すれ違う父と子
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すれ違う父と子

2019年04月11日(木)3:11 PM

親の勉強に対する評価で、子どもたちがもっとも辛いのは他人や兄弟との比較だといいます。

 

 

 

 

 

比較されて喜べないのは大人も同じですから、これは理解できることだと思います。

 

 

 

 

 

逆にこんなのはどうでしょうか。

 

 

 

 

 

「友達は70点を取ってもいつも褒められるのに、わたしは90点を取っても一度として褒められたことはなかった」

 

 

 

 

 

「わたしがこの世で、いちばん褒めてほしかったのは、他ならぬいちばん憎んでいた父親だった」

 

 

 

 

 

思春期の子どもたちは親が想像する何倍も精一杯やっているのに、親は意地でも子どもの精一杯をほめようとしないようです。

 

 

 

 

 

褒めるどころか反対に子どもの弱点ばかりをついてしまいます。

 

 

 

 

 

褒めてほしいというより、認めて欲しいといったほうが適切でしょうか。

 

 

 

 

 

人は褒められてこそ育つんだと思います。これに対し、90点を「これくらいのことで満足するな」と認めないことが、次の100点につながる励ましになると親は勘違いをしてしまいがちです。

 

 

 

 

 

思春期の子どもも幼いときと同じで、親にだけは無条件で褒めてほしいと願う気持ちを変わらず持ち続けているのです。

 

 

 

 

 

たぶん子どもはいつまでも親にそう思い続けるでしょう。皆さんも大人とか親の立場を離れて子どもに戻ってみてください。

 

 

 

 

 

少し見えてきませんか、この心が・・・・・。

 

 

 

 

 

たとえば、中学生になると8割近くが塾に通いますから、学校が終わってせっせと塾に通っていても当たり前、親はそのことを絶対褒めません。

 

 

 

 

 

でも、学校でさんざん勉強してきて、部活をやってご飯もろくに食べないで塾へ行くなんて、それだけで褒めてやってもいいことではないでしょうか。

 

 

 

 

 

ものすごい気力と体力が必要なのに、褒めるどころか「高い月謝を払って塾に行って、この成績か」ときた日には、やる気もなにもなくしてしまいます。

 

 

 

 

 

親子の面接でいつも申し上げていることですが、父親のひと言は、どんなにすばらしいカウンセラーの100の言葉より子どもの心を揺り動かすのです。

 

 

 

 

 

父親がその子なりに精一杯やっている子どもを見てその成果に関係なく、「よくやっているよ」と声をかけたら、子どもはどれほど嬉しいか想像してみてください。

 

 

 

 

 

特に気落ちしかかって反対に突っ張っているようなときにです。

 

 

 

 

 

情より知的なことを優先するこの世の中で、子どもはなんとか親の期待に応えようと努力しているのです。

 

 

 

 

 

そして、自分の成長をいつの日にか親にプレゼントしたいといつも思っているのです。

 

 

 

 

 

特に迷惑をかけた親にこそ、そういう「けなげさ」と「やさしさ」を子どもは、特に思春期の子どもたちは持っているのです。

 

 

 

 

 

残念ながら、それをわかっているお父さんはそう多くはいませんが、わかっているお父さんは、子どもに逃げ場を作ってあげることができ、けっして追いつめることはないと思います。

 

 

 

 

 

親の期待というと、真っ先に思い出すA君のケースがあります。

 

 

 

 

 

A君の父親は転勤族で、転勤のたびに家族と一緒に転居を繰り返してきました。

 

 

 

 

 

A君は高校でも関西から関東に転入し、友達がいないという寂しい思いに耐えながらも、父親の期待する東京六大学への大学受験を目指していました。

 

 

 

 

 

ところが結果は、六大学以外の私大だけに合格しました。

 

 

 

 

 

そして、A君は「六大学以外、大学にあらず」という父親の口癖が頭から離れず、「お父さんの期待に応えることができなかった」ことを後悔し、合格した私大への進学を断念したのです。

 

 

 

 

 

そうした息子の選択に対して、父親は「おまえが納得できる大学に行くことが大切だ、国立、六大学、おまえなら必ず合格できる」と激励しました。

 

 

 

 

 

心機一転、A君は関西の有名予備校の寮に入って、浪人生活をすることにしました。

 

 

 

 

 

寮の生活でのA君の心の支えは、「お父さんの言うとおりにしていれば、間違いない」でした。

 

 

 

 

 

ところが、寮生活での友人関係がうまくいかないのをきっかけに、A君は寮の部屋にこもるようになり、授業に出られなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

そして迎えた2度目の大学入試はすべて不合格でした。昨年合格した大学も受験しましたが、これも不合格でした。

 

 

 

 

 

再び父親の元に帰り、浪人生活3年目に入ったA君は、「父親から見捨てられたのではないかと思った」と言います。

 

 

 

 

 

その後、親のお金と自分の時間を無駄にしたくないと思ったA君は、アルバイトを続けながら勉強をするのですが、いつしか勉強から遠のいていきました。

 

 

 

 

 

そんな息子の姿を見て、「仕事をする余裕があるなら勉強しろ、この程度の道理がわからないおまえじゃないだろ」と父親は言いました。

 

 

 

 

 

A君は再び父親に認めてもらおうと、3度目の受験を迎えました。けなげなまでに、親の期待に応えようとするA君です。

 

 

 

 

 

しかし、さまざまな葛藤を経て受験の前夜のA君が選んだ納得できる結論は、「父親や家族の期待を裏切りたくない。そのためにはどこの大学も受験しない」というものでした。

 

 

 

 

 

親の期待に応えられない結果を出す子になったことを親に見せ、「駄目な子ども」という烙印を父から押されたくなかったのです。

 

 

 

 

 

そこまで自分を追い詰めていったのですが、その深い心を父親は感じながらも、認めたくなく、A君の小心さを厳しく問い詰めたのです。

 

 

 

 

 

A君はその後、家に引きこもるようになり、親の言いなりだったいい子から一転し、母親を奴隷のように使い、父親に暴力を振るうようになりました。

 

 

 

 

 

A君の家では1年以上にわたって家族の生き地獄が展開され、この間にわたしとA君一家が出会いました。

 

 

 

 

 

関東自立就労支援センターに通うようになって同世代の仲間と触れ合い、よみがえったA君は4度目の大学受験をし、合格を果たしました。

 

 

 

 

 

しかし、結局合格した大学へは入学せず、「僕は元気にやっていますので心配しないでください」という手紙を関東自立就労支援センターに送り、姿を見せなくなりました。

 

 

 

 

 

A君のその後はいまだ不明です。

 

 

 

 

 

「父は僕のあこがれだった」と言い、「父親の言うとおりにしていれば間違いない」と疑わなかったA君の今を支えているものは、果たして何なのでしょうか。

 

 



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