社会に馴染めない大人たち~自閉症スペクトラム~
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社会に馴染めない大人たち~自閉症スペクトラム~

2019年05月09日(木)6:49 PM

発達障害と聞くと子どもに関連することと思われがちですが、今、大人の発達障害がさまざまなところで問題になっています。

 

 

 

 

 

10年以上前までは、発達障害が一般的にはあまり知られていませんでした。

 

 

 

 

 

そのため、小・中学校、高校、大学と見逃され、大人になり、今になって初めて自分はADHDではないかと気づきクリニックへ相談に来る大人の方かちが増えつつあるのです。

 

 

 

 

 

大人になって気づければまだいいのですが、気づかず、さらに周りから指摘されても、自分は普通だと思い込み相談しない方も多くいます。

 

 

 

 

 

ある日、知り合いから自分の部下の営業マンについて、相談をされたことがあります。

 

 

 

 

 

話を聞く限り、その会社の営業マンはADHDをともなった自閉症スペクトラムの可能性が高そうですが、本人はそのことを認識していないようです。

 

 

 

 

 

歳は40代前半で、それなりの大学を出て一時職に就きますが、その後転々とし、ようやく今の会社に正社員の営業マンとして採用されました。

 

 

 

 

 

まだ結婚もしていません。会社でうまくいかないことに違和感は覚えつつも、そのままやり過ごしてきたそうです。

 

 

 

 

 

彼には同じミスを何回も繰り返す癖があり、今の会社に正社員で入ってからも忘れ物や指示を聞いていないなど小さなミスを何度も繰り返していました。

 

 

 

 

 

ある日、知り合いの上司はプレゼンのためにその営業マンと出張するということで、羽田の喫茶店で待ち合わせすることになりました。

 

 

 

 

 

事前の打ち合わせで上司は予定表を見て、「空港での待ち合わせ予定時刻が出発20分前では遅いのでは?」と尋ねましたが、頑なに「大丈夫です!」と彼は言い切りました。

 

 

 

 

 

不安はあったのですが、そこまで強く言われてはと、彼の言うとおりの待ち合わせ時間にしたのです。

 

 

 

 

 

そして万が一、喫茶店が見つからない場合は、出発ロビーで落ち合うことに決まりました。

 

 

 

 

 

当日、上司が第2ターミナルに着くと、彼の言う喫茶店は見つからないどころか存在していませんでした。

 

 

 

 

 

きちっと調べておけよと思いながらも、約束どおり、出発ロビーの椅子で待ちながら彼にメールしましたが、なかなか返答がきません。

 

 

 

 

 

もう出発予定時刻の15分前になっていました。依然として彼の姿が見当たりません。しびれを切らして上司は手荷物検査に一人で向かいました。

 

 

 

 

 

しかし、時すでに遅しで、手荷物検査のところで入場は締め切られていたのです。

 

 

 

 

 

慌ててカウンターに向かうと、そこに駆け寄ってくる彼の姿がありました。

 

 

 

 

 

上司はつい、「どこにいたんだ!」と大声を出してしまいました。すると彼は、「下で待っていました」と息を切らせながら答えました。

 

 

 

 

 

その言葉に上司は絶句しました。喫茶店が見つからなかったら、出発ロビーで待ち合わせという約束を忘れていたのです。

 

 

 

 

 

「すいません」と彼はひたすら頭を下げ続けました。問い詰めると、彼は上司より早く空港に着いており、喫茶店がない状況を把握していたにもかかわらず、どう対処したらいいのかわからなかったというのです。

 

 

 

 

 

上司にメールしたといいますが、古いメールアドレスだったせいか、上司の履歴には入っていませんでした。

 

 

 

 

 

上司はショックを抑えながら、すぐにカウンターの担当者に掛け合いました。

 

 

 

 

 

しかし担当者からは、残念な言葉が返ってきます。「この便は、すでに搭乗手続きは終了してもうドアを閉める段階です」

 

 

 

 

 

「なんとかなりませんか?」と彼は、必死に額の汗をハンカチで拭きながら担当者に詰め寄りました。

 

 

 

 

 

しかし、カウンターの担当者は、「なんとかなればしているのですが、今回はもう無理です」と返しながらも、別の便を探してくれました。

 

 

 

 

 

結果、他に間に合う便はもう見当たりませんでした。想定外の事態です。こういう場合、たいていはパニックに陥ってしまいますが、上司は東京駅から新幹線を使うという次なる手段を冷静に考え、タクシーですぐに行こうと彼に指示しました。

 

 

 

 

 

ここまでは、上司にも問題がありました。搭乗15分前までに手荷物検査に入るべきだったのです。

 

 

 

 

 

彼と会う約束を優先したところが落とし穴でした。また、メールが届くかの確認も事前にしなければならなかったのです。

 

 

 

 

 

タクシーは東京駅まで急いでくれました。しかし、結局会議のプレゼンに間に合う列車には乗ることはできませんでした。

 

 

 

 

 

そこで上司は直接行くことはあきらめ、関東支店からインターネットのテレビ電話を使い、会議に参加することにしたのです。

 

 

 

 

 

急遽新幹線で関東支店へ向かうことになりました。なんとか会議の開始に間に合い、プレゼンのスライドを彼が準備し、スライドをめくりました。

 

 

 

 

 

そこで上司は、再度絶句したのです。画面に映し出されたのは、練り直す前の古いスライドのものだったのです。

 

 

 

 

 

それでも上司は、お客の前でうろたえてはいけないと、平然と古いスライドでプレゼンを続けました。

 

 

 

 

 

上司の頭の中は怒り心頭でしたが、部下のそういう行動に慣れていたこともあるのでしょう。

 

 

 

 

 

そして、今後のためには我慢するだけでなく、なんとかして二度とこのようなミスを犯させないような工夫が必要だと考えました。

 

 

 

 

 

1日でこれだけのミスが続けば、普通ならクビでもおかしくはありません。心の広い上司だからこそ怒られずにすんだのです。

 

 

 

 

 

しかし、この話にはまだ続きがあります。この営業マンに用事があったので、翌日、上司は時間を指定して彼を呼び出しました。

 

 

 

 

 

上司は15分前からスタンバイしていました。しかし、予定の時間になっても一向に営業マンが来る気配がありません。

 

 

 

 

 

結局10分遅れでやって来ました。さすがの上司もため息しか出なかったそうです。

 

 

 

 

 

プレゼンで失敗した時に上司が厳しく叱れば良かったのかと言えば、そうではありません。

 

 

 

 

 

自尊心が傷つき、「どうせ自分はだめだ」と怒られる状況に慣れてしまうケースが考えられますし、自閉症スペクトラムによってマイペースで自己中心的なところがある場合は、反省するよりもそのような状況から逃げ出したり、怒る上司を恨んでしまったりすることもあります。

 

 

 

 

 

上司が彼を本当に一人前の社会人として育てたいと思うのであれば、厳しく叱ることも、優しく接していくのも良い選択とは言えません。

 

 

 

 

 

それよりも、ADHDの治療を受けるように勧めることが一番だったのです。

 

 

 

 

 

発達障害という病気があることを知り、そしてそれは治療ができるということを知っておくことは、今の会社や上司にとって必要なことだと言えるのです。

 

 

 

 

 

ここまで見てきたように、年齢に拘わらず発達障害によって悩んでいる人は多くいます。

 

 

 

 

 

しかし、同時に適切な治療により発達障害の症状を克服している人も多くいるのです。

 

 

 

 

 

特に、ADHDの症状を改善する薬による治療は目覚しい成果をあげています。

 

 

 



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