17歳の不登校の少女
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17歳の不登校の少女

2019年05月07日(火)12:56 PM

「わたしはね、お父さんがお母さんの膝枕で耳あかを取っている姿が、一番好きだったの」。

 

 

 

 

 

これは長い間、不登校を繰り返してきた17歳の少女が、懐かしそうに語った言葉です。

 

 

 

 

 

現在、この娘さんは母親と姉と暮らしていて母親の苦労をよく知っています。

 

 

 

 

 

それだけに、自分が母親に心配をかけていることが耐えられないほどつらいと言います。

 

 

 

 

 

「お父さんがいれば、わたしももう少し強くなれると思うけど・・・・・・」

 

 

 

 

 

心が荒んで、母親にも素直になれない17歳の少女です。父親のひどい浪費癖が原因で両親は離婚しました。

 

 

 

 

 

それでも、きっと父親だけに打ち明けられる話があるのだと思います。

 

 

 

 

 

妻子を裏切り、身勝手な父親であってもこの少女にとっては、世界でただひとりの「お父さん」なのです。

 

 

 

 

 

そのお父さんの記憶は、家族がそろう居間でお母さんの膝枕で耳あかを取ってもらっている平和な夫婦の姿として鮮明に残っているのです。

 

 

 

 

 

「今までわたしは真面目な女の子だったの。でも、型にはまってお嬢さんの生活をするのが嫌になって、それに不良っぽい雰囲気にもあこがれて、ある日、お父さんに”うるせーんだよ”って言っちゃったの。

 

 

 

 

 

そしたらお父さん、次の日から急におとなしくなっちゃった」。14歳の少女はそう言って笑いました。

 

 

 

 

 

服装はいかにも不良っぽいのですが、「お父さん」と言うときの彼女の顔は、お父さん思いの少女の顔です。

 

 

 

 

 

自分のために、言葉づかいまで変えた父親に「自分のこと、心配してるんだな」と感じ取っています。

 

 

 

 

 

「今までお父さんと話すことなんて全然なかったから、お父さん、わたしの大変身にびっくりしたんだと思います。

 

 

 

 

 

お母さんには、ときどき荒っぽい言葉を使っていたから薄々感じていたとは思うけど・・・・。別に不良になろうとは思ってないんだ。

 

 

 

 

 

ただ、こっちを向いてほしかったんだ」「そうなんだ。じゃあ、お父さんはどうしたらいいのかな?」

 

 

 

 

 

「ときどきしゃべってくれればいいよ。でも、しゃべるの苦手みたいだから・・・・。どうしたらいいのかなあ。無理しなくたっていいよ。

 

 

 

 

 

でも、説教臭い話はいやだけどね」

 

 

 

 

 

男親は、ことほど左様にわが娘に対しては、どことなく”無理”をしてしまうものでしょうか。しかたがないのでしょうか。

 

 

 

 

 

あるとき、不登校、シンナー、いじめの加害者・・・・・・と、非行を繰り返していた16歳の少女が、面接室にやってきました。

 

 

 

 

 

話を聞くと、父親の存在がありました。彼女を立ち直らせようと、父親は必死に会話を試みたそうですが、彼女はそんな父親に対して「二重人格!」と激しくなじったといいます。

 

 

 

 

 

「だっていままでは、しゃべらない、聞かない、見ないの三無いのお父さんが、急にご機嫌取りなんておかしいじゃん。

 

 

 

 

 

無理しているというより、必死なんだよ。わたし、そんなお父さん見ていると余計に反抗的になっちゃって・・・・・」。

 

 

 

 

 

反抗的になると、それまで我慢していた父親は、堪忍袋の緒が切れたのか激しく怒鳴ったそうです。

 

 

 

 

 

「やっぱり、心の底からわたしのことなんて思ってないんだよ。その場がなにごともなく収まればそれでいいという態度じゃん。

 

 

 

 

 

二重人格もいいところだよ。幻滅だよ・・・・・」。少女は、父親の愛情を試しているともいえます。

 

 

 

 

 

本当に自分のことを心配してくれているのか、それとも世間体を気にしているのか、こんな娘がいると出世の妨げになると思っているのかなどを、鋭く観察しているのです。

 

 

 

 

 

本当に自分のことを心配してほしい、ただそれだけを願っているのです。父親を本気で困らせようなどとは思ってはいないことを、父親はわかってほしいのです。

 

 

 

 

 

子どもは自分の大好きな、そして大切な親を困らせるつもりはないのです。ただ、愛情がほしいだけなのです。

 

 

 

 

 

大人には子どもに聞かせたくない話があると思います。そんなとき、ついつい「あっちへ行ってなさい」と言ってしまったり、話をすり替えたりしてしまうことがあります。

 

 

 

 

 

親にしてみれば「子どもには聞かせたくない話」です。つまりそれは子どもにとってつらい話であったり、悲しかったり、不安を与える内容だったりするのです。

 

 

 

 

 

あるいは聞いてもわからない話であったりします。ですから子どもに聞かせないのは不安を与えたくないという親心でもあるのです。

 

 

 

 

 

ところが、「あっちへ行ってなさい」と言われたほうの子どもにしてみれば、自分の存在を無視された言葉でもあるわけです。

 

 

 

 

 

結果的に、子どもを寂しがらせる言葉になってしまうこともあるのです。時々、面接室で子どもから聞かされる言葉に、

 

 

 

 

 

「あっちへ行ってなさいってよく言うけど、お父さん、子どもって大人の本音が知りたいものなのよ」子どもは子どもなりに、喜びや、悲しみ、苦労もいっしょに味わう、そういう気持ちが子どもとの一体感を生むように思えてなりません。

 

 

 

 

 

面接室に青白い顔で現れた少女がいました。まだ、高校生です。優しい父親に十分に愛されて育った自分が、今、高校生活で限界にきているといいます。

 

 

 

 

 

自分よりもレベルの高い高校に入ったものの、このところ成績が落ちてしまっているようです。

 

 

 

 

 

「お前が一生懸命にやっていることは知っているよと言って、お父さんはわたしの通知表を一度も見ることはなかった。

 

 

 

 

 

お父さんの励ましがあったから、あの高校に入ることができたのに・・・・・・。お父さん、ごめんなさい。もう限界なんです」

 

 

 

 

 

今まであんなに優しく自分を励ましてくれたお父さん、努力を評価し、一度も通知表を見なかった、そんなに信頼してくれたお父さんをわたしは裏切ってしまった・・・・・・そういうやるせない少女の独白です。

 

 

 

 

 

お父さんに、この苦しい胸の内を打ち明けたいけど、やっぱり話せないというのです。こうなってしまったのは自分が悪いから、お父さんを心配させたくないと少女は固く思っています。

 

 

 

 

 

切ない少女の胸の内が聞こえてくるようです。

 

 

 

 

 

「お前の悩みは、お父さんやお母さんの悩みでもあるんだよ」父親はきっとそう思っていることを、そっと、少女に伝えてあげたいとわたしは思いました。

 

 

 



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