心の病気かどうかどこで見分けるのか
ホーム > 心の病気かどうかどこで見分けるのか

心の病気かどうかどこで見分けるのか

2019年04月15日(月)3:25 AM

事例

 

 

 

 

 

漢字も英単語も勉強に関することはすべて忘れてしまったE子さんのケース

 

 

 

 

 

高校受験が目前に迫った12月、E子さんは漢字も英単語も学校の勉強に関することはすべて忘れてしまいました。

 

 

 

 

 

9月中ごろ、学校の授業中、突然泣き出してしまい保健室に連れて行かれましたが、本人が冷静になったとき、なぜ自分が保健室にいるのか、この間の記憶がまったくありませんでした。

 

 

 

 

 

その後、家では、ときどき幼児返りを繰り返すようになりました。

 

 

 

 

 

12月始め、幼児返りの後、「頭が痛い、顔を洗ってくる」と言い、「ああ、さっぱりした」と帰ってきてからは普通になりました。

 

 

 

 

 

 

ところが、漢字や英単語、数学の公式など学校の勉強に関することはすべて忘れてしまっていました。

 

 

 

 

 

代表的な神経症のひとつ、「解離性健忘」

 

 

 

 

 

この事例は、精神的な病気かと思われるかもしれません。特に、「怖い、怖い」という訴えは、いちおう病気も念頭におかないといけないような訴えです。

 

 

 

 

 

しかし、にこにことして元気に相談室に入ってきたE子さんの雰囲気は、精神的な病気を疑うようなものではまったくありませんでした。

 

 

 

 

 

後に、わたしがクリニックに同行して診察を受けたところ、E子さんの診断名は「解離性健忘」でした。

 

 

 

 

 

これは代表的な神経症のひとつです。

 

 

 

 

 

自分の名前とか、両親の顔とか、身近な人や場所などをすべて忘れてしまうという事例もあります。

 

 

 

 

 

E子さんは自分の名前や両親、友達などはみな憶えていました。

 

 

 

 

 

忘れてしまったのは、勉強に関することのみでした。

 

 

 

 

 

幼児返りや赤ちゃん返りは、親子の絆を再構築するチャンスでもある

 

 

 

 

 

E子さんは、幼児返りを何回か繰り返しました。そして、幼児返りで2,3歳の幼児にまで戻りました。

 

 

 

 

 

不登校になった子供は、多少なりとも幼児返りをします。

 

 

 

 

 

調子が悪いときには、母親といっしょに寝ている中・高生はけっして珍しくありません。

 

 

 

 

 

あんなに母親を嫌がっているのに、と不思議に思うこともあります。

 

 

 

 

 

回復してくると、自然に一人で寝るようになります。

 

 

 

 

 

幼児返りや赤ちゃん返りは、精神的な危機の表現です。「大きいなりして、何してるの!」と突き放すのではなく、子供があたかもその年齢であるかのように考えて、優しく受けとめてあげてください。

 

 

 

 

 

幼児返りや赤ちゃん返りは、親子の絆を再構築するひとつのチャンスです。

 

 

 

 

 

なぜ病気かどうかを見きわめるのか

 

 

 

 

 

精神病かどうかを見きわめる目的は、医療による治療が絶対に必要かどうかを判断することが目的です。

 

 

 

 

 

神経症(ノイローゼ)の場合は、必ずしも医療による治療が必要ではありません。

 

 

 

 

 

E子さんの場合も、カウンセリングが主で、クスリは補助的なものに過ぎません。

 

 

 

 

 

しかし、統合失調症や躁うつ病の場合には、クスリは欠かせません。

 

 

 

 

 

了解可能であれば、病気ではない

 

 

 

 

 

「病気かどうか」の診断も含めて、医療が必要かどうかを判断する基準として「了解」という言葉を精神医学では使います。

 

 

 

 

 

症状や言動が、「了解」を超えている場合に、精神的な病気を疑います。

 

 

 

 

 

精神的病気の好発年齢は20歳前後ですので、思春期臨床では「病気かどうか」という点には細心の注意を払っています。

 

 

 

 

 

受験前に勉強に関することをすべて忘れてしまったE子さんは、了解可能です。

 

 

 

 

 

 

しかし、記憶を失うという激しい症状を出すまでに追いつめられていたE子さんは、回復に2年もの時間がかかりました。

 

 

 

 

 

心の悩みにも、質的違いがある

 

 

 

 

 

不登校の子供に関わる際には、4つの基本的視点があります。

 

 

 

 

 

①心の問題には、質的違いがあること。

 

 

 

 

 

②子供の状態は常に変化します。その変化に見合ったタイミングのよい関わりをすること。

 

 

 

 

 

③子供の年齢によって、関わり方を変えること。

 

 

 

 

 

④20歳、30歳を視野に入れて関わること。

 

 

 

 

 

「不登校」は、学校に行けていないという状態をあらわしているだけで、その子が抱えている心の問題の質を示すものではありません。

 

 

 

 

 

不登校のほとんどは、精神科医のいう病気ではない

 

 

 

 

 

心の問題は、器質性障害と機能性障害の2つに大きく分けられます。

 

 

 

 

 

器質性障害とは、脳そのものに何らかの障害がある場合です。

 

 

 

 

 

機能性障害とは脳そのものには問題はありませんが、その働き方に問題がある場合を指しています。

 

 

 

 

 

さらに機能性障害は4つに分けられます。機能性障害は、統合失調症(かつての精神分裂病)圏・躁うつ病圏・神経症(ノイローゼ)群・広義の神経症的問題群の4群です。

 

 

 

 

 

精神科医が精神病と考えるのは、統合失調症と躁うつ病圏の疾患です。

 

 

 

 

 

神経症(ノイローゼ)群や広義の神経症的問題群は病気ではありません。

 

 

 

 

 

なお、ここにあげたタイプ以外に外因性の精神疾患があります。

 

 

 

 

 

ひとつは、麻薬・覚せい剤やアルコールなどの精神作用物資によるものです。

 

 

 

 

 

もうひとつは、脳以外の体の病気、たとえばホルモン異常や肝疾患などの一環としてあらわれる精神症状です。

 

 

 

 

 

最近は、薬物による精神障害も無視できなくなりつつあります。

 

 

 

 

 

心の問題の診断名はたくさんあり、必ずしも統一されたものではありません。

 

 

 

 

 

個々の診断名から入るとわからなくなってしまいます。大切なことは、子供の抱える問題がどのタイプに属するかを理解することです。

 

 



メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-439-4355
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援