもしれませんが、今の子ども達の心の深い傷や心の闇、本音を聞くと寒気を抱くことがしばしばあります。

 

 

 

 

 

この子どもたちの現状を親達は軽く見すぎている傾向があります。

 

 

 

 

 

A君を共同生活寮まで連れてきた理由はといいますと、他にもいろいろ理由はありましたが、左利きだということが大きいのです。

 

 

 

 

 

ただの左利きというわけではなく、矯正を重ねられた左利きです。わたしは彼が左利きだから大学を中退し、悪い方向へ行くという考えを持っているわけではありません。

 

 

 

 

 

ではなぜ左利きということが大きな決め手になったのでしょうか?それは後述することにして、共同生活寮まで来るに至っては彼と在宅での話し合いを十分に重ね、お互いに理解をした上での決断でした。

 

 

 

 

 

A君は大学でトラブルを起こし、辞めようと思ってからの生活はかなり荒れていました。

 

 

 

 

 

人間ここまで荒れることができるのか?と思うほどでした。なんと彼は大学への報復を抱き、テロ行為を考えていたのです。

 

 

 

 

 

わたしもテロの話を聞かされたときはさすがにもう一度聞きなおしました。

 

 

 

 

 

すると、彼は「チクショー、復讐してやる!」と恐ろしい表情をしながら言葉に発し、具体的な行為については何も語りませんでした。

 

 

 

 

 

A君の姿勢を見ていればすぐに分かることですが、わたしは彼に「何か根底に深い傷があるのではないか?

 

 

 

 

 

彼の悩みを和らげ、この子を救ってあげないと、今救えるのはわたししかいない」と思ったのです。

 

 

 

 

 

子どものことを外見だけで判断しないでいただきたいと思います。今や普通の子が「えっ!?」と思うような事件を起こしています。

 

 

 

 

 

わたしでも理解に苦しむような事件が山ほどあります。A君のような子どもが目の前に現れることで、このような凶悪、かつ残忍な事件はさらに増加するであろうと考えさせられてしまいます。

 

 

 

 

 

行動を起こさないだけで、予備軍と目されている子どもたちがどれだけ多いことか考えるだけでぞっとします。

 

 

 

 

 

話をA君のことに戻しますが、わたしはA君と多くの時間を費やし、心の声を聞きました。

 

 

 

 

 

彼の考えが左利きである人間の思想からきているのだとわたしは理解したからです。

 

 

 

 

 

この考えや今の行動を変えない限りは彼に未来はないとそう判断したからです。

 

 

 

 

 

だからといって、左利きの人間を悪く言うつもりはまったくありません。むしろ、左利きの人間は器用で、才能に恵まれた天才肌の子が多いと思います。

 

 

 

 

 

しかし、日本の文化や風習はそうではないのです。特に左利きの人間にとっては住みにくい世界であるはずです。

 

 

 

 

 

その証拠に昔は必ず食事のとき、箸は右で食べるように直されました。スポーツ、球技なども左利きの道具は右利きに比べてやたら少ないです。

 

 

 

 

 

生活を見ても、ハサミも右、ドアも右、どこをとっても右利きを優先して作られています。

 

 

 

 

 

日本の社会はほとんど右利きを中心としてつくられ、左利きにとっては住みにくい社会なのです。

 

 

 

 

 

しかし時代と共に変わり、今は左利きも優遇され、昔では考えられなかった専用の道具なども増え始めています。

 

 

 

 

 

ですが、たいてい左利きで生まれてきた子どもは何かしら右を使うように親から矯正を受けています。

 

 

 

 

 

すべて右に直される子も多く、利き腕がどちらか分からない子もいます。

 

 

 

 

 

わたしはこの幼いころの矯正に疑問を抱いているのです。なぜ利き腕を殺してしまい、矯正させるのか。

 

 

 

 

 

これは個性をつぶしてしまう行為でもあるのです。幼い子からすれば何で利き腕を使ってはいけないのか?

 

 

 

 

 

親にいくら言われようと、理解できない子どもからすれば疑問が残ります。

 

 

 

 

 

この矯正によって子どもの心には「チクショー」と面白くない感情を幼少期から抱いてしまうのです。

 

 

 

 

 

ここで右利きの人は持たなくてよい屈折した感情を覚えてしまいます。それに加え、絶対数から物珍しく見られ、さらに住みにくい社会ときています。

 

 

 

 

 

だからいっそう反発心やへそ曲がりな気持ちが芽生えるのです。

 

 

 

 

 

わたしは数々の左利きの子を指導してきましたが、やはり個性が強く、それに素直に指導が入っていかず苦労をした思いが山ほどあります。

 

 

 

 

 

しかしわたしの手にかかれば心配無用です。なぜならわたし自身が左利きなので、少しは彼らの気持ちが理解できます。

 

 

 

 

 

ではA君を休学させ、共同生活寮で何をどのように指導したのでしょうか?

 

 

 

 

 

A君は前述のとおり、幼少期から何をやらせても上手にこなしてしまいます。

 

 

 

 

 

そしていい大学にも入学し、かなりうぬぼれていたのです。そこで、初めて人間関係につまずき、この苦痛によってテロ行為をするという考え方を抱くようにまでなってしまいました。

 

 

 

 

 

わたしはA君のうぬぼれ、プライドを一度叩き潰し、そこから這い上がらせるようにと考えました。

 

 

 

 

 

苦労に苦労を重ね、「苦」とせず、「苦」の中から栄冠をつかむようにさせるべきだと、そうでないと彼は確かに何でもすぐ上手にこなしてしまいますが、継続しない、努力を知らない、苦痛に耐えられない、簡単に何でも手にしてしまうので飽きてしまいます。

 

 

 

 

 

その結果、世の中をなめてしまい、より高慢な心が宿り、屈辱的な挫折からテロという恐ろしい思考に至ってしまうのです。

 

 

 

 

 

入寮後、A君はやはり、自分の失敗を他人のせいにしてばかりいました。うまくいかないことを寮のメンバーの組み合わせが悪い、しまいには指導しているスタッフの教え方が悪いと言い出したのです。

 

 

 

 

 

何か失敗するたびに暴言を吐き捨てるなど、彼の性格や行動が浮き彫りになって表れていました。

 

 

 

 

 

わたしは何度も注意したくなりましたが、我慢に我慢を重ねました。指導するほうも非常に苦しい思いをします。

 

 

 

 

 

言ってあげたい、注意したいことは山ほどありますが、ここで言ったところで何にもならないのです。

 

 

 

 

 

たいがい、両親はその場で正そうと注意して反発を招き、状況をさらに悪化させてしまいます。

 

 

 

 

 

しかし、そろそろA君に屈辱や恥をかかせることも限界と踏んだわたしはA君にスパイスを投じ、今の状態から這い上がらせる方針を取りました。

 

 

 

 

 

そのスパイスというのは今まで生きてきたようにプライドを尊重してあげるようにしたということです。

 

 

 

 

 

わたしがA君に対してそのように接することによって、言い訳、他人のせい、変なプライドが消えていくのが目に見えて分かるようになりました。

 

 

 

 

 

それは比較するものができて、他人のせいにしたり、言い訳したり、変なプライドを持っていても何の役にも立たないということを実体験を通して本人が自覚したからです。

 

 

 

 

 

わたしはふと思い、A君の心境を聞こうと特別に時間を作って話し合いをしてみました。

 

 

 

 

 

すると彼は、「スタッフの方がいてくれて感謝しています」と話し、「僕の気持ちを初めて理解してくれる人に出会えた」と若干照れながら話を続けていました。

 

 

 

 

 

よく話を聞くと、左利きの苦労や内心のことに共感と共鳴を抱き、自分のことを分かってくれる人がいて嬉しかったようです。

 

 

 

 

 

それと、「常に自分の性格を理解しながら真剣に考えてくれ、熱い心に打たれた」と言います。

 

 

 

 

 

「この人の言うことに間違いはない」と思ったらしいのです。

 

 

 

 

 

「スタッフの方の指導によって、今までの考えていたことが自分で恥ずかしい」と完全に自分を受け入れ、客観視できる状態になっていました。

 

 

 

 

 

わたしは「もうこの子は大丈夫だ」と思い、これからのことについて聞いたら、彼は「大学にもう一度挑戦し、自分のやりたい経済学の勉強をしたい」と言いました。

 

 

 

 

 

彼はその後、大学に復学し、元気に通学しています。

 

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援