思いやりが欠けている子どもを心配する親
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思いやりが欠けている子どもを心配する親

2019年05月09日(木)6:01 PM

相談事例

 

 

 

 

 

子どもに思いやりの気持ちが欠けているような気がして心配しています。親が風邪で寝込んでいるのに、気づかう言葉をかけるわけでもなく、代わりに家事を手伝うこともしません。

 

 

 

 

 

わたしが重たい荷物を持っていても、「持つのを手伝ってよ」と言って、ようやくしぶしぶ手伝います。

 

 

 

 

 

弱い立場の人に優しい気持ちを持つということが足りないようです。こんな思いやりのない子に育てた覚えはないのですが・・・・。

 

 

 

 

 

「親の心、子知らず」とは昔からよく言われることです。親は一生懸命子どもに尽くすのに、子どもからは感謝の言葉ひとつない・・・・・・。

 

 

 

 

 

逆に子どもに尽くせば尽くすほどうっとうしがられたりしてしまいます。

 

 

 

 

 

親が熱を出して寝ているのに、優しい気遣いひとつしない、まったく親なんて報われないものだ、そう思っている親御さんも多いかもしれません。

 

 

 

 

 

でも、冷静に考えてみればそんなものかもしれません。まして14,5歳の子どもに親の気持ちを分かれなどと言うのは無理なことです。

 

 

 

 

 

親の気持ちやありがたさがわかるのは、自分が親の立場になって初めて理解できることです。

 

 

 

 

 

これも人間の真理なのだと思います。ある四国の山間部の小さな村に行ったときに、とても心温まる話を聞きました。

 

 

 

 

 

その村に住んでいる人たちは農業で生計を立てている人が多いのですが、とてもそれだけでは生活していけません。

 

 

 

 

 

農作業が終わると、女の人たちは竹細工の内職をしていました。くる日もくる日も竹を細く切り、竹かごなどを作って生計の足しにしていたのです。

 

 

 

 

 

そんな小さな村に生まれ育った、あるおばあさんの話です。おばあさんの名前はキヌさんとしましょう。

 

 

 

 

 

キヌさんが生まれたとき、村の暮らしは今よりもずっと貧しかったようです。やせた土地になかなか作物が実らず、内職の竹細工が生活を支えているような状態でした。

 

 

 

 

 

それでもキヌさんは、娘の誕生を心から喜びました。貧しいながらも、ありったけの愛情を込めて子どもに接していたのです。

 

 

 

 

 

そんなキヌさんの思いをよそに、子どもは母親であるキヌさんに抱かれるたびに大声をあげて泣きました。

 

 

 

 

 

キヌさんがお風呂に入れようとすると、小さな身をよじるようにして泣き続けるのです。

 

 

 

 

 

なぜわたしが抱っこをすると泣くのか、キヌさんはその理由がわかりませんでした。しかし、あるときハッと気がつきました。

 

 

 

 

 

ふと見た自分の手は、ささくれ立ってザラザラだったのです。日々の内職や畑仕事がいつの間にかそんな手にしていたのです。

 

 

 

 

 

キヌさんは、わが子がとても不憫に思え、悲しくなりました。できることならやわらかい手で子どもを抱きしめてやりたい、でもそれができない身のキヌさんは「ごめんよ、ごめんよ」と言いながら泣く子を離すものかと抱きしめあやし続けたのです。

 

 

 

 

 

この話をわたしはある講演のなかで紹介しました。そのときある東北出身の30代の女性の方が、こんな感想を話してくれました。

 

 

 

 

 

「わたしの母も農家の人間でした。わたしは子どものころ、母親の手が好きになれませんでした。ガサガサした母の手を見ると、なんだか恥ずかしく、腹立たしい気分になりました。

 

 

 

 

 

友だちのお母さんのきれいな手を見ると、あんな手で頭をなでられてみたいと思ったものです。そんなわたしもやがて結婚して子どもが生まれました。

 

 

 

 

 

そして自分の手にわが子を抱いたとき、初めて母の気持ちがわかったのです。自分がこうしてやわらかい手で子どもを抱くことができるのも、母が手をガサガサにしながら育ててくれたおかげです。

 

 

 

 

 

そのことに気づいたのです」

 

 

 

 

 

自分の手に抱けば、わが子が泣き出す・・・・・。こんな切ないことは母親にはありません。

 

 

 

 

 

やわらかい手で子どもを抱いてやりたい、一番それを願っていたのはキヌさん自身だったのです。

 

 

 

 

 

ガサガサの手でつらい思いをしていたのは、自分ではなく東北に今もひとり暮らしをしている母親だったのです。

 

 

 

 

 

そのことに気づかされたこの女性は、会場で涙が止まりませんでした。

 

 

 

 

 

ところでキヌさんの話を聞いた村の高校生の女の子が、とても感激してキヌさんをモデルにした歌を作りました。

 

 

 

 

 

それが今では村を代表する歌になっており、村民みんながCDを持っているといいます。

 

 

 

 

 

わたしもその歌を聴かされ、思わず胸がジーンとしました。そして何よりすばらしいことは、高校生の女の子がキヌさんの心をつむいでその心を歌にして作ったということではないでしょうか。

 

 

 

 

 

そしてその歌を村のみんなが聴く、こんな思いやりにあふれた村があるでしょうか。これこそが真の人間愛ではないかと思います。

 

 

 

 

 

思いやりというのは、口で数えられるものではありません。わたしがこれだけしてあげているのだから、あなたもわたしに何かしてちょうだい、そんな押しつけがましいものではありません。

 

 

 

 

 

また、思いやりの表現方法は、人によって違います。

 

 

 

 

 

優しい言葉をかけないから優しくない、心配するそぶりを見せないから冷たい人間だ、そんなふうに決めつける問題ではないと思います。

 

 

 

 

 

親にも思いやりの表し方の苦労があるように、子どもだって伝えることを悩んでいるのです。親のことを心配しない子どもなんていないのですから。

 

 

 

 

 

また子どもたちは、親の行動を実によく見ています。

 

 

 

 

 

自分には甘いことを言っているのに、他人に対してはきつい言い方をする・・・・・・。そんな姿を子どもは心のどこかで不思議に思っているのです。

 

 

 

 

 

子どもに思いやりの気持ちをもってほしいのなら、まずは自分が人を思いやることが大切だと思います。

 

 

 

 

 

親が見知らぬお年寄りにかけた優しい言葉、その優しさが今でも忘れられないと言った子どもがいます。そういうものだと思います。

 

 



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